宋美玄のママライフ実況中継
医療・健康・介護のコラム
妊娠前に葉酸摂取を! 二分脊椎症の赤ちゃん減らすため

11月になり、娘は2歳10か月になりました。だいぶ、おしゃべりが上手になりましたが、まだ完全に意思疎通とはいきません。おっぱいを欲しがるときだけ1歳児のように「パイ!パイ!パイ!」と言うので、「『おかあさま、パイをください』と言いなさい」と言ったらそのように言うのでめちゃくちゃかわいいです。
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先日の新聞記事の一部です。
医療ルネサンス 2009年6月、妊娠8か月の超音波検査。茨城県守谷市の主婦倉持瞳さん(34)は、産科医からおなかの長女葵ちゃん(5)が、二分脊椎症だと告げられた。 背骨の一部が開いており、中を通る神経の束が露出する。この神経の束が体外に出てしまうと、神経が傷つき、足がまひしたり、尿意を感じなくなったりするなどの障害が出る。 ショックを受けながらも情報を集め、原因の一つがビタミンの一種の葉酸の不足と知り驚いた。葉酸は、ほうれん草などに含まれ、胎児の成長に欠かせない。妊婦向け雑誌で普通の食生活では十分な摂取が難しいと知り、妊娠3か月以降、葉酸のサプリメントを飲んでいた。 葉酸は摂取の時期が重要だ。神経のもとである神経管が作られるのは、妊娠6週ごろまで。予防には、妊娠1か月前から妊娠3か月までの服用が必要だった。 1991年に発表された英国の大規模研究では、葉酸摂取で、二分脊椎症の半数を予防できるとわかった。厚生省(現・厚生労働省)も、2000年、この時期の葉酸サプリメントの摂取を勧告した。母子手帳にも情報が掲載されている。 (中略) 現在、国内で二分脊椎症の赤ちゃんは、年間約600人誕生する。頻度は過去30年間、減る傾向はない。 (2014年10月29日読売新聞) |
サプリメント摂取、妊娠に気付いてからでは遅い
1991年にイギリスの大規模調査で、二分脊椎(背骨の一部が形成されず、場合によっては神経に障害が起こる病気)の約半数が予防できるということが分かったが、日本で二分脊椎を持つ赤ちゃんが生まれる数は変わっていないという記事です。
予防に必要な葉酸は1日あたり400マイクログラムで、葉酸は豚肉やブロッコリー、ほうれん草などに多く含まれるビタミンBの仲間ですが、熱に弱い上に水で溶け出しやすく、調理過程で失われやすいのが難点です。
そのため、通常の食生活で必要量を毎日摂取するのはあまり現実的ではないため、サプリメントを
しかし、数年前に比べると、妊娠前からの摂取はそれなりに浸透してきているように感じます。以前は生殖医療を経て妊娠した人でも、葉酸サプリを摂っていた人はまれでしたが、今は妊娠を希望している女性に葉酸サプリの存在を知らせ、飲むように勧めている生殖医療施設が増えているようで、妊婦さんに聞いてみると、たいてい飲んでいたと答えられます。ただ、有名な生殖医療施設の中にはサプリメントと名のつくものは一律禁止というところがあり(妊娠しやすくなるサプリなど、あやしい商法がはびこっているせいだと思いますが)、それは不適切ではないかなと思います。
妊娠する人が皆、計画的なわけではありません。長く続く風疹流行のため、「妊娠する前に風疹ワクチン接種か抗体検査を」という情報がメディアから多数流されていますが、実際に妊娠してくる方に聞いても、その情報は届いていなかったか自分のこととして捉えられていなかったと答えられます。
穀物に葉酸添加、義務づけられている国も(
妊娠が判明するとさまざまな媒体で情報を集める方は多いですが、「妊娠前」の女性に情報を届けるのは非常に難しいと感じています。また、生殖医療を長い間がんばっている人の中には、授かるかどうかも分からないのに延々葉酸サプリを摂るのはなんとなくむなしいと言われる方もいて、それもまた素直な気持ちだと思います。
記事によれば、アメリカを始めとした国々では穀物に葉酸を添加することが義務づけられているそうです(葉酸は水溶性ビタミンなので、多少過剰に摂取しても尿で流れていくと考えていただいて大丈夫です)。確かに、妊娠前の女性を啓発し、サプリを毎日摂取するという行動をとってもらうというのは現実的には難しいので、そういった方法を取る方が確実だと思います。日本でもそのようになるといいと私は思いますが、実現するとしてもすぐには無理でしょう。
どうぞこの記事を読まれた将来妊娠する可能性のある女性には、葉酸のことを覚えておいていただきたいと思います。
患者会
あいす
患者の会が設立されてから40年たったそうです。文部科学省、厚生労働省への行政交渉を継続して行っておられ、内容が反映されてきたところもあるかと思い...
患者の会が設立されてから40年たったそうです。
文部科学省、厚生労働省への行政交渉を継続して行っておられ、内容が反映されてきたところもあるかと思います。
また、葉酸が全てではないことも同時に知らせて欲しいですね。
あくまでも確率を減らせるだけであって、完全ではないと。
きめ細かな支援についても、結局は自分で活動しなければ何もすすみません。
病院は医療行為が完了すれば私たちにできることは無いとおっしゃいますし、修学相談なども自分から動かない限りは何も変化しません。
親は2~3年後の姿を想像しながら積極的に活動しないといけないのが現状です。
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広く発信を
とうや
双方向のコミュニケーションが言葉で出来るというのは大きな成長を感じる場面ですね。私も娘と会話できる日が楽しみです。風疹の予防接種にせよ、葉酸の摂...
双方向のコミュニケーションが言葉で出来るというのは大きな成長を感じる場面ですね。私も娘と会話できる日が楽しみです。
風疹の予防接種にせよ、葉酸の摂取にせよ、喫煙の影響にせよ、妊娠前から気をつけるべきことを学べる機会って本当に少ないです。いざ妊娠すると、今度は逆に正誤の分からない情報までどんどん入ってきて戸惑うこともあるほどなのに。
私は、できれば妊娠や出産についての正しい情報を義務教育の中で提供できる仕組みを整えてもらえたらいいなと思うのですが、現状はなかなか難しいことも多いようで…。せめて、大学で講義の一環としてセミナーを開くなどして、大学生も一般の人も聴講できれば良いのではないかと思います。これも大切な一般教養です。
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葉酸の摂取について
旭太郎
葉酸摂取について興味深く読みました。 「1991年にイギリスの大規模調査で、二分脊椎の約半数が予防できることが分かった」ということは、言い換え...
葉酸摂取について興味深く読みました。
「1991年にイギリスの大規模調査で、二分脊椎の約半数が予防できることが分かった」ということは、言い換えれば「半数は予防できない」ということですね。「予防できない」から何もしないという選択肢はなく、二分脊椎の子どもがお腹の中にいることが分かった場合、親子ともに医療や福祉はもちろん保育や教育、地域社会などからのきめ細かな支援が必要だということですね。裏を返せば、きめ細かな支援がさえあれば立派に育つということではないでしょうか。その「きめ細かな支援」にも触れる必要があるのでは、と感じました。
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