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医療部発

コラム

掌蹠膿疱症やリウマチ、改善のカギは口?

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 医療ルネサンス「口から元気に」(全5回)を担当しました。歯科の取材でしたが、虫歯や歯周病など通常の歯科診療の枠にとどまらない、より大きな視点で、口から元気になること、口から健康を取り戻すことを考えてみようと思いました。

 連載3回目までの入れ歯や口腔ケアが全身の健康と深いかかわりがあるという話は非常に分かりやすいと思うのですが、連載4回目の「鼻で呼吸 アトピー改善」は「そんなことあるの?」と思われた方も多いかもしれません。専門的には「病巣感染」と呼ばれる病気発症の仕組みの話でした。体のどこかの慢性的な炎症が、それ自体は軽くても、免疫系を乱し、別の部位に病気を引き起こすということなのですが、特に、その大元になりやすいのが、口や鼻の奥の方らしいのです。

 実際、耳鼻咽喉科では「扁桃へんとう病巣感染症」ということで、様々な難治性の病気を、扁桃を摘出して改善する治療があります。記事で紹介したのは、そこまでしなくても、口にテープをして口呼吸をやめたり、鼻うがいで鼻の奥をきれいにしたりするなどの簡単な方法でも口の中の炎症が治まり、効果が期待できるということでした。記事では紹介できませんでしたが、掌蹠膿疱症しょうせきのうほうしょうや関節リウマチが改善した方にも話を聞かせていただきました。

掌蹠膿疱症がきれいに治った手を見せる小渕さん(右)と、歯科医の相田さん

 掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に発疹ができ、大半は原因不明で治りにくい病気です。東京都荒川区の小渕文子さん(71)は60歳過ぎで発症、いくつもの皮膚科に通った末、2年ほど前、金属アレルギーと診断されました。歯の金属を外すように勧められたのですが、歯に問題はないため、記事にも出てきた歯科医の相田さんに相談しました。相田さんの勧めで、半信半疑ながら口テープや「あいうべ体操」、鼻うがいなどにまじめに取り組んだところ、1か月足らずで治ってしまいました。小渕さんは声楽が趣味ですが、この習慣を始めてから風邪をひかなくなり、のどを痛めることもなくなったそうです。

 別の女性は、歯肉がんの手術後、関節リウマチを発症しました。一般的な薬物療法は効果がなく、新薬である「生物学的製剤」を勧められました。効果は高いのですが、免疫を抑えるので、がんが再発しやすくなります。この方も、小渕さんと同じ習慣に取り組んだところ、症状が和らぎ、「生物学的製剤」使用が避けられました。詳しく聞くと、歯肉がんの手術前、磁気を利用するMRI検査を受けるため、歯の金属をすべて外し、入院中は歯みがきもしていなかったとのことです。やはり、口の中の細菌感染がリウマチ発症と関係していたのでしょうか。

 こうした改善例が、どれほど一般化できるかは分かりませんが、掌蹠膿疱症は、扁桃の摘出で高い効果が期待できる「扁桃病巣感染症」の代表的な病気に挙げられていますので、納得できる話のように思えます。

藤田勝
2008年から医療部。終末期医療、大腸がん、皮膚疾患、耳・鼻の病気などを取材。アホウドリとアムールトラが好き。


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医療部発12最終300-300

読売新聞東京本社編集局 医療部

1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。

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