文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

yomiDr.記事アーカイブ

スギ花粉症に期待の新治療法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 毎年、春になるとスギ花粉で、つらい毎日を過ごしている方に朗報です。スギ花粉によるアレルギーの新しい治療薬が発売されます。今回の治療薬は、減感作療法(アレルゲン免疫療法)に使う薬です。これまで、花粉症の治療は、アレルギー反応を抑える副腎皮質ホルモン、ヒスタミンによる症状を抑える抗ヒスタミン薬など、対症療法が中心でした。

 花粉症と減感作療法について、簡単に説明させていただきます。体がスギの花粉を取り込むと、拒否反応を起こします。拒否反応は、鼻水、鼻づまり、眼のかゆみなどの症状として現れます。これが花粉症です。減感作療法は、原因となるスギの花粉をほんのわずかずつ、体に入れるようにして、拒否反応を起こさないようにしていく治療法です。

 これまでの減感作療法は、スギ花粉を希釈した液を皮下注射する方法しかありませんでした。しかし、今回、新しい治療薬は、注射の痛みがなく、ただ毎日、舌のうらへスプレーするだけの簡単な治療法です。

 この新しい治療法は、医療者にとっても患者さんにとっても、いろいろと守らなければならない規則があります。医師がこの薬を処方するためには、指定された学会の講習会を受講する必要があります。そして、受講した医師には、インターネットで学習する権利が与えられます。医師は、自分のパスワードを使って、インターネットでの学習を行い、試験に合格して、初めて処方が許可される仕組みになっています。

 患者さんは、医師、薬剤師、看護師に十分な説明を受けてから始める必要があります。治療は2年間、毎日コツコツと続ける必要があります。また、最初の1年間は、2週間ごとに医療機関を受診する必要があります。定期的な診察によって、新しい治療薬の安全性を確認し、副作用などの調査を行うためです。

 科学の進歩によって、新しい治療法と治療薬が開発され、治癒可能な病気が増える。すばらしい時代になりました。

 しかし、どの時代にも、100%の治療はありません。最新治療だけでは、すべてを治すことは不可能です。減感作療法も、2年間にわたって毎日、治療を続けても、10~20%の方は、治療効果がない場合があります。減感作療法だけで、花粉症が完全に退治できるわけではありません。やはり、毎日の生活に注意し、健康への地道な努力が求められます。そのためには、自分の生活を今一度、見直してみることも、大切だと思います。自分では気づかない生活の問題点は、医師、薬剤師、看護師へ相談してみるといいでしょう。私たち医療従事者は、みなさんが毎日の生活を元気に安心して過ごすために手に手を取って前へ進んでいければと、日々、願っています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

いのちに優しく いまづ医師漢方ブログの一覧を見る

2件 のコメント

アレルギーと粘膜浮腫 睡眠時無呼吸症候群

寺田次郎関西医大放射線科不名誉享受

疾患が有名になったこともあって、健診でも睡眠時無呼吸の方はおられます。CPAPなどの導入に踏み切られている方もおられますが、節制はなかなかしんど...

疾患が有名になったこともあって、健診でも睡眠時無呼吸の方はおられます。
CPAPなどの導入に踏み切られている方もおられますが、節制はなかなかしんどいみたいですね。

閉塞性と中枢性のものがあるそうですが、それ以前にアレルギーなどによる気道粘膜の状況なども重要なファクターなのではないかと思います。

「お酒を飲むと眠りが浅い」人もいると聞きますが、それは粘膜浮腫によって気道が狭くなり、呼吸がいつもよりうまくいかないことによるものではないかと思います。

ところで、僕はアレルギー性鼻炎持ちなのですが、運動すると調子がいいです。
多分アドレナリンかなんかの影響だと思います。

あるいは、山中伸弥先生のノーベル賞もマラソンでしっかり気道が開いて脳に酸素が十分に届いたからかもしれないですね。

そのうち、アレルゲンへの曝露を抑えつつもしっかり呼吸できるランニング用のマスクでもできるんでしょうか?

つづきを読む

違反報告

早速主治医と連絡をとります。

埼玉のシニア

あの春先の 季節を肌で感じ 空気を胸一杯に吸い込みたい時期に、花粉症は残酷です。大阪万博の6年ほど前から私にとりついた悪魔の花粉症を止めてくれる...

あの春先の 季節を肌で感じ 空気を胸一杯に吸い込みたい時期に、花粉症は残酷です。大阪万博の6年ほど前から私にとりついた悪魔の花粉症を止めてくれるなら、どんな治療も進んで受けます。

副作用があって、それが発毛剤のように精子を減少させると言われても、精力減退と言われても、もう76歳の老人にはいらぬお世話。どうしても受けたい治療です。早速主治医と連絡をとります。

つづきを読む

違反報告

すべてのコメントを読む

最新記事