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宋美玄のママライフ実況中継

コラム

病児保育、親と子に優しい環境整備を

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暑すぎて日曜なのにガラガラの上野動物園です

 暑い日が続いて子どもの体調管理が難しい季節ですね。夜にエアコンをつけずに寝たら、朝起きると娘は汗びっしょりで、首のしわのところに汗疹あせもができて夜の間にかきむしってしまっていました。猛暑はつらいですね。

 先日、娘が突然熱を出して保育園から呼び出しがありました。その時は、たまたま実家の母が来てくれている時だったので、母に迎えに行ってもらい、その後完治するまでの2日間は家で一日中娘をみてもらいました。

 考えてみれば、私は忙しく働いていながら、子どもが病気になったときの対策を全く立てていませんでした。思い返せば、妊娠中はあまりにも忙しかったので子どもを預ける先については何も考えられず、出産後になんとか認可外の保育園に入園できることになったものの、当時の勤務先は子どもが病気をした時にはお休み出来るところと子どもを連れて出勤できるところだったため、病児保育については考えたことがなかったのです。娘は、乳児の頃に何度か中耳炎になったことがあるくらいで、発熱は年に1度くらいしかないという健康優良児なので、そのまま来たのでした。

子どもの急病に対応しているとは言えず…

 今回は母のおかげで何とかなったのですが、みんなどうしているのだろうと思って遅まきながら調べてみると、東京都福祉保健局のホームページに案内がありました。病児を預かってくれる施設の一覧が載っていたのですが、自分が住んでいる区にはほとんど施設がなく、しかもそれぞれの定員は3~6人のところが多いです。これでは都内の子どもの急な病気に対応しているとは言えません。ちなみに、当然のことながら「地域の病児・病後児保育施設の情報を収集し、必要と判断される場合は事前登録を行い、利用方法を確認しておきましょう」と書いており、熱が出てから騒いでいた我が家のリスク管理は非常にお粗末であることはまちがいないです。そもそも病気の子どもをそういった施設まで連れて行くのは子どもにとって負担ではないでしょうか。

施設型と訪問型、両方に補助金を

 病児保育の認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんにきいてみたところ、行政の行っている病児保育事業は基本的に施設ありきで、小児科しか病児保育ができないようになっているので施設が足りないそうです。定員が少ない上に、感染症の子がひとり入れば他の子が入れなくなるのでキャパシティが足りないけれども、補助金が入っているので保護者の負担は少なくてすむそうです。

 一方、フローレンスのような訪問型の病児保育は、定員の問題がなく、病気の子どもの負担も少なくてすみますが、補助金がないので保護者の負担が施設型に比べると大きいそうです。それで思い出しました。「年に1度あるぐらいの娘の病気のために加入するのは高いな」と思ったことを。どう考えても、施設型と訪問型の両方に補助金を入れるべきだと思うので、駒崎さんのような方に頑張って行政に働きかけていただきたいです。

仕事を休んで看病? できればそうしたいけれど…

 病児保育の話題になると、必ず「病気の時くらい親が仕事を休んでそばにいてやれ」という議論が出ます。そりゃあ、できればそうしたいという親がほとんどでしょう。しかし、子どもの病気の度に親が欠勤していては職場にとって迷惑だし負担でしょうから、今の社会では「子持ちは雇いたくない」「子どもができたのにどうして退職しないの?」という風潮になってしまいます。まずは短期的にできることとして、子どもを産んでも親が働き続けることができるように病児保育を整備し、長期的には家族のことなどで急に休んでも皆で支え合う余裕がある労働環境の実現を期待するのが現実的ではないでしょうか。

 子どもにとって一番いい環境整備を、行政にお願いしたいです。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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4件 のコメント

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子育て伝承の終焉、智慧より金で解決は嘘

小町ファン

子供が病気のとき、預けるのは専門家がいいです。行政に頼んでいれば、いろいろ施設を作って子供を預けられます。子供ってイベント前に熱だすなんてあたり...

子供が病気のとき、預けるのは専門家がいいです。
行政に頼んでいれば、いろいろ施設を作って子供を預けられます。

子供ってイベント前に熱だすなんてあたり前くらいの観念がないと。
親の雰囲気で子供は親を引きとめようとすることもあります。
子供はかまってちゃん。
当たり前ですよね。親が身近にいて欲しい。
わがまま言いたい。なんでもしてくれますから。
その手当てしてくれた、一緒に遊んでくれたという記憶が子供の子供に影響する事もあるでしょう。

