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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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自然の力を活用しよう

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 高校球児の夏がやってきました。台風の影響で、今年は、夏の甲子園の開会式が、2日も延期になる異例の全国高校野球大会となりました。ひとつの白球を真剣に追う彼らの姿は、多くの感動を与えてくれます。みなさんにとっての夏は、いかがでしょうか。学生にとっては、楽しい夏休み、営業担当のサラリーマンにとっては、クールビズでも暑い夏だと思います。

薬草で五感を確かめる

 わたしは、先日、休みを利用して薬学部の学生と一緒に水戸市にあるハーブ園を訪れました。このハーブ園では、漢方薬の材料に使う薬草がたくさん育てられているからです。学生たちは、漢方薬の薬理作用や効果などを理解する場合、教科書や参考資料といった机の上で学ぶことが多いのです。しかし、この実習に参加した学生たちは、自分たちで、薬草を摘み、エキスを搾り出し、ジュースにして味わうことで、薬草についての理解を自分の五感を使って確かめていきます。実際に、自分たちの目で見て、手で触れ、香りを嗅ぎ、舌で味わうことで、ひとつひとつの薬草をより深く理解したことでしょう。

ペパーミントの冷湿布は、どうして冷たく感じるの?

 ハーブ園では、2種類のペパーミントが育てられていました。このハーブ園の園長先生お手製の赤じそジュースにも、このペパーミントが使われていました。その香りは、いつもわたしが口にしているペパーミントの何倍も強く、味も濃いものでした。同行した薬学部の先生と、「ペパーミントを入れたお湯は、温かいけれど、飲んだ後に口の中へ爽快感が広がり、ひんやりと感じるのは、どうしてだろう」と、ペパーミントの効用が、話題になりました。この香りのもとであるペパーミントの成分は、打撲や筋肉痛に使う冷湿布に使われています。

 冷湿布は、冷蔵庫で冷やさなくても、ペパーミントに含まれる成分の作用で、口の中の粘膜や皮膚に直接作用して「冷たく」感じます。実際には、常温のままの冷湿布でも、身体は冷たく感じるのですから、ペパーミントの作用は、熱をとり、患部を冷やす効果があります。自然の力を治療にうまく利用しているわけです。

自然の力を活用して、元気で健康な生活を

 ペパーミントをはじめ、ハーブ園にあった多くの植物は、漢方薬の材料に使われています。知識と経験で、自然から人の健康を守る漢方薬が作られています。科学の進歩で開発された新薬が果たす役割と、自然によって育まれた漢方薬の役割は、おのずと違っていると思います。

 日本で行われている医療の利点の一つに、一人の医師が、新薬と漢方薬を一緒に使う点があげられます。海外では、西洋医学と漢方医学のような伝統医学は、医師免許が異なり、新薬は西洋医学の免許を持った医師、伝統薬は伝統医学の免許を持った医師が、それぞれ別々に処方します。日本だけが、同時に両方の医学の治療を同じ医師から受けることが出来ます。

 科学の力でうまく治療ができないところを自然の力を活用し、漢方医学で補っていく日本の医療は、みなさんの元気で健康な生活を支えていきます。

薬のホント!食のホント!

 ところで、みなさんも、この自然の力を一度、実際に体験してみませんか。9月14、15日に「日本社会薬学会33年会」が、東京都港区にある慶応義塾大学薬学部芝共立キャンパスで開催されます。
http://shayaku.umin.jp/33nenkai/index.html

 また、前日の13日の土曜日の午後、市民講座では、「薬のホント!食のホント!」をテーマに、薬膳クッキーやハーブティーを実際に味わっていただく予定です。どうやって自然の力を生活に取り入れていけばいいか、具体的にお話しさせていただく予定です。ぜひ、ご参加くださいね。

 その後、ハーブ園の園長先生から、宅配便でペパーミントの苗が送られてきました。わたしも、東京でペパーミントを育てはじめます。園長先生にいただいた植物たちが、東京の地で無事に育ってくれるように、心から願っています。園長先生、ハーブ園の関係者の皆さん、本当にありがとうございました。

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いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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2件 のコメント

薬草を求め、奥多摩散策

めざめたじいさん

 風の日、目にゴミが入ると母が舌で舐めてくれた。傷口も・・・。ネコなどの動物と同じだった。 転んで膝から血が出ると、ヨモギの葉を揉んで傷口を押さ...

 風の日、目にゴミが入ると母が舌で舐めてくれた。傷口も・・・。ネコなどの動物と同じだった。

 転んで膝から血が出ると、ヨモギの葉を揉んで傷口を押さえた。

 特別なとき以外は、「富山のクスリ」には頼らなかった。下痢にゲンノショウコ、湿疹にドクダミ、火傷にユキノシタ、咳止めはオオバコ、胃弱にセンブリ・・・。父親はイカリ草。

 戦前家族の行楽は奥多摩の高台を散策することだった。道端に生えているセンブリやゲンノショウコは、摘み取って腰に結わえて歩いた。親は子どもに毒草と薬草を教えてくれた。景色もさることながら、薬草探しもけっこう楽しかった。

 薬草を煎じて飲ませてくれた両親は、親から教えられたことを子どもに伝えていたのだ。都会から来る観光客には分からない、山歩きを愉しんでいた。

 我が家に疎開してきた大学生が、私たち兄弟を同じコースを選んで連れて行ってくれた。優しいお兄さんは杖を作ってくれたが、この木がウルシだとは知らなかった。私だけがその晩からウルシかぶれに悩まされることになった。1ヶ月以上外出できず、新制中学1年生は5月半ばから生徒になれた。

 田舎暮らしの人には考えられない行為で、毒キノコでも食べてしまう都会人は気の毒だ。

 自然を知り、上手に活用することが、ほとんど忘れられてきている。


 

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懐かしい思い出

埼玉のシニア

子供の頃、父が田んぼの田の草取りで稲の葉っぱに目をやられ、漆の木に似た木から葉っぱを切って、その切り口から滴り落ちる樹液を目薬のように付けていま...

子供の頃、父が田んぼの田の草取りで稲の葉っぱに目をやられ、漆の木に似た木から葉っぱを切って、その切り口から滴り落ちる樹液を目薬のように付けていました。

農家ですし、医者までは遠く、昔、田舎では草木から傷や消化不良の胃薬、下痢、歯痛、はては血止めまで代用していました。もちろん完ぺきではないので可能の心配がありましたから、医者に行けるときは行きました。

先生のブログは、こんなつまらない傷や下痢などの症状に対する対応ではなくて、もっと研究の進んだものですが、毎回とても懐かしく拝読するのは、私に昔の生活が会ったからですね。そんなことも知らないと興味が半減しますから。

格段に進歩した医療のおかげで平均寿命が又延びました。うれしい限りですので、ここらでじっくり効く漢方のお世話になろうかな。まずは健康増進の漢方から始めよう。

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