文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

宋美玄のママライフ実況中継

コラム

子供の貧困、「親の自己責任論」で片づけないで

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
連休は近場でお散歩です

 先週半ばまで母に来てもらっていたのですが、母が帰った後に娘は必ず「ばあばロス」になります。母はいつも全身全霊で娘をみてくれて、その間に私は夜にも用事が入っていることが多かったので、「ばあばロス」の時はとっても反抗的になります。ベビーカーに乗せてもすぐに脱出しようとするので、数日間抱っこで過ごしたところ、すっかり腰を痛めてしまいました。歩かせてもすぐに「だっこ」と言うので、抱っこひもが欠かせません。早く保育園の他の子みたいに歩いてくれると助かるのですが…。

子どもの貧困 「連鎖」を断ち切りたい

(07/21)北海道新聞 社説

 政府は近く「子どもの貧困対策」大綱を閣議決定する。

 1月に施行した子どもの貧困対策法に基づき、政策を総合的に推進する枠組みだ。大綱をもとに今後、都道府県ごとに具体的な計画作りが進められる。

 子どもの貧困は次世代に連鎖することが指摘されている。これを機に、悪循環を断ち切りたい。国、地方をあげて、具体策を急がねばならない。

 厚生労働省は今月、2012年の「子どもの貧困率」を発表した。平均的所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の割合だ。結果は09年の前回に比べ、0.6ポイント上回り16.3%となった。過去最悪である。悪化の一途をたどっている。母子世帯など、ひとり親世帯の子どもに限れば、貧困率は54.6%に跳ね上がる。非正規雇用の割合が全体の4割近くに達し、低所得世帯が増えていることも拍車をかけているようだ。

 大綱案では、教育、生活、保護者の就労、経済支援の4分野で重点施策をまとめた。貧困率や進学率、就職率などの指標の改善に向けて、おおむね5年ごとに施策を見直すことを掲げる。

 将来的に返済義務のない給付型奨学金の創設、学校を拠点に福祉機関と連携して「放課後子供教室」開設などの学習支援、低所得者世帯から段階的に幼児教育の無償化などを盛り込むようだ。貧困是正への一歩と受け止めたい。

飢餓が現実なのに…政府の貧困対策は主に教育支援

 18歳未満の子どもの相対的貧困率が16.3%と1985年以降最悪になり、ひとり親家庭に限ると54.6%にのぼるという報道です。

 先日、「大阪子どもの貧困アクショングループ」代表の徳丸ゆき子さんの講演を聴きに行きました。グループの活動のことはテレビ番組で知ったのですが、今日食べるものもないという貧困家庭の親子を見つけ出し、支援されています。また、見えにくい子どもの貧困を明らかにするために、子どもや家庭の生活について調査し、子ども、親、そして周りをサポートされています。

 徳丸さんが活動されている大阪は私が働いていた都市でもあり、診療でも患者さんの背景に貧困家庭を垣間みることが多くあったことで徳丸さんの活動に興味を持ちました。先に紹介した記事の中には、近く「子どもの貧困対策」大網が閣議決定されるとありますが、内容は主に就学支援で、飢餓が現実という子どもの「今日のご飯」の対策ではないようです。同じ国で食べるものに困っている子どもが助けを求められずにいるということはとてもショックですし、どうにかしてあげたいと思われる方も多いでしょう。

新しい家族求めたが…破綻のダメージ大きく

 私は度々、子どもの貧困や虐待、若年妊娠などの世代間連鎖について問題提起をするのですが、「考えなしに子どもを産んだ親の自己責任」「生活できないのに離婚するのが悪い」「性に関する知識がないからだ」と、自己責任と無知に帰結されることが多いです。しかし、グループのシングルマザー100人のインタビュー調査のうち、40人の中間報告によれば、両親の離婚やネグレクト、DV、病気、経済的困窮などの背景が語られました。

 富山大学人文学部の伊藤智樹准教授によれば、シングルマザーたちの幼少期から青年期における家庭環境は、何らかの意味で「そこから抜け出したい」部分を含んでいる。結婚がそこから脱出して環境を変える有効な方法であるが、自分自身の経済的自立の足がかりをつくることが中断されるために、破綻した時のダメージが大きいとのことです。「考えなし」や「避妊法の無知」ではなく、積極的に新しい家族を求めて子どもを産む若年女性には私も接して来たので、調査報告は非常に納得できるものでした。

貧困の連鎖、回り回ってあなたにも…

 どんな事情があれ、親の自己責任だという人もいるでしょうが、子どもは生まれる場所を選べませんし、次の世代へ連鎖させないためにも多面的なサポートは必要だと思います。もし、どうしてもそういう人の立場を想像しにくく、公のサポートなんてとんでもないという方がおられましたら、貧困の連鎖が続いて貧困家庭の子どもが増え続ければ、日本の経済活動にも悪影響となり、納税額が減って福祉の支出が増え、回り回って自分にもデメリットがあるということを認識していただけたらと思います。

 本来なら行政が行うべきものを民間でされているグループには頭が下がります。早速、私も入会しました。読者の方の中にも自分に何か出来ることはないかと思われる方がおられましたら、こういったグループへの寄付でもいいし、シングルマザーや貧困家庭の子どもに対する自己責任論などの偏見を周りの人から改めていただけるといいなと思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

son_n_400

宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

宋美玄のママライフ実況中継の一覧を見る

13件 のコメント

コメントを書く

それも完璧に予知して動くべき

greedy boy

そんなことも考えずに産んだ奴が悪い。 これじゃ産んだ者勝ちになる。

そんなことも考えずに産んだ奴が悪い。
これじゃ産んだ者勝ちになる。

違反報告

運も実力のうち

貧困3世

子供は親を選べないとはよく言いますが、運もその人の実力の一部です。 私も祖父母の代から「貧困」とされる家庭の出身ですが、社会のせいにせず、自分の...

子供は親を選べないとはよく言いますが、運もその人の実力の一部です。
私も祖父母の代から「貧困」とされる家庭の出身ですが、社会のせいにせず、自分の不運を恨み、それをバネに努力しました。
幸い努力が実り、今は海外で仕事をする機会が多いですが、大人になってみて、発展途上国の貧困を肌で感じると、日本の貧困など貧困と呼ぶのが恥ずかしくなりますよ。
貧困家庭に生まれたの不運ではなく、日本人として生まれた超幸運を感謝するのが先ではないでしょうか?

つづきを読む

違反報告

何を?今更

ツマ

子供の貧困が今始まったことでしょうか?私は、自己責任でお願いしたいですね。私自身両親の離婚により、母子家庭で育ちました。習い事をしたくてもさせて...

子供の貧困が今始まったことでしょうか?私は、自己責任でお願いしたいですね。
私自身両親の離婚により、母子家庭で育ちました。習い事をしたくてもさせてもらえず、毎日帰りの遅い母を一人で待っていた暗い子供時代でした。
しかし母は働き者でした。いつもいつも走り回り、時には掛け持ちして働いていましたよ。それでも何故か、民生委員に告げ口した人がいて、生活保護ももらっていると言いがかりをつけられたり…
母のことは好きですが、尊敬は出来ません。十代で出来婚し、失敗しそうなったのは考慮が足りなかったからです。
私は現在、高給取りの主人と結婚し、幸せに過ごしています。自分の努力の結果だと思います。
働いて働いて、それでもダメなら税金使ってください。

つづきを読む

違反報告

すべてのコメントを読む

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、ヨミウリ・オンライン(YOL)、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事