文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

ダイエットの達人・ドクター川村のスマート健康塾

yomiDr.記事アーカイブ

「正しい歩き方」は足を痛める

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 健康教室に行くと、必ず、「健康のために正しい歩き方で散歩をしましょう」と勧められます。

 「かかとから着地して、小指側に体重を移動して、親指側で地面を蹴るように歩くこと」「胸を張って、腕を振って、いつもよりも足を高く上げ、いつもよりも少し大股で、いつもよりも少し早足で歩く」。

 そのように指導されませんでしたか。

 しかし、この「正しい歩き方」がくせものなのです。

 健診で10年以上生活指導をしていると、いろいろな受診者の方から、たくさんの情報が得られます。

 「健康教室に行って、歩き方の指導を受けて頑張ったんだけど、足を痛めて歩けなくなり、かえって太ってしまったんだよ」という高齢の方に、しばしば出会いました。

 高齢の方は、すり足のような歩き方になってくるので、歩く時に足の骨に与える衝撃はそれほど強くありません。その上、骨が年とともに弱くなってきます。

 そのような状況で、いきなり、高い場所から、勢いをつけて全体重をかかとにかけるのです。ひどい場合には、骨打撲といった骨折と同じようなダメージをかかとに与えることになるのです。

 しかもより悪いことに、こういった足を痛めた方は、「自分が不甲斐ふがいないから、指導された歩き方ができない」と思ってしまうので、指導した人のところには、この歩き方で足を痛めていたという情報が届きません。指導された歩き方でダイエットに成功した人の感謝の言葉しか届かないのです。

 それでは、どのような歩き方が良いのでしょうか?

 腰痛がある時の歩き方を考えてください。腰が痛いはずなのに、夜や、翌朝起きた時に全身の筋肉痛を感じたことはありませんか? 腰に衝撃が来ないように、全身の筋肉を使って、ゆっくり歩いているからなのです。

 「日々の生活でゆっくり歩いている暇がないよ」と思われるかも知れませんが、実際そうだと思います。

 そこでお勧めしているのが、雪が降った翌日などに道が凍っていた際の歩き方である、後ろ足に重心を残した歩き方です。

 みなさんも、一度、後ろ足に重心を残す意識で歩いてみてください。

 この歩き方がわかりづらいと思う方は、傷つけると損害賠償をしなければならない高価な靴を履いて歩く状況を想像してみて下さい。

 「靴にダメージを与えない歩き方=自分自身の足にダメージを与えない歩き方」になっているはずです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

kawamura

川村 昌嗣(かわむら まさひで)
1960年高知県生まれ。3浪の末に慶應義塾大学医学部に入学し、1988年に同学部卒業。2001年から11年まで、横浜市のけいゆう病院健診科で健康指導などにあたる。2012年1月に横浜市西区に川村内科診療所を開業。日本老年医学会指導医、日本抗加齢医学会専門医、未病システム学会専門医、日本人間ドック学会専門医。「内科医が教えるお腹がどんどん痩せていく腹凹歩きダイエット」(永岡書店)、「医師がすすめる50歳からの肉体改造」(幻冬舎ルネッサンス新書)などの著書がある。 川村内科診療所のウェブサイト http://www.kawamuranaika.jp/

ダイエットの達人・ドクター川村のスマート健康塾の一覧を見る

最新記事