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はつらつ健康指南

健康・ダイエット・エクササイズ

カンピョウ 染み出るうまみ

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干したカンピョウを太さや長さなどでえり分ける(栃木県上三川町で)
カンピョウの原料となるユウガオの畑

 カンピョウで思い浮かぶのは、のり巻きの具だが、どんな食べ物で、どう作られるのか、知らない人も多いのではないだろうか。国産の9割以上を生産する栃木県を訪ねた。

 7月、8月はカンピョウの原料・ユウガオの実の収穫最盛期。主産地である県南部の農家は畑での作業と同時にカンピョウの製造も行わなければならず大忙しだ。

 「今朝は4時から作業しています」と話すのは、上三川かみのかわ町でカンピョウを生産販売している石崎幸寛さん(62)。くるくると回転するろくろのような台にユウガオの実を置き、カンナをあて厚さ約2ミリの帯状にむいていく。それを2メートルの長さに切ってさおにかけ、ビニールハウスの中に干す。すべて手作業で、ここまでを午前9時ごろまでに終えなければならない。太陽の光をたっぷりとあてて夕方まで乾燥させるためだ。この日は約300玉をむいて干した。

 むいたばかりのみずみずしい実をかじらせてもらった。カブのような歯触りで、ほんのりと甘い。この時期には地元の道の駅や直売所で、生のユウガオが販売され、煮て食べるとおいしいという。

 こうして干したものは、夕方に別の小屋に集め、二酸化硫黄で薫蒸する。白さを保ち、カビを防ぐためだ。この作業を2日間続けると、水分が抜けてしなしなとなったカンピョウができあがる。1玉7~8キロ・グラムの実は、わずか200グラムになってしまう。

 「食物繊維がたっぷりのカンピョウは、健康食としても注目されています」と話すのは、栃木県干瓢商業協同組合理事長の園部巌太郎さん(62)。妻の由紀子さん(62)に、カンピョウの戻し方を教えてもらった。水洗いしてから、塩を振りかけ、柔らかくなるまでよくもむ。塩を流して水にしばらく浸してから、たっぷりの熱湯でゆでる。「乾燥具合いや厚みなどカンピョウの状態によって、浸す時間やゆでる時間が変わってきます。ゆでながら、時々かんで、好みの硬さを探ってください」

 戻したカンピョウは、適当な大きさに切って、溶いた卵に入れ、だし汁で煮ればカンピョウの卵とじ。キュウリなど生野菜と合わせてドレッシングやマヨネーズであえればカンピョウサラダ。野菜と一緒に油でいため、しょうゆ、みりん、砂糖を加えただし汁で煮て酢飯にまぜればカンピョウの五目ご飯になる。しこしことした歯ごたえと、かむほどに染み出るうまみを感じながら味わいたい。

 ◎漂白と無漂白の違い カンピョウには、二酸化硫黄で薫蒸したものと、薫蒸しない「無漂白」のものがある。無漂白の方が、管理に手間がかかり値段は高い。茶色っぽく見た目もよくないが、味はいい。園部さんは「漂白されていても、時間がたてば硫黄成分が飛んで茶色っぽくなります。変色してもおいしいので、捨てずに食べて」と話す。(宮木優美)

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