あともうひとつ。
預かる側も休めません。
双方が休めないんです。

核家族の人数構成のしっぺ返しなんでしょう。
同居というのはひじょうに難しい生活形態です。
核家族というのは子育てにはひじょうに難しい生活形態だと思います。

以上のようなことを踏まえて子供には結婚というものを考えてもらっています。保育士免許保有のうちの子供が保育士をやめて違う職種をやってまみたいと言われたとき、もちろん賛成しました。
保育士という職で子供をもったら無理。
子育て期間中は違う職でやったほうが、有利と思ったからです。

子供には言ってあったんです。
教職、保育士、幼稚園教諭など人を扱う職をなぜ選ぶ?
やめたほうがいいよ。。。
子供達、だんだんわかってきたようです。
シングルでいたほうが自分のやりたい事に集中できると。
なんと彼氏、彼女に自分のやりたい職があるから入籍、結婚は待ってもらっているそうです。

学校でも言われたそうです。
学士でも修士でも生涯賃金そう差はないと。
高校を卒業のときにこれからかかる教育費全額を渡すから考えるように子供にはいいました。結果、授業料としてなくなりました。
親になる教育の充実が待たれます。
それまではどんなに施設を作っても、もっともっと欲しいは止まらないでしょう。

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保育の充実

kame

育児を皆で支えあう労働環境の実現、まさにそれが理想だと思います。育児のため「職場に余裕を持たせること」について、もっと考えられてほしいと思います...

育児を皆で支えあう労働環境の実現、まさにそれが理想だと思います。
育児のため「職場に余裕を持たせること」について、もっと考えられてほしいと思います。

なんだって、充実することは有難いのですが、
世の中、それを賢く利用できる人ばかりとは限らないところが、困りものです。
たとえば、緊急のはずのものが「便利なしろもの」に、変わる時。
本当にそれを必要とする人だけが利用する、のなら、不足しないはずのものって出てくるのですよね。

子どもが病気になった時、母親か父親かが、努力すれば、どうにかこうにか早退したり休んだりできるかもしれない。
でも、どうにかこうにか、そんな努力しなくたって「預ければいいじゃん。」となれば、簡単に預けるし、
プロの人がついてくれるのなら、親よりその方が子どものためだからという開き直りすら出てきて、
積極的に預けて働きましょう、女性の働く権利は云々、なんて言い出しかねない。

もちろん、突き詰めれば、個々モラルの問題もあるのでしょうが、
環境が整うことによって、人の意識が簡単に流されて、変わっていく恐ろしさがあるのも、また事実。
教育機関や医療機関が、まるでお客様産業かのようになっていって、要らぬ問題が増えてしまったように、
根本を忘れて、上げ膳据え膳にしていったあげく、実は大きな落とし穴が待ち構えている、なんてことになりませんよう。

「子どもにとって一番いい環境整備」、おっしゃるとおりと思います。
保育の充実についても、大人の都合や便利よさ、を考えるのと同じくらい、
子どもにとっては何が最善で望ましいのか、についても忘れず議論されてほしいと思います。

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「病気の時くらい親が休め」論への憤り

さくら

先生のご意見に同感です。特に、いつも腹立たしいのは、「子どもが病気の時くらい、母親が仕事を休め」論です。このようなことを平気で言う人は、自身が社...

先生のご意見に同感です。

特に、いつも腹立たしいのは、「子どもが病気の時くらい、母親が仕事を休め」論です。

このようなことを平気で言う人は、自身が社会人としての責任感を持って仕事をしていないのだと
思います。いい加減に仕事をしているから、そのような発想が出てくるのでしょう。
責任感を持って自分の仕事をしている人であれば、家庭の突発的な理由で
簡単に仕事を休めるものではないことは、十分わかるはずです。

もしくは、女性の仕事を、日々、ルーティーンが単調に繰り返され
月曜に休んでも火曜に休んでも、影響は同じだと思っているか、
誰でも代替が効く仕事だと思っているのでしょう。

実際は、ホワイトカラーや管理職の場合は、日によって「休めない度」に濃淡があり、
絶対に休めない日というのがあるのです。
これは、「子どもが病気の時」とは、まったく異なるサイクルでやってきます。

「子どもが病気の時」のタイミングと、親が調整して仕事を休めるタイミングは、
同じタイミングではありません。
むしろ、絶対に欠席できない重要な会議のある時に限って、「子どもの病気の時」というのは
来るのです。

したがって、「子どもが病気の時」=「親が優先的に休むべき日」とはならず、
「子どもが病気の時くらい」論は、破綻しているのです。

多くの母親たちが、重要な会議や商談がある前の日は、絶対、
熱を出さないでと、祈るように子どもの寝顔を見るしかない綱渡りの状況の中、
「子どもが病気の時くらい、母親が仕事を休め」論は、無知で無神経極まりない
意見なのです。

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