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宋美玄のママライフ実況中継

コラム

多くの人を傷つけた都議会やじ、意識の低さに驚き

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水族館でカニを見て興味津々の娘

 7月になり、娘は2歳6か月になりました。“魔の2歳児”も後半戦突入ですが、イヤイヤはパワーを増すばかりです。これまた相手を見ていて、私は完全になめられていてバシッと叱っても全然言うことを聞いてもらえませんが、パパやばあばの言うことはそれなりに聞いているようです。4人の男の孫を見てきた私の母によれば、私の娘は「3人分の大変さ」だそうです。こんな時、以前は「愛情不足」の4文字が思い浮かびましたが、今は「発達障害」の4文字が……。保育園ではお利口でみんなと同じようにしているようですから、私がなめられているだけなのでしょうか。

根深い問題、産婦人科医の立場から意見求められ…

 都議会での「セクハラやじ」が問題となっており、犯人捜しや、やじを浴びた塩村議員のあら探しでインターネット界隈かいわいがヒートアップしていたのをご覧になった方も多いかと思います。これについて意見を述べる機会がなかったのですが、友人の産婦人科医に「不妊や流産、死産などの理由で子どもを産めない女性を診る産婦人科医の立場から意見を述べて欲しい」と言われましたのでこちらに書いてみます。

 私は内閣府の少子化危機突破タスクフォースの委員として有識者の議論に加わってきましたが、結婚や出産は個人の問題であるため、国が「産めよ増やせよ」と言っていると誤解されることに対して非常に気を使ってきました。また、単に人口が増えても個人が幸せでなければ意味がない、産みたくなる社会をどう作るかということも話し合ってきました。

 ですから、「早く結婚したほうがいいんじゃないか」「産めないのか」というようなプライベートでデリケートな問題に触れるやじが都議会の場で飛び交うという報道を聞き、都議会議員たちの「意識の低さ」に非常に驚かされました。塩村議員がやじを飛ばされた時に行っていた答弁は、「高齢出産や不妊治療を受ける女性、周囲との関係が希薄で妊娠・出産・子育てについて悩む人のサポート体制について都が考えている具体的な案を教えて欲しい」というもので、この答弁に多数のやじが飛ぶということは、妊娠・出産・子育て支援に本気で取り組むつもりがあるとは到底思えず、47都道府県でぶっちぎり最低の合計特殊出生率1.09が上昇することはないのではないかと暗澹あんたんたる気持ちになります。

 物価や家賃が高いこともありますが、地方に比べて東京は子連れへの視線が冷たく子育てがしにくいという声も多く(内閣府の会議でも話題になりました)、都議会の答弁はその象徴なのではと思いました。東京で子育て支援をしなくても、地方が育てた優秀な人材がいずれ上京して納税してくれるだろうとあぐらをかいているのかもしれません。人口減少に危機を感じ、本気で少子化対策や子育て支援に取り組む地方自治体もある中、対照的だと思います。やじ発言の犯人捜しや責任追及もさることながら、都議会の妊娠・出産・子育て支援の本気度とその病理について分析した方が都民のためになりそうです。

謝罪というより、お節介の上塗り…鈴木都議の会見

 「早く結婚したほうがいいんじゃないか」と発言した鈴木議員は謝罪会見で「結婚したくてもできない方への配慮が足りなかった」「本当にそうしてほしかったから」と述べていますが、謝罪というよりお節介の上塗りのように感じました。

 未婚未産の男女には、「したいけれど機会がない人」と「したいと思っていない人」がいますが、どちらなのかは他人には分からないし、関係ないし、サポートもできないのに口だけ出すべきではないと思います。

 私は子どもを産む前から妊娠出産について情報発信をしていましたが、「先生は産まないんですか?」「産んだことがない人が言っても説得力ないです」と度々ブログなどに書き込まれていたのですが、「あなたに関係ないでしょ」と思っていました。

 結婚も妊娠も個人の問題なのはもちろん、努力してもできるとは限らないし、まして女性側だけの問題ではありません。生殖医療が発達しても最後のところは神様が授けてくれるとしか言いようがなく、無事に出産出来るのは幸運だとしか思えない産婦人科の医療現場にいる立場から言わせてもらえば、どれだけ多くの人々を傷つける発言かと非常に遺憾に思います。

 また、今回の問題を「女性蔑視」などと表現しているものも見ましたが、結婚や生殖の問題で侮辱することは男女ともに対してあり得るので(「種がないんじゃないか」などと表現すれば男性を同じ問題で侮辱することもできます)、性的な問題ではありますが厳密には男女差別の問題ではないのではないかと私は認識しています。ただ、女性政治家の方々が今までに浴びたセクハラ、マタハラやじを明らかにされているのを見ると、根底には女性蔑視があるのだろうなとは思います。

 今回のことを当事者議員の個人の資質の問題ですませず、都の意識改革と実りある子育て支援政策につなげてもらわないと意味が無いなあと思っています。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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社会のモラル常識変化のしわ寄せ

