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公的医療保険制度…「国保」立て直しで議論

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 医療費の高騰で厳しさの増す公的医療保険の財政を立て直すため、厚生労働省の審議会で対応策が議論されています。

 立て直しのやり方によっては支出が増える可能性がある健康保険(健保)組合や協会けんぽ(全国健康保険協会)は危機感を募らせています。

全国民が加入

 ――公的保険はどんな仕組みですか?

 「日本では全国民が公的保険に加入しています。74歳以下の保険を運営する団体は主に三つあり、自営業者や農家らは市町村が運営する国民健康保険(国保)、大企業の社員らは健保組合、中小企業の社員らは協会けんぽのいずれかに入ります。協会けんぽは一つの団体ですが、健保組合は企業や業種ごとに約1400あります」

 「加入者は、収入に応じて決められた額の保険料を毎月運営団体に払い、病院を受診した時は医療費の7~8割を運営団体が負担します。75歳以上は、公費や各運営団体からの支援金などを財源にした後期高齢者医療制度に加入します」

 ――議論のきっかけは何ですか?

 「昨年、政府の有識者会議が国保を『保険制度の最終的な支え手』と位置づけ、財政健全化を求めたことです。高齢化や医療の高度化で医療費支出は急速に伸びています。特に国保は、加入者に無職の人や退職者が多く、保険料の収入が少ないのに医療費の支出が多いというジレンマを抱えています。加入者の所得に占める保険料率を2008年度の11・7%から11年度に14・3%に上げても、年0・3兆円の赤字になっています」

 「有識者会議は具体的な対応策として、国保の運営を市町村から財政基盤の強い都道府県に移すことを提言した上、今以上の公費投入を政府に求めました」

 ――なぜ健保組合や協会けんぽが危機感を持っているのですか?

 「有識者会議を受け、厚労省が健保組合側の後期高齢者医療制度への支援金を年1300億円増額できないかと提案したためです。協会けんぽについては同制度への支援金負担を減額する代わりに、国からの補助金を年2400億円減らします。浮いた補助金は国保支援にあてる算段です」

 「これに対し、健保組合でつくる健康保険組合連合会は『保険料は会社員の給料から集めたもの。それを国保の支援に回す形になるのはおかしい』と反発、協会けんぽも『現状でもぎりぎりの運営。補助金の増額がなければ立ちゆかなくなる』と訴えています」

医療費どう削減

 ――協会けんぽや健保組合も財政が厳しいのですか?

 「協会けんぽは、保険料率を09年度の8・2%から12年度以降は10%に引き上げています。民間企業の場合、雇用主も保険料の半額を支払うことになっており、企業側からは『現状が限界。負担が増えるとこれ以上雇用できなくなる』との声が出ています。協会けんぽは今のところ黒字決算ですが、10%のままでは2年後に赤字に転落する見通しです」

 「健保組合は全体で7年連続の赤字予算になり、平均の保険料率も8・8%で年々上がっています。健保組合は既に、会社員や雇用主の企業から集めた保険料の4割強を後期高齢者医療制度や、65~74歳の人の医療費支援に拠出しており、これ以上の負担はできないと主張しています」

 「高齢者の医療費は、現役世代に依存する構造になっており、現役世代も支えきれなくなっています。税金による公費投入が検討されていますが、医療費の無駄を見直し、効率的に削減することが不可避です。必要以上の通院や服薬を避け、適度な運動やバランスのとれた食事で病気を予防する。一人一人の心がけも大切です」(米山粛彦)

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