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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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喉頭がんと食道がん 検査も治療も飛躍的進歩

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 最近、有名人が、喉頭がんや食道がんになった、という報道が続いています。これまで、胃がんや肺がんなど、統計学的に日本人がなりやすいがんについての情報は、インターネットなどでもたくさんみつけることができます。しかし、喉頭がんや食道がんといった比較的少ない病気については、正確な情報があまりないように思います。

 わたしの専門は、外科ですが、その中でも食道外科を中心に20年以上、勉強させていただきました。そこで、今回は簡単に、喉頭がんと食道がんについて、説明させていただきます。

酒、たばこが影響も

 喉頭と食道は、食べ物が通過する場所です。喉頭がんは、「のどのがん」とも呼ばれ、口の奥からのどにかけてできるがんです。

 喉頭の次に食べ物が通過するのが、食道です。食道がんは、のどから胃までの間にある食道にできるがんです。

 喉頭がんも食道がんも、食べ物や飲み物の影響を強く受ける病気です。とくにお酒との関係が指摘されています。お酒を飲んで顔が赤くなる人は、がんになる危険信号だと考えられています。

 また、たばことの関係も、古くから指摘されています。たばこによって発生すると考えられているがんは、舌がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、肺がん、膵臓すいぞうがん、膀胱ぼうこうがん、子宮けいがん、といろいろあります。

最先端の医療技術「偏光内視鏡」とは

 早期がんの場合は、症状がありません。病気が進むにつれて、「熱いものがしみる」「飲み込みがわるくなる」「違和感がある」「食べ物がつかえる」などの症状が現れます。このような症状は、がんができる場所によってさまざまです。心配な方は、かならず専門医に相談されるといいでしょう。

 検査は、耳鼻咽喉科で行っている喉頭ファイバーや、消化器科で行っている上部消化管内視鏡検査が良いと思います。特に、最近では、偏光内視鏡という特殊な装置で、簡単に見つけることができるようになりました。

普通の光で見たのどの様子

偏光内視鏡で見たのどの様子。状況を詳しく見られる

 わたしも、毎日の診療に、この偏光内視鏡を取り入れて検査をさせていただいています。実際の写真をお見せします。上が普通の光で見たのどです。下が偏光内視鏡で見たのどです。みなさんにも、写真の色の違いばかりでなく、血管の走行の様子など、違いが分かると思います。

 これまで、細胞を採取して、顕微鏡で見ないと分からなかったがん細胞を、光を工夫することで見分けることができるようになりました。この偏光内視鏡は、日本が世界に誇る最先端の医療技術のひとつです。

進歩した治療法

 治療は、大きく分けて3つあります。


 一つ目は、手術です。喉頭がんの治療法には、耳鼻咽喉科医と外科医が共同で開発した新しい治療法があります。偏光内視鏡を使って病気を正確に見極め、さらに色素を使って病気の部位を確定します。そうすることで、大きく切り取るのではなく、できる限り患者さんに負担をかけないように小さく病気を切除する方法です。食道がんの治療法も、大きな進歩があります。広い範囲にひろがっている食道がんを内視鏡を使って、丁寧に剥がしながら切り取っていく治療法が開発されています。

 二つ目は、薬物療法です。以前は、大きな副作用を伴う方法でしたが、最近では少ない量の抗がん剤を二つ、三つと組み合わせて行う方法が行われるようになりました。

 三つ目は、放射線療法です。とくに、放射線療法と抗がん剤を組み合わせて、同時に行う化学放射線療法が主体になってきました。喉頭がんと食道がんは、この方法が進歩したおかげで、「治る病気」になってきました。


 以上のように、新しい技術で、早期発見が可能となり、治療法も飛躍的に向上し、喉頭がんも食道がんも、助かる病気に一歩、近づいたと感じています。

 しかし、治療に伴う副作用、合併症は、改善されたとは言え、いまだに大きな問題です。西洋医学では、解決することができない問題を何とか漢方医学で対応できないか、それが20年以上にわたって、わたしの一番の関心です。次回は、喉頭がんと食道がんの治療に、漢方医学を応用する方法をお教えします。

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いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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1件 のコメント

長寿よりも「健康長寿」でいたい

めざめたじいさん

 日本人男子の平均寿命が80歳を超えたという。私はまだ少しだが80には届いていない。正規分布で言えばまだ最高点より左にいる。酒もタバコも嗜まない...

 日本人男子の平均寿命が80歳を超えたという。私はまだ少しだが80には届いていない。正規分布で言えばまだ最高点より左にいる。酒もタバコも嗜まないというと、にやりとして小指を立てられる。
それはさておいて、先日、暑中見舞いの礼を電話で受けた。50代とも思える若い声に、小学生を持った女性ではと・・・。私の知っているその人は45歳頃声帯を切除した方で、声にならないかすれた話し方の婦人だった。
敬虔なクリスチャンで長いこと、キリスト教神学校の事務をされたいた。あるとき学校を訪ねてきた医師に、声を取り戻して上げます」と。日本で5本の指に入る名医のお陰で、電話で聞いたはしゃいだ声を取り戻したという。
 人は5感の一つでも無くすと、急に老け込む。家内の老化は耳から始まった。聞こえないもどかしさ、聞いてもらえない悔しさ。会話のない二人だけの食事の不味さは、食欲を落とす。体力さえも衰え、いろいろな病気を引っ張り込む。そして目。目がかすむことがどれほど人を落ち込ませるか。新聞も雑誌も、TVさえ見るのが辛くなってきている。加えて歯。物がよく噛めない、唾液の出ない、ますます食事は美味しくなくなりすっかり体力を落とした。この暑さで、ときどき限界などと弱気になる。
 人は必ず死ぬと分かっているが、病気をしながら長生きをしても、何の面白みもない。「昨日まで、あの元気で物を書いていた人が・・・」と、惜しまれて逝くのが、誰でも願うところ。
 いま困っているのは、不安症。昨年から酷い目まいに悩まされている。またあの苦しい目に遭うのではないかと、いつも不安で堪らないという。漢方では対処できないものだろうか。

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