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上咽頭がんと闘う歌手・和田光司さん(3)目指せ「余命40年」

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「僕はね、『余命40年』を目指しているんですよ…」

 ――その気持ちを変えたのは?

 「薬による副作用でだるさもあるし、髪の毛も抜け落ちていた。何より、また再発して休むことになったらどうしよう、ちゃんと完治させないといけないという思いがあった。でも、その時、知り合いに『使命感で歌い続けるのではなく、歌える時に歌って、歌えなくなったらまた休めばいいじゃない』と言われたんですよ。この言葉でだいぶ楽になって、『それでいいんだ』と思うことが出来た。『じゃ、いこうか』って」

 「日本だけでなく、海外からも応援メッセージが送られてきた。ブラジルでは僕の誕生日にイベントをやってくれて、応援の横断幕も作ってくれた。こんな自分でも、待っていてくれる人がいるのか。じゃあ、戻ってみようかな、と思いました」


 ――病気に対する気持ちに変化はありましたか。

 「変わりましたね。約10年前、がんの宣告を受けた時はとにかく治したい、治さなくては、と、それしかなかった。完治を目指していた。でも、再発した時からは完治を目指していません」

「ブラジルのファンから贈られた応援の横断幕に元気づけられた」

 「僕はね、『余命40年』を目指しているんですよ。今が40歳で、あと40年生きれば80歳。そこまでいけば自分としては十分じゃないか、と。余命40年というと、軽いでしょ。治そう治そうという思いは、僕は重いと思った。重く受け止め過ぎると疲れてしまうし、かといって軽く見過ぎるとそこから足をすくわれる。心の持ちようとしてその中間がいいな、と思った。うまく共存して、歌える時には歌いに出てきて、がっつり治療する時にはちょっと休む。がん細胞に対しても、あんまり悪さしすぎたらお前だって死ぬんだからなって。余命は宣告されるものだけれど、それが40年と言われたら、そうですか、ありがとうございます、と思えるじゃないですか」

 「手術から8年たっても再発したわけです。あらがっても仕方ないな、と考え方が変わってきた部分はある。死生観も変わりました。死は受け入れようと受け入れまいと、誰にでも訪れる。でも、どうとらえるかでその後の人生が変わる。人生は出来る限り楽しく過ごそうと。最後に、幸せだったな、と振り返って思えるのがいいなと思うんです。命尽きるまで目いっぱい楽しみましょう、と」(続く)

和田光司(わだ・こうじ)さん

 1974年1月29日生まれ。京都府出身。8月29日に「アニメロサマーライブ2014」(さいたまスーパーアリーナ)に出演する。10月11日には下北沢GARDENでソロライブも。詳細は公式サイト:http://solidvox.jp/index.html


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