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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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かるたも漢方も守りたい

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 みなさんも、よくご存じの小倉百人一首。巻頭歌の「秋の田のかりほのいおとまを荒み我衣手は露にぬれつつ」を詠まれた天智天皇を祭神とする近江神宮(大津市)で、7月20、21日、「かるたの甲子園」とも言われる全国高校小倉百人一首かるた選手権大会が開催されます。

 漫画「ちはやふる」で、競技としてのかるたを初めて知った人もいらっしゃると思います。私が初めて競技かるたを観戦したとき、厳粛な雰囲気と緊張感が漂う中で、上の句が詠まれた瞬間に繰り出される取り手のスピードの速さと畳の音に驚きました。会場の中を柔道の受け身と同じく、パーンと畳をたたく大きな音が響き渡ります。たった2畳で繰り広げられる真剣勝負は、決して文化系ではなく、体育会系だと思います。

 日本の伝統文化である百人一首をさらに広めた競技かるたですが、実際に競技する人口は多くはありません。茶道や柔道、マンガ、アニメに比べて、競技かるたが日本の文化として海外に紹介されることが、どれほどあるでしょうか。このままでは衰退していく危険もあるかもしれません。競技かるたを、若い世代に受け継いでいってほしいと思います。日本の心、日本の伝統を大切にしていってほしいと願います。

漢方医学の存続も「危険」

 実は、日本の伝統医学である漢方医学も危険な状態にあります。というのも、5月30日に出された財務相の諮問機関「財政制度等審議会」の報告書には、「市販類似薬品の更なる保険適用除外」の対象として「湿布、漢方薬など」があげられています。つまり、国の財政を立て直すため、漢方薬を保険適用から外すことが提案されたのです。

 もし、保険適用薬から漢方薬が除外された場合は、漢方薬の治療を希望する患者さんには、費用を全額自己負担していただくことになります。病気で困っている患者さんに大きな金銭的負担をおかけすることになります。

 がん治療では、副作用を軽減するため、抗がん剤に漢方薬が併用されています。西洋医学では対応できない中で、漢方薬が大きな役割を担っています。漢方薬が多くの患者さんの苦痛を救っています。しかし、保険適用薬から外されてしまった場合、がん患者さんは、漢方薬なしで副作用と闘うことにもなりかねません。

 最先端の医療技術は注目され、国もマスコミも、大きく取り上げます。しかし、安価でなじみのある漢方医学は忘れられがちです。知らない間に、漢方医学が医療現場から消えてしまっていることもあるかもしれませんね。

 漢方薬を保険適用から除外する考えが今後、議論されていくのか、注視していきたいと思います。

「日本の文化を守ろう」

 世界へ向けて発信される様々な日本の伝統文化。中国とも韓国とも違う日本独特の文化は、これまで世界中から強い関心を集めてきました。しかし、小学校教育に英語が積極的に取り入れられているにもかかわらず、かるた大会を理解できない日本人が増えてよいものでしょうか。世界に目を向けることも大切ですが、日本の中にも目を向け、日本の伝統を大切にして、育てるようにしてもらいたいものです。

 日本独特の文化である漢方医学も同様です。室町時代から日本の風土で育まれた伝統医学を大切に受けついでいくことの重要性をもっと理解する必要があるのではないでしょうか。

 ぜひ、みなさんも一緒に考えてください。「かるた」と「漢方医学」、どちらも日本人にとって大切なものではありませんか。

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いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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6件 のコメント

漢方薬をもっとマスコミに宣伝しよう

埼玉のシニア

漢方薬の現状は、先生が指摘されるような状態では、今後さらに追い込まれるのではと心配です。国の審議会では治療に使用される薬を、ただ使用頻度とか薬の...

漢方薬の現状は、先生が指摘されるような状態では、今後さらに追い込まれるのではと心配です。国の審議会では治療に使用される薬を、ただ使用頻度とか薬の重要度などなど、のためだけに、単純に仕分けしたのかもしれませんが、役人は医療関係諸問題に知識がありませんから提案されれば反論できません。

私も同様ですが、漢方薬の、今治療に使用されている部分をマスコミに取り上げて貰い、たとえばガン治療の西洋医学で抑えられない部分は漢方で補っていることなどを、もっと国民に宣伝啓蒙すべきではありませんか。家内の治療薬(アルツハイマー治療の)として、一時漢方の抑肝散が使われていました。こんなことも、一般国民は知らないのです。

漢方の理解は針、灸からあまり深く成っていません。
私も風邪などで漢方薬を使いますが、ひどい風邪では効目の早い西洋医学の薬になります。
私ども無知な国民にもっと漢方薬について教えていただきたいのです。

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「科学的であることに固執」とは?

人生それぞれ

科学的に言うと、「愁訴」とは「医学的には説明できない、よくわからない、・・・不思議ですね、心と体のかかわりにはまだ解明できていないことが多いです...

科学的に言うと、「愁訴」とは「医学的には説明できない、よくわからない、・・・不思議ですね、心と体のかかわりにはまだ解明できていないことが多いですね」という、「グレーゾーン」ということになります。身体症状障害は、定義自体も時代によって変わります。科学的な態度には「不可知」も含まれるのです。生命の営みそのものである自律神経は文字通り自律しておりまだまだわからないことだらけですし、妄想やこだわりの起源もおそらく神経伝達物質(ニューロトランスミッター)でしょうがまだよくわかっていません。
「愁訴」を「治した」、と「称する」ものは広範です。イオン水・光線など、「科学的」と「称する」治療法も多いですね。癒しているのだから倫理的なのでしょう・・・か???善意の治療者である限りは許されるのでしょう・・・か?
苦しむ患者さんの、わらにもすがる気持ち。冷静さを失っていることがほとんどです。医療者として、よく患者さんの主張を傾聴し、誠心誠意科学的に説明する努力を続けたいものです。
患者さんには、科学的思考法を身につけ、真贋を見分ける理性を養っていただきたいものです。

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科学的に固執しない生き方

にじ

私は倫理的に、人道的に反しないならば病気、愁訴が治るのなら絶対に科学的である必要はないと思ってます。

私は倫理的に、人道的に反しないならば
病気、愁訴が治るのなら絶対に科学的である必要はないと思ってます。

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