石井苗子の健康術
yomiDr.記事アーカイブ
感染症予防の重要性 意識改革を
(デング熱だけじゃない。蚊が媒介する病気)
前回のブログに多くのコメントをありがとうございます。私は「ゆとり教育」は批判が多いけれど、学業のみにお金をかけた「つめこみ教育」は子どもを育てる上での目標が成績だけになっていたのではないかと言いたかったのですが、いつものことながら、言葉足らずで申し訳ありませんでした。
予防事業の重要性
今週もデング熱の報道が多かった週でした。私の卒業した大学の保健学教授がよくおっしゃっていたことがあります。
「病はかかってから治療すればいいだけではありません。地球環境の変化にさきがけ、どのような注意を払う必要があるかを国民に呼びかけるのが保健の仕事です。もう来ないという病も災害もありません。治療も薬も間に合わない危機に遭わないよう、予防事業は常に社会変化の観察と未来予測から行うことが必要なのです」
今回も地球温暖化に伴う日本の環境変化が大きく関係しているともいわれています。教授が言っていたように、私もこれまでデング熱は「もう来ない」と思っていました。
昭和から平成へ 変化した国民の意識
蚊が媒介する病に日本脳炎があります。「コガタアカイエカ」以外にも二十数種類以上の蚊から感染が可能だと言われ、とにかく蚊に刺されないようにしようと、昭和の時代に子どもだった私の家には蚊帳が
昔のように保健所が害虫一掃のために町内を駆除してまわるという風景もあまり見られなくなりましたが、それはそれでよいことかもしれません。メディアの多様化のおかげで、地球温暖化に伴い日本の気候が変化しつつあることや、食べ物から生活態度まで注意することが必要だと、国民が再認識することが多かった今年の夏でした。局地的な豪雨被害や土砂災害、猛暑にともなう熱中症などに続き、感染予防にも新たな意識が出てくると思います。
正しい予防法の選択を
今回のデング熱もそうですが、治療法がなく、対症療法に任せるしかないという病は、他にもあります。先日も書きましたが、風邪かなと思っていたら熱中症だったといったように自己診断というものはあてにならないことが多いものです。優れた医師と薬がそろっていても間に合わないこともありますから、情報網の発達を活用して、自分にあった予防法を選択することは大切でしょう。
でもそれだけでは、たりないでしょう。
デング熱を媒介する蚊は、日本脳炎のコガタアカイエカではなくて、ヤブカ属のネッタイシマカやヒトスジシマカだといっても、どんな蚊なのか区別がつく人がどれだけいるでしょう。
個々の病気の予防や自覚症状について詳しく説明したり、医師がコメントをするテレビ番組は大変人気がありますが、地球温暖化にともなって、どんな予防法に気を配った方がいいのか、予防接種についてどう考えたらいいのかといったような内容に興味をもって見られるような番組が増えていくといいと思っています。
【関連記事】