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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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熱中症予防 3つのポイント

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 わたしは、先週の日曜日、このブログでお伝えした全国高等学校小倉百人一首かるた選手権大会へ、観戦に行ってきました。大津市で開催された大会初日、5人対5人の団体戦の準決勝は、昨年の覇者である東京代表・暁星と、栃木代表・宇都宮の一戦となりました。この試合、最後は、5人のうち3人が「運命戦」となる、接戦となりました(「運命戦」とは、自分と対戦相手の持ち札が、それぞれ1枚ずつになる戦いをいいます)。

 この激戦を制した暁星が、7年連続日本一の座を獲得する、感動的な幕切れとなりました。この大会に参加した全国249校の高校生の皆さん、学校関係者の皆さん、本当にお疲れ様でした。どうか、高校生の皆さん、百人一首をはじめとした日本の伝統文化をこれからも大切に守り続けてくださいね。

暑い日が続きますが

 それにしても、梅雨が明け、暑い日が続きますが、みなさんは熱中症対策、大丈夫でしょうか。

 暑くなると汗が滝のように流れ、外の暑さと電車の涼しさの温度差で風邪を引いてしまう人。水分不足から体調を崩す人。食欲がなくなり、体力が低下する人。症状は様々です。

 梅雨時から初夏にかけて、環境の変化が人の健康に大きな影響を与えます。この時期、熱中症にならないように、注意するポイントが3つあります。


1.太陽光線に気をつけましょう。

 直射日光に当たるときは、帽子をかぶったり、日よけ傘を差したりするなどの予防策が必要です。とくに露出した肌は、太陽光線で焼けてしまいます。日焼けは、簡単に言うとやけどの一種です。最初は、皮膚が赤くなるだけですが、ひどくなると水膨れになります。うすでの服では、肌を日光から防ぐことができませんので、注意してください。

 こんな時、漢方医学では、「寒熱かんねつ」の考え方から、「熱」の異常と考え、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を使って、治療を行います。

2.水分不足に気をつけましょう。

 部屋の中にいても、平均気温が上がると、知らないうちに脱水になっています。人の身体は70%が水分で出来ていますので、脱水は、命の問題にもつながります。日頃から、手の届くところに、水分をおいておくように工夫されると良いでしょう。

漢方医学では、「気血水きけつすい」の考え方から、「水」の異常と考え、五苓散(ごれいさん)を使って、治療を行います。

3.夏ばてに気をつけましょう。

 暑い日が続くと、だんだんと食欲がなくなり、食事を取らずに水分だけで過ごしてしまう場合があります。夏ばての始まりです。食欲の低下から体力の低下へと進んでいきます。消化管症状が、全身へ影響を与える典型的な状態が、夏ばてです。

 漢方医学では、「気血水」の考え方から、「気」の異常と考え、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を使って治療を行います。



 熱中症の季節、この3つのポイントを自分でチェックしながら、暑い夏を元気で健康に乗り切ってくださいね。あなたの健康に、漢方医学がやさしく手助けをしてくれます。

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いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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6件 のコメント

低ナトリウム脱水と冷製スープ 血管内脱水

寺田次郎関西医大放射線科不名誉享受

8月も終わりになって少し涼しくなりましたが、また何度か暑い日は来るかもしれないですね。ところで、先日コンビニで冷製スープの缶が売られているのを見...

8月も終わりになって少し涼しくなりましたが、また何度か暑い日は来るかもしれないですね。

ところで、先日コンビニで冷製スープの缶が売られているのを見つけました。
経口補水液やスポーツドリンクだけでは種類も限られますし、特に食べる量の少ない人にとっては良いのかもしれません。

その根拠は低ナトリウム性脱水です。
文字では伝わりづらいから検索していただくとよいと思いますが、塩は正義でも悪でもなく程度問題で、水分だけとっても(血管内)脱水症になるケースがあるので、そういうものへの対処です。

いくつかの企業さんにとってはビジネスチャンスですので、季節を問わず気持ちよく水分やミネラルを摂取できる商品がたくさん出てほしいものです。

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熱中症対策 医療機関との連携 意識レベル

元放射線科医 寺田次郎 六甲学院56期

先日、フットサル施設で熱中症対策を聞かれました。一般的な水分や塩分の補給は最近いろんなところで喧伝されている通りです。治療行為は資格によって法的...

