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病児・障害児のきょうだい支援…あなたも大切 伝えたい

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 家族に病気や障害を持つ子どもがいると、その兄弟姉妹たちは自分の思いを閉じこめて我慢してしまうことが少なくないという。

 あまり目を向けられることのなかった「きょうだい支援」の取り組みが徐々に広がっている。

 大阪府の清田悠代ひさよさん(38)の4歳下の弟が重い心臓病と診断されたのは清田さんが13歳の時だった。

 「自分がしっかりしないと。親に心配かけたらあかん」。弟の命が一番大事、私は二の次と自然に思うようになっていた。弟が入院すれば必死で手紙を書き、打ち込んできた部活も早朝出かける時に弟が目を覚ましてしまうからやめようと考えた。第1志望の東京の大学に合格したが「母を支えないと」と結局、大阪の大学を選んだ。だが、弟は17歳で突然倒れ、帰らぬ人となった。弟のために生きるという目標を失ってしまった。

 半年たった冬の寒い日。「膝が痛い」というと、母親がさすってくれた。お風呂に入ると涙がぽろぽろこぼれた。「私も愛されたかったんだ」。蓋をしてきた気持ちにようやく向き合うことができた。

 大学で社会福祉を専攻し、研究テーマに「きょうだい支援」を選んだ。重い病気の子どもが入院する病棟では、親は面会できても、子どもは感染症がうつる危険があるため病棟に入れないことが多い。弟の入院中、自分と同じ立場の小さな子どもたちが、外で泣きながら親を待っていた。その姿を思い出したからだ。

 2003年、共感してくれた大学の先輩らとボランティアグループ「しぶたね」を結成。小学生のきょうだい児たちが遊ぶイベントと中高生の集まりを毎年2回ずつ開催。また大阪市内の病院では月2回、親を待つ病気の子どものきょうだいと遊ぶ。「みんながあなたのことを大切に思っているよ、という気持ちを伝えられたら」と清田さん。

 東京都の有馬靖子さん(52)は、大人向けの自助グループ「きょうだい支援の会」などを運営する。脳性まひの妹がおり、かわいいという思いと、将来の世話を託されたプレッシャーなど様々な葛藤に苦しんできた。米国では障害や病気のある人のきょうだいへの支援が普及していることを1997年に知り、翻訳して活動を広める一方、年10回、都内で例会を開いている。兄弟姉妹を英語でsibling(シブリング)といい、米国では様々なプログラムがある。

 「すべての人に当てはまるわけではないけれど、周囲にも話せない思いを抱えたまま、大人になってからうつになる人も。自分だけではないと知ることで楽になれる」と有馬さんは話す。

 看護師として15年間、きょうだい支援に取り組んできた元茨城キリスト教大看護学部教授の藤村真弓さんによると、小児看護の世界でも病気や障害のある子だけでなく、そのきょうだいも支援の対象に考える機運が高まり、支援に取り組む市民団体も増えつつある。

 藤村さんは今春、病気の子のきょうだいへのインタビューや全国各地の医療機関、市民団体の取り組みを紹介するDVD「ひろがる病児のきょうだい支援」を作った。「本人だけでなく、きょうだいたちも病気の影響を受けることに目を向け、どういう支援をしていけば良いかを知る手がかりにしてもらえれば」と話している。(館林牧子)

 ■しぶたね http://blog.canpan.info/sib-tane/

 ■きょうだい支援の会 http://www.geocities.jp/ssgj_tokyo/

 ■DVD「拡がる病児のきょうだい支援」 問い合わせ先 秀行企画(電子メールinfo@shukokikaku.com)

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