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精神科入院 減らそう(3)病院側も変わりたい

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日本精神科病院協会副会長 河崎建人氏

かわさき・たつひと 協会では主に政策を担当する。大阪医大卒。大阪大講師を経て大阪府貝塚市にある水間病院の院長、大阪精神科病院協会会長を務めている。62歳。


 精神科病院は、変わらないといけない、変わりたいと思っている。

 治療して改善すれば、患者は地域へ戻るのが本来の姿だ。長期入院の患者を多数抱え、高齢化がさらに進んでいくのは経営的にも不安が大きい。何もしないとつぶれるという危機感を多くの病院が抱いている。職員の雇用もある。軟着陸させたい。

 長期入院の患者はどうして多いのか。まず国策として、精神障害者を地域から隔絶した所に収容するという入院中心主義があった。

 精神保健医療の関係者にも偏見があった。十数年前までは、入院収容すれば足りるという感覚で、リハビリの考え方も乏しかった。精神科医療が未熟で、怠慢だったことを反省しないといけない。

 国民の精神障害への理解も足りなかった。住宅をはじめ地域生活の基盤も不十分で、家族に責任を負わせてきた。

 それらの結果、福祉や介護で対応すべき人たちを精神科病院が引き受け続けたため、長期入院の患者がたくさんできてしまった。

 この状況を打破するため、日本精神科病院協会は2012年に「将来ビジョン」をまとめた。重要な柱は、入院医療を適正化することだ。急性期の病棟は、充実した人員体制で密度の濃い医療をする。回復期も、密度の高いリハビリで社会復帰の準備をする。地域で暮らす人たちのためにアウトリーチ(訪問医療)を強化する。

 治療の難しい人たちは一部残るけれど、結果として不要になる病床が出てくる。

 そういう病床をグループホームなど居住施設に転換するという選択肢が、厚労省の検討会で認められた。病院による患者囲い込みが続くと批判されているが、病床の転換が主流になって、どんどん行われるとは思っていない。

 病院は、できれば急性期に特化して、本来の精神科医療に力を注ぎたい。しかし地理的条件から急性期ではやれない病院もある。そういう場合に居住施設に転換する道があれば、退院後の住む所の確保に役立つということだ。

 実際に病床の転換に手を挙げる病院は少ないと思う。むしろ、単純にベッドの削減にお金を出してくれるなら、かなりの病院が乗るだろう。

 地域移行を進めるための議論で、医療にかかる費用を削って福祉予算を増やすべきだという考え方があるが、それには反対だ。もともと一般の病院に比べて、精神科の入院費用は低く抑えられている。病床を減らし、スタッフ配置を手厚くした場合、本当に診療報酬を上げてくれるのか心配だ。改革を進めるため、政府は福祉にも医療にも必要な財源をしっかり投入してほしい。

 
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