俳優 石倉三郎さん
一病息災
[俳優 石倉三郎さん]痛風(2)寝る間もなく暴飲、吐血
上京して俳優になるという決断を、周囲は懸命に止めた。しかし、親に仕送りする約束を“錦の御旗”にし、劇団の試験を受けるため、ついに18歳で東京に来た。でも、高校を卒業してないのを理由に、受験はできなかった。
あこがれていた有名俳優に弟子入りしようと、自宅の門前まで行ったが、呼び鈴が押せず、帰ってきた。アルバイト先のおばさんから、「そんなに役者になりたければ、青山に行ってみな。芸能人がいるよ」と助言され、青山のスーパーで働くことにした。
休憩時間によく行っていた喫茶店で、生涯の師となる俳優の高倉健さんと顔見知りになった。役者を目指していることを知った高倉さんが、「(自分が所属する)東映においでよ。僕が紹介してあげるよ」と言ってくれた。
奇縁で、東映の大部屋に入ることができた。20歳。芸名は本名の石原三郎から、高倉さんの1字をもらった。任侠映画などの端役に出演するようになった。まだ若いから、けんかっ早く、毎晩、寝る時間もないぐらい酒を飲んでいた。
無理がたたったのか、突然、吐血した。「病気の知識があまりなかったので、血を吐いたから、結核だと思った。死ぬかもしれないと感じた」
胃潰瘍だった。しばらくすると自然に治り、また不節制の毎日に戻った。
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俳優 石倉 三郎(いしくら さぶろう)さん(67)
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