晩婚女

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成功した女性は結婚も出産もそして仕事復帰もこなしワークライフバランスがとれていますが、その尻拭いをしているのは未婚出産なしの女性です。女性の中には自分の勝手でキャリア形成したくて、未婚非出産を選択した人もいるでしょうが、私は適齢期に結婚して適齢期に出産したい仕事もやめる気でいましたが、叶いませんでした。職場では、成功した女性は男性と一緒になって、議会のヤジ(意見、アドバイス?)同様の事を言います。未婚出産なしは有給休暇なしで当然、晩婚不妊治療は税金の無駄使い。良い出会いがなく結婚出来ないは選んでいるからだと女性ばかり悪者ですが、男性にも原因があるような。自分の理想でない相手と結婚する決意も必要だとは思いますが、それだって男性の同意が必要です。痴漢に会って良かったわ~モテて、適齢期に妊娠できる~うれしい気持ちになる女性はいないはず。まったく選ばない訳にはいかないです。若い女性は歳上男性と付き合えば良いでしょうが、適齢期の女性と付き合っている同年代男性がプロポーズしなくなっているのではないでしょうか。男性は生殖年齢リミットが女性よりも上で、女性が適齢期を過ぎた時に別れても手遅れになりませんが、ふられた方の女性は・・・。原因の一つに非正規雇用など適齢期男性の経済面が取り上げられていますが、私は性教育や性の常識の変化が原因なのではと思います。校門を一緒に並んで男女が歩いただけでも不純交際、他の男性と経験のある女性はあばずれ女などと言われ貰い手がない時代から、今は、付き合う=男女2人での外泊、婚前旅行、同棲は当たり前、そのような行為があっても気軽に別れられるのが問題なのではと思います。母親世代など少し自由な時代には婚前にも外泊・・・などだんだんする人も出てきたように思いますが、それでもそういう行為をしたら、男性もなんとなく結婚して責任を取るのが普通なんて時代だったように思います。

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女性からのセクハラ

はーあ

「したいけれど機会がない」私は、サポートしてくれる訳でもないのに、男性議員みたいなヤジ?意見を言う人が職場に多くて何だか職場に行くのが憂鬱です。...

「したいけれど機会がない」私は、サポートしてくれる訳でもないのに、男性議員みたいなヤジ?意見を言う人が職場に多くて何だか職場に行くのが憂鬱です。最近はパワハラ、セクハラ相談委員会みたいなのが職場内に設置されてきていますが、結局相談しても言われる方が悪い、言われて当然なことを結論づけられることが多い気がします。男性だけでなく、流行りのマウンティング女子、女性同士でもセクハラ発言する人が多くて男性からよりも女性から言われる方が余計にショックな気分になります。生物学的に年齢が経過すれば産めなくなるとか知らない訳じゃないですし、故意にしたくないからしないのではないので言われるとすごくつらいです。かと言って何かサポートをしてくれる訳でもなく、自助努力で年金マンガのように婚活パーティーに行くための資金を捻出するため、生活のために職場に行き、婚活パーティーに通い努力はしていますが、ふられてしまい結婚にいたりません。出産だって当たり前に出来る人が多いのでしょうが、例え若く結婚できても妊娠にいたらないケースもあるように思います。そんなのモテない、生物学的に劣勢の遺伝子をもったあなたが悪いと言われているようです。多数決が必ず正しい訳ではないと思いますし・・・弱肉強食、人間も生物なので自然の生理現象として受け入れるしかないのでしょうか?

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都議会のセクハラやじについて

ひでちゃんさん

 今回の事案と同様若しくはもっと酷いセクハラやじは、かつて我が国の国会や地方議会では当然の如く発せられ、何のお咎めもなく過ぎてきたのです。 とこ...

 今回の事案と同様若しくはもっと酷いセクハラやじは、かつて我が国の国会や地方議会では当然の如く発せられ、何のお咎めもなく過ぎてきたのです。

 ところが、時代は流れ、変化し、今は女性の権利や性、結婚など特にプライバシーに関することは容易く発言して相手に嫌悪感をもたらしたならば、警告無しに即アウトの時代になっているのです。

 サラリーマンの世界であれば、例え部下の女性であっても安易に肩を叩いても、手を置いてもいけないし、髪に触れてもいけないのです。また、「早く結婚しろよ」とか「良い人いないのか」、「子供は未だなの」などと言ったらならば、即退場の時代なのです。女性に対しては警戒せねば大変なのです。

 今回の問題議員はその辺の認識が極めて足りなかったということでしょ。サラリーマンの世界では最早常識な知識を持ち合わせていなかった残念な方と言うしかないですね。

同じことを言っても木村拓哉ならばOKであっても、我々はダメなのです。女性に不快な発言は家の中でも外でも厳に慎まなければ男性は生きていけない時代だという認識が必要になっているのです。

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