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ダイエットの達人・ドクター川村のスマート健康塾

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運動では意外にやせません

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 医者になったころ、運動を患者さんに勧めていました。ところが「運動を始めたけど、かえって体重が増えてしまった」という人が、かなりいました。自分はあまり運動が好きでないので、実践していませんでしたので実感がなく、この結果が意外でした。

 医者や栄養指導士、理学療法士など医療従事者が勉強する本には、「生活習慣病が改善するために、運動療法を行いましょう。指導しましょう」としか書かれていません。なぜ運動して太るのか。いろいろな患者さんにお話を伺っているうちに原因がわかりました。

 まず、運動をするとおなかが空きます。

 その上、食べ物がおいしくなります。

 どうしても、お腹が空いているので、早食いとなり、そのうえに食べ物がおいしく感じられるので、ついつい多く食べてしまいます。

 減量に取り組んでいても、「運動して消費カロリーが増えているから、少しばかり多く食べても、問題ない」という自分の中に用意している言い訳まであるので、食べる量を減らすことは到底不可能で、いつもの量で食べ終わることも、困難です。

 ここで意識してほしいのは、みなさんが思っている以上に、運動で消費できるカロリーが少ないことです。

 運動で消費できるカロリー数は、体重によって異なるので、65キログラムの男性で1時間の運動で消費されるカロリー数を計算してみると以下のようになります。

・軽い運動:睡眠66キロカロリー、自動車の運転113キロカロリー、机上の事務仕事117キロカロリー

・弱い運動:ゆっくり歩行179キロカロリー、入浴238キロカロリー

・中等度の運動:自転車257キロカロリー、急ぎ足歩行320キロカロリー、階段昇降394キロカロリー

・強い運動:テニス491キロカロリー、ジョギング(120メートル/分)491キロカロリー、腹筋運動601キロカロリー

 

 一方、食べ物の摂取カロリーは意外に高いのです。例えば、蕎麦そば1杯分260グラムで296キロカロリーになります。

 つまり、自転車で1時間走っても、お蕎麦いっぱいで取ったカロリーのほうが多いことになります。

 ポテトチップスは1袋で300キロカロリーを超えているものがほとんどであり、蕎麦1杯よりもカロリーを取ってしまうのです。

 「いまだ無し 食べるに勝る ダイエット」なんです。

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kawamura

川村 昌嗣(かわむら まさひで)
1960年高知県生まれ。3浪の末に慶應義塾大学医学部に入学し、1988年に同学部卒業。2001年から11年まで、横浜市のけいゆう病院健診科で健康指導などにあたる。2012年1月に横浜市西区に川村内科診療所を開業。日本老年医学会指導医、日本抗加齢医学会専門医、未病システム学会専門医、日本人間ドック学会専門医。「内科医が教えるお腹がどんどん痩せていく腹凹歩きダイエット」(永岡書店)、「医師がすすめる50歳からの肉体改造」(幻冬舎ルネッサンス新書)などの著書がある。 川村内科診療所のウェブサイト http://www.kawamuranaika.jp/

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