わいず倶楽部
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香道…匂いほのか 違い堪能
古くから貴族や武士に親しまれてきたお香。心が落ち着き、茶道、華道に並ぶ日本三大芸道の一つ、香道の深遠な世界にも触れられると、
奈良市の畑山
におい袋や線香が並ぶ店内を通り抜け、奥にある4畳半の和室に通される。緊張気味に正座する3人。講師の同店スタッフ、安里菜絵さん(37)が姿を見せ、「体験なので楽にされていいですよ」と一声かけると、場が和んだ。
まず、香道の歴史や作法が説明された。香りは「かぐ」とは言わず、「聞く」と表現する。聞香では、香木を細かく切り、焦がさないよう間接的に熱を加えてたき、煙をたてずに香りを鑑賞する。
体験するのは、数種類の香木をルールに従って聞き当てる「組香」の一種で、初心者向けの「三種香」。3種類の香木から3片ずつ、九つの包みをつくり、無作為に三つを選んでたき、香りの異同を判別する。
静寂の中、安里さんが準備する。小さな
最初に政一さん。前に置かれた聞香炉を左の手のひらにのせ、反時計回りに回してから、右手で蓋をするように覆う。鼻を近づけて香りを聞いた。少しして顔を横にずらし、息をはく。3回くり返して香りを覚える。聞香炉を置き、幸子さん、畑山さんが順に聞く。2番、3番目の香木片も同様に聞香した。
聞き終えると和紙に毛筆で回答する。三種香では、縦線を平行に3本引き、同じ香りだと思う線の上端を横線で結ぶ。三つとも同じか、あるいは1番と3番が同じか、すべて違っていたか……。違いはごく微妙なものだ。3人は首をかしげながら筆を動かした。
最後に、3人が描いた答えが読み上げられた。結果は、2番目と3番目が同じ香り。「すごく悩んだ」という畑山さんと幸子さんが正解した。
「みんなに好かれる人気の香りはありますか」。そんな質問に、安里さんは「人それぞれ香りの好みは違う。生活スタイルやシーンに合わせて楽しんでほしい」とアドバイスした。(住田勝宏)
静かな空間癒やし
中村政一さん「煙が上がって、もっと強い匂いがするイメージがあったけど、全然違っていました。でも、やっぱり緊張しました」
中村幸子さん「心が落ち着くというか、癒やされる感じになりました。静かな空間で、香りをかぐことに集中できました」
畑山さん「優雅なひとときを過ごせました。これまでは、直接火をつけるお香をしてきたけど、間接的なお香にも挑戦します」
室町期 盛んに
香は、仏教とともに大陸から伝わったとされる。平安時代には、貴族が自分独自の香りを調合し、衣服や髪にたき込めるようになった。室町時代になって、8代将軍足利義政らによって聞香が盛んに行われるようになり、「
六国は香木の種類を指し、羅国(タイ)、寸門多羅(スマトラ)など、産出地に由来。五味は香りの表現で、甘い、酸っぱい、辛いなどで分けられる。江戸時代に香作法の基盤が完成。現在は、御家流と志野流のほかに幾つかの流派がある。
京都市内の老舗店などで、聞香やオリジナルの香りをつくる調香などを体験できる。
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