先日、フットサル施設で熱中症対策を聞かれました。
一般的な水分や塩分の補給は最近いろんなところで喧伝されている通りです。

治療行為は資格によって法的な制限もありますが、症状の程度による大ざっぱな分類や一連の医療行為の流れを共有できれば、医療機関にかかるかからないの判断も含めてスムーズな医療に繋がります。
大きなスポーツ施設であれば、救急隊などとの連携も含めて熱中症や怪我の発生時の訓練やマニュアルも大事になるかもしれません。

熱中症の細かい分類はネットで検索すればいくつも出てきますが、要は蓄熱(深部体温)と脱水症の程度問題です。
可逆性変化の程度問題がだんだん深刻になって行き、不可逆性の最重症になると致命傷になりかねないという感じでしょうか?

電解質濃度による脱水の種別などももちろん大事ですが、比較的枝葉の部分だと思います。
運動中の電解質補給だけでなく回復食の成分の方が大事な気もします。

僕自身はその程度の細かい区別はつきませんし、ちょっとした安静・給水や冷却で体調や意識がどうなるかの変化を追うことが医療機関を受診させるか否かの判断で大事なのではないかと思います。
(軽症まで全て受診させたら、医療機関がパンクします。)

熱中症だけではなく、疲労の蓄積は個人差が激しく、他人の目にも分かりづらい部分でありますが、意識が低下したときに自損の重症外傷が多いというデータもありますので、予防策を講じるだけではなく、ちょっとした声掛けや顔色を見てやるという行為が大事なのではないかと思います。

また、炎天下で働いたり、スポーツをするということ自体がそもそも熱中症の予備軍なので、何も自覚症状がなくても涼しいところで休んだり、熱のこもりやすい部位を冷却してやることは大事なのではないかと思います。

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熱中症と脱水症と感覚異常と判断ミス

元放射線科医 寺田次郎 六甲学院56期

先日、ビックリする出来事に出会いました。「寒気がするからホッカイロを貼ってました」と脱水症を起こしていたと思われる患者さんに言われたのです。しか...

先日、ビックリする出来事に出会いました。
「寒気がするからホッカイロを貼ってました」と脱水症を起こしていたと思われる患者さんに言われたのです。
しかも、「気が向かないから水分はあまり摂ってません」とも言われました。
熱中症や感染症によく併発する脱水症は悪化因子の大きなもので、対処が大事ですね。

別にその患者さんをバカにするわけではなく、そもそも人間は自分の感覚と思考に基づいて、行動を起こします。
その異常行動にも、本人なりの合理性はあるわけです。

個人的にはカイロを使ってあっためるのはOKだから、水分は摂ってほしいし、無理なら点滴をしに来てほしいと思いました。


解熱鎮痛剤の裏の副作用として、軽くなった症状に安心して無理をして、余計に怪我や病気を悪化させるというものもありますね?

そういう意味でも、本来医療はもう少しデリケートであってもいいと思います。
(勿論、痛み症状の慢性化やストレス予防のために適度な解熱鎮痛は考慮されるべきですが)

また、発熱その他の症状が強いと体感の仕方や判断にも異常が現れます。
(これはいわゆる「せん妄」についても言えるでしょうか?)

そのへんは、自分の本音と社会的立場の乖離なども悪化のファクターとなりうるかもしれません。

こういう話をまとめるのは難しいのですが、要するに「人間は理性的な人間ばかりでも無ければ、いつでも理性を保てる人間ばかりでもないので、そういうものだということを知っておきましょう。」くらいが妥当でしょうか?

特に頑固な家族をお持ちの方は要注意だと思います。

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