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小学生向け「いのちとからだの10か条」をまとめた山口育子さん(1)「患者が主役」自覚して

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 子供の頃から自分の体に関心を持ち、医療を受ける際の心構えを身につけてもらおうと、NPO法人「ささえあい医療人権センターCOMLコムル」(大阪市)が、小学生向けの「いのちとからだの10か条」をまとめた。理事長の山口育子さん(48)に、10か条に込めた思いを聞いた。(佐々木 栄)

山口育子(やまぐち・いくこ)さん

 1965年、大阪市生まれ。大阪教育大卒。24歳で卵巣がんを患ったのをきっかけに医療に関心を持ち、92年、COML職員に。約5万3000件の電話相談のうち約2万件を担当した。患者や医療者のコミュニケーション力を高める講座の企画にも携わる。2011年8月から現職。



10か条に込めた思いを語る山口さん

 ――子供向けの「10か条」を作ったきっかけは。

 「賢い患者になりましょう」を合言葉に活動する中で、突然降りかかる病には大人でもすぐに「賢く」対応するのは難しいと感じていました。もっと早い時期に「患者が主役」と自覚できれば、将来、必要に迫られても冷静に向き合えるのではないか。長年の思いを形にしようと決めました。

 あるアジアの国で、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染拡大防止対策として「大人に言っても遅い」と、性交渉をする前の子供の世代に教育した結果、大きな効果があったという話を聞きました。この話にヒントを得て、子供時代にアプローチしようと考えました。


 ――10か条は、どのようにまとめたのでしょうか。

 小児科医、弁護士、大学教員らCOMLとつながりのあるメンバーで会合を重ね、1998年に発行した大人向け小冊子「医者にかかる10箇条」の子供版を作ろうということになりました。対象を小学生とし、伝えたい項目は140ほど挙がったのですが、そこから▽受診時の注意▽体を知る▽薬▽医療の役割▽命や死▽予防▽情報の選び方▽障害▽他者とのかかわり▽その他――の計10項目に絞りました。

 子供の世代は、病気で亡くなるよりも、事故や自殺による死亡の方が多いんです。こうした現状を踏まえて、子供版の10か条では、受診の場面に限定せず、予防できる病気があること、障害などの多様性を認め合うこと、命の大切さを意識してもらえるよう、内容を練りました。

 ――子供に想定される実例は。

 部活でけがをしたとします。その間でも可能なトレーニングはあるのか、早期回復のため何に気をつけるか、もっと動きやすい包帯に変えてほしいなど、意思表示をすれば、納得のいく治療を引き出せるのではないでしょうか。10か条の「自分がどうしたいかを伝えよう」の一例です。

 小学生になったら、自分で症状を言えるようになってほしいです。子供に言わせると時間がかかり、手っ取り早いからと親が代わりに言ってしまっていませんか。育てる側の大人にも、「あなた自身の病気なのだから、あなたが自分でお医者さんに伝えなさい」と子供に教えるようになってほしいと思っています。

 小学生向けの10か条の小冊子作成・無料配布のための寄付は、COMLの郵便振替口座(00930・9・50565)へ。通信欄に「子供10か条カンパ」と明記する。COMLのホームページ(http://www.coml.gr.jp/)からも寄付できる。問い合わせはCOML(06・6314・1652)。

 
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