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石井苗子の健康術

yomiDr.記事アーカイブ

パワハラでうつに…自覚なく、歩けなくなるほど悪化

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(「死を考えるくらいなら、闘え」)

 先日、私の友人が海に遊びに行き、帰宅した後に嘔吐おうとと下痢がおこったので「悪い物でも食べたかな?」と首をかしげているうちに、突然汗が噴き出したうえ、発熱し「水分は取っていたから風邪かな?」と、安静にしていたのですが、次第に具合が悪くなっていき、とうとう救急車を呼んだところ熱中症だったということです。

過信から病気が悪化

 病は時々「たいしたことはない」思っていたのに、悪化していくことがあります。「大丈夫だろう」と思い込んでしまう背景にはいつも、自分の健康に対する過信があります。熱中症になった私の友人も、日ごろから、自分の強靭きょうじんな体に自信がありました。

 その病の自覚ができないうちに悪化していく、実はこれが本人にとって一番つらい病です。

 心療内科のカルテを整理していても、同じことを感じることがあります。自分に自信がある人ほど、心の病の自覚を持つことが遅くなり、治療が遅れることがあります。

 たとえば、かつては営業成績がトップだったサラリーマンが「最近上司とそりが合わないな」と思っているうちに、パワハラを感じるようになり、心療内科で投薬治療を受けても治らず、原因不明のとう痛のため歩行困難になるまで体調が悪化してしまったという事例があります。

「パワハラ上司と闘え」

 実際は、自分がうつ病だということを認めたくないという気持ちとの葛藤から、体調不良はパワハラに原因があると自分に言い聞かせ、さらに悪化させてしまったのです。

 また別の方は、会社に上司のパワハラや、職場環境の改善を要求した後、上司は会社から注意を受けたのですが、その方は職場で浮いてしまい、同僚が口をきいてくれなくなっていき、体調が悪化し、駅のホームで自殺を考えるようになったと聞き、私は、大変気の毒に思いました。

 ところが先生が、「死を考えるぐらいなら、徹底的に闘ってからにしたらどうですか」とおっしゃるのを聞いて、驚きました。

 先生は、「薬だけではよくならない。自分の性格をよく知らなくてはいけない。自分を直視していない」というのです。自分の病の存在を認めていないから、自分のために周囲が変わるのが当たり前だと思っている。他者がパワハラの存在を立証しても、相手の態度が改まらないのであったら、直接相手にそれを指摘し、それから次をどうするか考えたらいかがかと先生はおっしゃるのです。

 患者さんはおそらく、先生がいたわってくれることを期待していたのではないかと思うのですが、先生は、ご本人に病の自覚を持ってほしかったのでしょう。

薬より自分の病気を知ること

 こういう問題は、その後のカウンセリングによるフォローが大きな役割を果たすだろうと思います。理解やいたわり、薬の処方は大切ですが、それだけでは治らないということです。自分の病に対する自覚が必要ですということでしょう。だからといって、気持ちがエスカレートして、事件や事故を起こさないようにすることも、治療側は忘れてはならないと思います。現在の自分からどう病を直していくかが課題なのですから。

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石井苗子さん顔87

石井苗子(いしい・みつこ)

誕生日: 1954年2月25日

出身地: 東京都

職業:女優・ヘルスケアカウンセラー

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7件 のコメント

パワハラともたれあい文化 リスク管理

寺田次郎関西医大放射線科不名誉享受

本や雑誌などによると、パワハラは加害者側の精神異常が原因の場合もあるようです。ある意味、加害者である上司が部下をいじめることによって成り立つコミ...

本や雑誌などによると、パワハラは加害者側の精神異常が原因の場合もあるようです。
ある意味、加害者である上司が部下をいじめることによって成り立つコミュニケーションとも言えます。

但し、そういう場合の上司は得てして個人の仕事能力やコネクションがあるため、会社側としては「有能」な方を守るのは仕方ありません。
もちろん、ある程度の共生関係であれば、社会の実際として仕方ありません。

最初はお互いの距離感も遠いものですが、時間や空間を共有していくうちに変わる関係性が悪い方に進んだ時にパワハラになっていくのでしょう。
エスカレートしないうちの解決が大事です。


子供のいじめと違って怖いのは、部署や仕事場を離れても情報を共有した嫌がらせがあり得ることですね。
人間社会は繋がりの社会なので、顔の広い人間であれば、あちらこちらに連絡を入れます。

距離の遠い関係の人であれば、普通は関係性の少ない新人よりも地位や肩書のある人間を信用するのは仕方のないことです。


ところで、日本社会は穏便と世間体社会なので、密室で説得などをされ、「なかったこと」を要求されることもあるそうですが、あまりにもひどい状況であれば、証拠を押さえた方がいいと思います。(物的証拠や隠し録音が有効だそうです。)

一度、上の役職ともめてその場所にすがろうなんて無駄なことをするよりも、良い条件で退職したほうがいいと思います。
加害者側が100%の悪とも限りませんが、ずるずる行っても幸せにはなりません。

むしろ、いつでも起こりうるリスクとして、貯金などの生活の整理をしておくことも、心のストレス軽減に良いかもしれないですね。

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大切な観念

健康増進法

自分の病の自覚。これ本当に大切です。いまの体や心の具合は健康な状態からどの位の位置にいるか。こういう事を自覚していれば、寛解状態だ、再発した、健...

自分の病の自覚。
これ本当に大切です。
いまの体や心の具合は健康な状態からどの位の位置にいるか。

こういう事を自覚していれば、寛解状態だ、再発した、健康だ、など意識できるので冷静に対処できると思います。
助けも呼びやすいし、自分の症状を相手に伝えやすいですね。

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質問

れみ

パワハラの件について質問させてください。先生が、上司を徹底的に戦うことを提案したことを、病の自覚を持つこと、との説明ですが、なぜ、そう考えられる...

パワハラの件について質問させてください。

先生が、上司を徹底的に戦うことを提案したことを、病の自覚を持つこと、との説明ですが、なぜ、そう考えられるのでしょうか。

病気であることの自覚を優先させたら、パワハラになったのは、上司のせいでなく、自分の対応が悪かったからだ、自分が強くなかったからだ、と考えて、上司に文句は言えなくなると思うのですが?

自分はこれでよいのだ、自分は健康だ、上司のしていることがおかしいのだと思えないと、戦えないのではないですか?

先生が、自殺するなら戦ってからにしたら、と提案したのは、あなたはおかしくないのだ、おかしいのは上司なのだ、と言いたかったのではないでしょうか。



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