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最新医療~夕刊からだ面より

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海外旅行の感染症対策…目的地のリスク確認

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 海外旅行に行く人が増える中、旅先での感染症対策が重要となっている。特に旅先が発展途上国の場合、衛生状態の悪さから様々な感染症にかかるおそれがある。医療体制が整っていない地域もあり、ワクチン接種など対策をきちんと取って旅行を楽しみたい。



ワクチン接種…途上国 A型肝炎・破傷風が最優先

 法務省によると、日本人の出国者数は増えており、昨年は約1747万人。気軽に海外旅行に行く時代になったが、注意したいのは感染症のリスクだ。

 国立国際医療研究センター(東京都新宿区)で海外渡航者を専門に診療するトラベルクリニック医長の金川修造さんによると、リスクがより高いのは、先進国よりも発展途上国、都市部よりも地方都市で、旅行期間がより長い場合だ。

 団体旅行では、比較的衛生状態の良いホテルに宿泊することが多いが、個人旅行の場合、地元の屋台や民宿など衛生管理の行き届いていない場所に行くこともあり、食べ物や飲み水を通じて感染症にかかるリスクが高くなる。このほか、動物や、川でのラフティングやプールの水を通じて感染することもある。

 命を落としかねない感染症もあり、まずは出国前に外務省や厚生労働省のホームページで目的地の感染症のリスクをチェックすること。その上で、ワクチン接種を受けることが有効だ。

 効果が出るまでに一定の期間が必要なワクチンもあるため、遅くとも出発の1か月前には近くの医療機関で相談したい。日本渡航医学会のサイト(http://www.tramedjsth.jp/)にあるリストも参考になる。

 どのワクチンを打つかは旅先の状況で判断する。発展途上国に行く場合、水や食べ物を介して感染するA型肝炎ウイルスと、土や動物の腸管にいる破傷風菌への対策が最優先される。このほか行き先に応じてB型肝炎ウイルス、腸チフス菌、狂犬病のワクチンなどを打つ。

 金川さんによると、盲点になるのが日本の定期接種や任意接種のワクチンを接種していない場合だ。はしかや風疹が旅先で流行していて、未接種の日本人旅行者がかかる場合もある。帰国後しばらくして感染が分かり、その間、知らないうちに他人にうつしている可能性もある。

 糖尿病やぜんそくなど持病がある場合、事前にかかりつけ医に相談する。スーツケースが目的地と異なる場所に間違って届くこともあるため、常用薬は、手持ちのかばんなど複数に分けることも心がけたい。

 海外旅行傷害保険への加入も重要だ。海外での医療費は高額なことが多く、入院費が数百万円に上ることもある。保険に未加入だと自己負担になってしまう。

 帰国後、異変を感じた場合は早めの受診が大切だ。感染しても下痢などはたいてい水分をとれば治るが、潜伏期間を経て発症する感染症も少なくない。マラリアでは感染から発症まで1~4週間かかる。治療が数日遅れると命にかかわることもある。診断がつかない時は、海外での感染症に詳しい医師をすぐに受診することが大切だ。

 ワクチンの費用は自己負担だが、同クリニックでは、バックパックなどの個人旅行をする機会の多い学生がワクチン接種を受けやすいよう、学生価格を設定している。金川さんは「予防できるリスクには適切な対策を取り、楽しい旅にしてほしい」と話している。(酒井麻里子)

 
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