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実は話したい心…思春期 パパは傾聴・共感
父親にとって、思春期の子どもとの関係は、昔も今も悩みの種だ。「キモイ」「ウザイ」と言われて遠ざけられ、ひどい場合は関係断絶に陥ることも。
専門家は、親子関係を維持するには、子の話をしっかり聞き、過干渉にならないよう気を付けることがポイントと説く。
中学2年の娘がいる千葉県市川市の会社員男性(49)は3年前、娘が急に自分を遠ざけるようになって戸惑った。「何か聞いても、返事は『大丈夫』ばかり。2人で写真に写ることさえ嫌がるようになった」とぼやく。反抗期が来るのかなど、思春期の娘がどう変化していくか不安だという。
思春期の子を持つ父親の支援などに取り組むNPO法人「コヂカラ・ニッポン」代表の川島高之さんは、「急に子どもに避けられるようになって対応に困ったり、接し方が分からず面と向かうのを恐れたりと、思春期の娘や息子との関係に何かしら悩みを抱えているパパは多い」と話す。
昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員で、親子関係など家族社会学が専門の臼田明子さんは「悩みの背景には、思春期の子と父との、心の距離の遠さがある」と指摘する。
距離を生む代表的な例が、「父のコミュニケーションの下手さ」と臼田さん。子どもが何か相談してきたとき、父親はよく「それならここを改善すべきだな」などと、すぐに上から目線で我が子を「指導」してしまいがちだ。
臼田さんは「子どもは指導してほしいのではなく、聞いてほしいのです。指導されると子どもはそれ以降相談しづらくなり、心理的距離も広がる」と話す。
大切なのは、傾聴と共感だ。「まず『そうなんだ』と受け止め、『それは確かに難しいな』『嫌だよなあ』などと同調してあげる。意見は、求められた時にだけ言うようにしましょう」と助言する。
子育てに熱心なイクメンも、実はコミュニケーションに注意が必要だ。「熱心さのあまり、子どもが思春期を迎えても『あれはダメ、これがいい』『それは危ない』などと先回りしがち。干渉しすぎて子どもの自立を妨げてしまうこともある。子どもの力を信じて細かく口出ししないことも大切です」と川島さん。
距離を生む要因はほかにもある。臼田さんは「父親は思春期の子どもにとって、うっとうしい存在だろう」という父側の先入観を指摘する。
典型的な例が、「週末に家にいても、どうせうざいと思われる」と父親が勝手に考えて、1人でゴルフなどに出かけてしまうようなケースだ。
「実は子どもは、父親に話したい、話を聞いてもらいたいと思っています。子どもに無理に話しかけなくてもいいので、話しかけられたら傾聴できるよう用意しておくことも大切ですよ」と、臼田さんはアドバイスする。
■父親が思春期の子に接する際のポイント
・子どもの話を遮らず、うなずきながら聞く。相談内容や考え方が稚拙でも、否定から入らない
・子どもの機嫌を取ったりベッタリしたりする必要はない。いざという時の存在感が大事
・子どもとの距離感がよく分からない人は、話しかけられたら聞く、というスタンスで
娘の場合は、さらに
・容姿には触れないのが無難。褒めたいなら、妻が褒めた時に軽く便乗する程度でいい
・娘が突然化粧したり、ハイヒールをはいたりしても、「まだ子どもなのに!」などと頭ごなしに怒らない。背伸びをしたがる年頃だと受け止めて
(臼田さんの話を基に作成)
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