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(4)討論 歯磨き、長寿の切符

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パネリスト(敬称略)
西尾善彦 鹿児島大医歯学総合研究科糖尿病・内分泌内科学教授
中川種昭 慶応大医学部歯科・口腔外科学教授
大竹七未 サッカー解説者、東京国際大学女子サッカー部総監督



命に関わる歯周病

 ――健康寿命と糖尿病などのメタボリックシンドローム、さらに歯周病との関係の重要性が分かってきました。

 中川 糖尿病は血管を傷つけますが、歯茎には細かい血管が多く走っています。血管がもろくなると、病変も治りにくくなるのです。さらに、命に関わる病気になるまでには様々な要因が関わり、かつ多く段階をたどります。

 西尾 この考え方で大事な点は、命に関わる病気になった最も下流で予防しようと思ってもとてもできない点です。上流ですと、歯周病のケアや毎日の歯磨きなどのちょっとした努力で、将来の重大な事態を防げます。皆さんの少しの努力で、命に関わる病気のリスクを上流でせきとめる意味があると考えていただけたらと思います。


 ――会場からの質問にお答えいただきます。「歯周病菌がインスリンの効きを悪くするメカニズムを知りたい。ヘモグロビンA1cより食後高血糖が大事だと耳にしました」

 西尾 歯周病菌、歯周病がインスリンの効きを悪くするメカニズムは炎症反応を介してです。歯周病菌だけではなく、風邪や肺炎、おなかの炎症など菌やウイルスが体の中で増殖すると、人間の体は、それらに反応して炎症物質を出します。この炎症物質がインスリンの効果を減弱させると考えられています。

 ヘモグロビンA1cと食後高血糖を比較すると、合併症に関してより影響があるのはヘモグロビンA1cです。ただ、ヘモグロビンA1cがよくても食後急激に血糖が上がる方がいます。そういう方は心筋梗塞や脳梗塞など大きな血管の病気になりやすいということがわかっています。まず大事なのがA1c、次に食後の高血糖という順番で考えるとよいと思います。

実践講座では東京都歯科医師会付属歯科衛生士専門学校の生徒らがブラッシングを指導した

 

「きちんとかめる」大事

 ――「歯周病は遺伝しますか。総入れ歯ですが口臭は影響がありますか」

 中川 歯周病になりやすい傾向はあると思います。同じ刺激でも炎症性物質が多く出やすい体質ですと、歯周病菌のような炎症を引き起こすものに鋭敏だろうと考えられます。遺伝とは異なりますが、例えば家族でリスクの高い細菌を持っていると、親子や夫婦でうつりやすいので、家族に歯周病の方がいる場合、早めに歯科医院で診てもらうのがよいと思います。

 総入れ歯の口のにおいの元はまず唾液です。それから舌についている舌苔ぜったいもにおいの元となり、歯ブラシで取るとにおいが消えたりします。入れ歯に唾液や汚れがついて、においの元になる場合もあります。入れ歯洗浄剤などを使って、清潔に保つことも大事です。


コーディネーター
南砂(まさご)読売新聞東京本社調査研究本部長

 ――大竹さんにうかがいます。「現役時代の健康管理で、口腔ケア、ブラッシングに気をつけていましたか」

 大竹 トレーニング、休息、栄養が不可欠ですので、食事は気をつけていました。スポーツ選手と歯は切っても切り離せないので、歯のケアは欠かさずしてきました。


 西尾 普段の生活にちょっと気をつけていただくと糖尿病や歯周病は予防できます。それが健康寿命の延伸につながるということを感じていただければと思います。

 中川 やはりきちんとかめることが大切です。今日は歯周病だけに焦点を当てましたが、虫歯や歯周病で歯が欠損してもインプラント、ブリッジ、義歯などでご飯がおいしく食べられるようにすることが、健康寿命の延伸につながると思います。

 大竹 好きなスルメを食べるためにも歯の健康を維持したいと思います。健康寿命を長くできるよう、歯のケアからしていきたいと思います。

【参考になるウェブサイト】

◇日本歯科医師会 テーマパーク8020 http://www.jda.or.jp/park/
◇サンスター Mouth & Body PLAZA  http://www.mouth-body.com/


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