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小学生向け「いのちとからだの10か条」をまとめた山口育子さん(2)受け身の患者にならないで…

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「いざという時、『賢い患者』として行動できるよう、10か条を役立ててほしいですね」

 ――「あなた自身の病気なのだから、あなたが自分でお医者さんに伝えなさい」と子供に教えるようになってほしいと言われました。なぜ、そう思われるのでしょうか。

 親が代わりに言うことで、治療や処方に様々な影響が出る恐れがあるためです。医療者からも、「後から子供に確認すると、親の説明と実際の症状が違っていたこともある」との話を耳にします。

 少子化が進むと同時に、物質的には欲しいものはすぐに手に入る世の中です。過保護になりすぎると、近い将来、時代に逆行した受け身の患者が増えてしまうのではないか、という危惧があります。

 風邪やけがなど、子供が医療機関を受診する機会は日常的にあります。どんな症状があって、どう痛くて、どう苦しいのか、苦い薬は嫌いなど、子供のうちから自分の言葉で伝えることを意識し、いざという時、「賢い患者」として行動できるよう、10か条を役立ててほしいですね。


 ――この20年余りで、医師主導で決める「お任せ医療」から「患者中心の医療」へと大きく変化しました。

 25年前、私が卵巣がんを患った頃は、患者に病名を伝えず、医師が治療を決めていました。私も当初、病名を隠され、少し質問するだけで、「神経質」「やりにくい患者」と見られていました。でも今では、「患者さんは全てを知った上で自ら選択して下さい」と言われます。インターネットが普及し、あふれる情報の中から正しい情報を選ぶ力も必要になりました。

 そんな中、治療について医師が丁寧に説明しているのに、気が動転して理解できず、結果的に「説明してもらえなかった」と患者が思いこんでしまうケースは、今でも起きていると思われます。治療の際に求められるのは、日常会話よりも難しいコミュニケーションです。医療者とうまくやり取りするためには、患者側の努力も必要です。

 また、患者が医療者とのやり取りに悩むように、医療者の側も患者から向けられる言葉や態度に、悩み傷ついている事実も知っていただきたいです。簡単に身につけられるコミュニケーションではないからこそ、多くを吸収できる子供にアプローチする意義は大きいと思います。

 小学生向けの10か条の小冊子作成・無料配布のための寄付は、COMLの郵便振替口座(00930・9・50565)へ。通信欄に「子供10か条カンパ」と明記する。COMLのホームページ(http://www.coml.gr.jp/)からも寄付できる。問い合わせはCOML(06・6314・1652)。

山口育子(やまぐち・いくこ)さん

 1965年、大阪市生まれ。大阪教育大卒。24歳で卵巣がんを患ったのをきっかけに医療に関心を持ち、92年、COML職員に。約5万3000件の電話相談のうち約2万件を担当した。患者や医療者のコミュニケーション力を高める講座の企画にも携わる。2011年8月から現職。

 
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