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糖質制限…やりすぎると、逆に太りやすくなることも

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 昼食はラーメンなどの麺類を避けたり、夕食はご飯抜きにしたり、といった「糖質制限ダイエット」をしている方も多いと思います。

 糖質(炭水化物)は、食べた後1~2時間で血糖値がピークとなり、急激に下がります。その血糖値の低下が空腹感となり、食べたくなる欲求を生じさせます。糖質制限は、総カロリーを減らすだけでなく、空腹感を抑えてダイエットをしやすくするという意味で、理にかなっています。

 ただし、糖質を制限しすぎるとかえって太りやすくなるということもあるので、注意が必要です。

 ラットの実験で興味深い結果が出ています。糖質60%、脂肪15%の糖質が多い食事を与えたラットと、糖質10%、脂肪65%の糖質が極端に少ない食事を与えたラットを16か月にわたって観察しました。総カロリー数は同じです。

 結果は、糖質が極端に少ないラットのほうが、体重が増えたのです。中性脂肪や悪玉コレステロールなどが多くなり、糖尿病の割合も高くなりました。

 糖質はすぐにエネルギーとして使えるので、頭を使ったり、歩いたりといった日常生活や仕事で消費されますが、足りないと脂肪を燃やして使うことになり、結果的に体に良くない悪玉コレステロールや中性脂肪が増えると考えられます。筋肉のたんぱく質をエネルギーとして使うことにもなり、カロリーを消費する筋肉量が減ることで、太りやすくもなります。

 また、糖質が不足すると瞬発力や集中力も低下します。あまり動かなくなり、結果的に太るということもあると思います。

 何事も、過ぎたるは及ばざるがごとし、というわけです。日中の仕事や日常動作に必要なエネルギーは、朝食や昼食で取る糖質で補給し、夕食は糖質を減らすくらいのダイエットがいい方もいるのではないでしょうか。

 糖尿病などで糖質制限を医師から勧められている方は、自己判断で極端な糖質制限をせず、医療機関にいる栄養の専門家にアドバイスを求め、作成された食事計画に従うという方法もお薦めです。

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kawamura

川村 昌嗣(かわむら まさひで)
1960年高知県生まれ。3浪の末に慶應義塾大学医学部に入学し、1988年に同学部卒業。2001年から11年まで、横浜市のけいゆう病院健診科で健康指導などにあたる。2012年1月に横浜市西区に川村内科診療所を開業。日本老年医学会指導医、日本抗加齢医学会専門医、未病システム学会専門医、日本人間ドック学会専門医。「内科医が教えるお腹がどんどん痩せていく腹凹歩きダイエット」(永岡書店)、「医師がすすめる50歳からの肉体改造」(幻冬舎ルネッサンス新書)などの著書がある。 川村内科診療所のウェブサイト http://www.kawamuranaika.jp/

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