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高血圧はなぜ悪い?

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 なぜ血圧が高いと悪いのでしょうか?

 血管は高い圧がかかると、その血圧で破けたり、伸び広がったりしないように、収縮(血管抵抗が増加)します。血管は、収縮を続けていると硬くなってくる(動脈硬化)のです。

 硬くなった血管は、硬くなったゴムホースと同じような状況になります。

 水がちょろちょろとしか出ていないときには、ホースの先端を押しつぶして水流の勢いをつけるように、血管も血圧が下がって脳への血流が減ってきたときには、収縮して血圧をあげ、脳への血流を確保しようとします。

 硬いホースが押しつぶしにくいように、硬くなった血管では、この反応がうまくできないために、脳の血管の圧を上げることができず、血液の供給量が減ります。この時に脳梗塞が起こるのです。

 

就寝前にコップ1杯の水を

 特に多飲し、頻回のトイレの後で、水分補給が十分でない状態で寝た時が危険なのです!

 朝起きたら呂律ろれつが回らない、手足の動きが悪いといった状況を引き起こしかねないのです。

 就寝する前には、コップ1杯の水を飲みましょう。

 硬いホースを勢いよく押しつぶすと裂けることがあるように、動脈が硬くなっていると、急激に血圧が上がった際に脳の動脈が破裂し、脳出血になる危険が増えます

 心臓の方に視点を移してみよう。

 心臓が血液を送り出す時には、血圧が心臓の抵抗になります。血圧が高くなればなるほど、心臓は強く収縮しないと血液を送り出すことができません。風が強い時に風の吹く方向に扉を押し開けるときと同じです。

 血液を送り出しているときは、血管の硬さが抵抗となります。動脈硬化が進行すると、高い方の(収縮期)血圧が上昇してきます。ストローが曲がったりして細くなっていると、より強い圧をかけて吸わないといけない状況に似ています。

 

過信は禁物…血圧測定、いろいろな状況で

 「血圧は、安静にしてから測りましょう」とよく言われています。

 けれど、この状況は低い状態の血圧を確認しているだけです。

 車のスピードを考えてみましょう。パトカーの近くを走っている時のスピードであれば事故は起きませんが、パトカーがいなくなると、たいていの方はアクセルを踏み込み、スピードを上げます。事故が起きやすいのは、スピードを上げたときです。

 日々の生活でストレスが全くなく、血圧が変化しないのであればいいのですが、いろいろな要因で血圧は変動します。

 残業続きで寝不足になり、精神的なストレスが強ければ、当然のごとく血圧が上昇し、脳出血や心筋梗塞で倒れる危険が急激に上昇するのです。

 過労死がなくならないのは、「いつも測る血圧が問題ないから大丈夫」という過信から来ることが少なくないのです。高い血圧が続くときには、その血圧に合わせた対応が必要です。ぜひ、いろいろな状況での血圧を測ってみましょう。高い値が続くときは、近所の内科の先生に相談してください。

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kawamura

川村 昌嗣(かわむら まさひで)
1960年高知県生まれ。3浪の末に慶應義塾大学医学部に入学し、1988年に同学部卒業。2001年から11年まで、横浜市のけいゆう病院健診科で健康指導などにあたる。2012年1月に横浜市西区に川村内科診療所を開業。日本老年医学会指導医、日本抗加齢医学会専門医、未病システム学会専門医、日本人間ドック学会専門医。「内科医が教えるお腹がどんどん痩せていく腹凹歩きダイエット」(永岡書店)、「医師がすすめる50歳からの肉体改造」(幻冬舎ルネッサンス新書)などの著書がある。 川村内科診療所のウェブサイト http://www.kawamuranaika.jp/

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