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[なっ解く]「高額療養費制度」来年1月見直し…年収多い人 増える負担

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 医療費が高額になった場合、自己負担を一定額に抑える「高額療養費制度」が、来年1月に見直される。70歳未満で年収の少ない人は負担減となるが、年収の多い人は負担増になる。

 高額療養費制度では、一定額を超えた金額は公的医療保険から支給される。保険適用される診療で、医療機関や薬局の窓口でひと月に支払う医療費(原則3割)が、月収相当額の約25%を超えると対象になる。自己負担上限額は年収区分ごとに設定されている。加入している医療保険が異なると、世帯合算はできない。

 今回の見直しで、年収区分が細分化され、自己負担の額も変わる=表参照=。厚生労働省保険課は「中低所得層の負担を軽減するのが目的」と説明する。

 新設した「年収約210万~約370万円」だと自己負担上限額が低くなる。逆に「年収約770万円以上」の人は高くなる。「年収約1160万円以上」はさらに高くなる。

 負担減となる「年収約210万~約370万円」で医療費総額が月100万円の場合、自己負担上限額約8万7000円は3万円弱減り、約5万7000円になる。ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さんは「いざという時の貯蓄に回せる」と話す。

 一方、負担増となる層は注意が必要だ。八ツ井さんが気がかりなのは、年収約1160万円以上の自営業者など。自営業者などの加入する国民健康保険には、大企業などの健康保険組合が実施する独自の「付加給付」制度がないからだ。付加給付とは、健康保険組合が独自に、自己負担額の一部を支給してくれる制度だ。中小企業などの加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)にも、ない。

 重篤な病気では、入院が長期に及ぶことも多い。厚生労働省の患者調査(2011年)によると、「65歳以上の脳血管疾患」の平均入院日数は104日。医療費は4か月にまたがり必要となる。

 八ツ井さんは「働けない間の収入を補うための民間の『所得補償保険』もあるが、貯蓄でカバーする人が多い。日頃からの備えを考えてみて」と助言する。

 高額療養費を受け取るには加入する医療保険に手続きが必要だ。「限度額適用認定証」を公的医療保険から受け取れれば、窓口では自己負担額を支払うだけ。認定証がないと、高額療養費分が医療保険から払い戻されるのに3か月はかかる。病院で出てくる食事代、相部屋から個室に移ったときの差額ベッド代、先進医療で保険適用がされない医療費などは高額療養費の対象にならないので、注意したい。

高額療養費制度のポイント

 ・ひと月の医療費(3割負担分)が、月収相当額の約25%を超えると利用できる

 ・「付加給付」制度があれば、自己負担限度額はさらに減る

 ・差額ベッド代や保険適用のない先進医療は対象外

 ・限度額適用認定証を公的医療保険から受け取れば、自己負担額の上限額を超える金額は支払わずに済む

  (厚生労働省の資料を基に作成)

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