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日野原重明の100歳からの人生

介護・シニア

決して震災を忘れない 誓いを新たに

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 9月15日(月)は敬老の日で、13日からの3連休を利用して故郷に帰る人が多いのか、東北への高速道路はたいへんな渋滞でした。

 この3連休のうち、日曜と月曜の両日、私が会長をしている「新老人の会」の「第8回ジャンボリー宮城大会」が、仙台市の仙台サンプラザを会場にして開催されました。全国45か所の支部からの参加者も加えて会場は超満員、3000人もの方々が集まりました。

 ジャンボリーの大会スローガンは2011年3月11日の大震災を覚えておくためにも、「支え合い、共に生きる―東日本大震災から得たもの―」としました。

 ジャンボリーという言葉は一般の方には馴染なじみがないかもしれません。これは20世紀の初頭、イギリスの退役軍人であったパウエル卿が青少年の健全な育成を願って結成したボーイスカウトの活動に始まります。ボーイスカウトのメンバーは1年に1回、山や海辺でキャンプをするのが恒例ですが、夜には大きなたき火を囲んで歌を歌ったりして友情を深めるのです。

 さて、「新老人の会」のジャンボリーは、今回で8回目を迎えました。今年は、先にも述べたように3.11大震災を体験した東北地方を代表して「新老人の会宮城支部」がジャンボリーを主催しました。


まなざしに見た「復興」への強い思い

 初日のプログラムは、第1部で私が「チャレンジする勇気ある行動」と題して講演しました。私は震災の2か月後、NHKの取材陣と一緒に宮城県南三陸町の公立志津川病院や避難所の歌多津中学校を慰問しましたが、避難所で私を取り囲んだ女性たちの力強いまなざしから、必ず復興するという思いをつよく感じたことを話しました。

 第2部ではチェロの演奏に合わせ「3.11・あの日・鎮魂歌(レクイエム)」という詩の朗読がありました。そのほかNHK仙台少年少女合唱隊、宮城三女OG合唱団、男声合唱団いずみオッチェンコールの見事な合唱を聞かせてくれました。

 当日の夜は江陽グランドホテルでの懇親会です。祝舞「さんさしぐれ」で幕が開き、「宮城のおもてなし」と銘打った名物料理に舌鼓を打ち、そのあとはミニライブとつづきます。そしてフィナーレはすずめ踊り「ゆめ祭連まづら 粋樂すいらく」で、9時に閉会となりました。


人類の歴史は災害とのたたかい

 2日目は、恒例の「会員研修会」です。特別講演は宮城学院女子大学の平川新学長の「災害の歴史から学ぶこと」。これまで人類の歴史は災害とのたたかいであったとのこと、私たちははたしてこのたたかいに勝利を得ることはできたのだろうか。東日本大震災を経験した私たちは、この災害の歴史から何を学ぶべきかについて、示唆に富むお話を聞くことができました。

 つづいて4人の会員による被災地(者)支援活動報告がありました。それぞれが実感のこもったすばらしい体験談を披露してくれました。

 「決して東北の大震災は忘れない」と、参加者一人一人が固く胸に誓ったジャンボリー宮城大会でした。私も満たされた心で一泊二日の東北の旅を終えて東京に戻りました。

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日野原重明ブログ_顔120_120

日野原重明(ひのはら・しげあき)

誕生日:
1911年10月4日
聖路加国際病院名誉院長
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