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(1)がんの苦悩 支える

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コーディネーター
福祉ジャーナリスト 町永俊雄(まちなが・としお)さん

 1971年にNHK入局。福祉番組のキャスターを経て、2011年から現職。

 「こころとからだ 私らしく」をテーマにしたフォーラム「がんと生きる」が5月17日、横浜市のKAAT神奈川芸術劇場ホールで開かれ、約800人が参加した。がんは、手術などの治療法が進歩して治るようになってきた一方、体の痛みや精神的な苦痛は十分に取り除かれていない。こうした実情を踏まえ、今後の治療や患者支援の方向性を医師やがん経験者、行政担当者らが語り合った。

主催 

読売新聞社、NHK厚生文化事業団、NHKエンタープライズ

後援 

NHK横浜放送局、厚生労働省、神奈川県、横浜市健康福祉局、神奈川県社会福祉協議会、横浜市社会福祉協議会、日本医師会、日本歯科医師会、日本看護協会、日本薬剤師会、神奈川県医師会、同県歯科医師会、同県看護協会、同県薬剤師会

協賛 

ツムラ

北里大医学部外科教授 渡辺昌彦(わたなべ・まさひこ)さん
 慶応大医学部卒。国立がんセンター、米ワシントン州立大などを経て、1992年に慶応大医学部助手。大腸がんに対する国内初の腹腔ふくくう鏡手術に成功した。2003年から現職。07年に北里大北里研究所病院内視鏡手術センター長併任。
がん研有明病院 向山雄人(むかいやま・たけと)さん
 東海大医学部卒。米マサチューセッツ工科大がん研究センターリサーチフェロー、がん研究会付属病院化学療法科医長兼癌化学療法センター臨床部医長、東京都立駒込病院化学療法科医長、都立豊島病院緩和ケア科・腫瘍内科医長を経て2005年より現職。
厚生労働省健康局 がん対策推進官 江副聡(えぞえ・さとし)さん
 佐賀医大医学部卒。国立病院東京医療センターなどでの臨床研修を経て、2002年に入省。医療安全、診療報酬改定、精神医療を担当。米ハーバード大公衆衛生大学院、同大ケネディ行政大学院を経て、UNAIDS(国連合同エイズ計画)に勤務。14年から現職。
聖路加国際病院 がん相談支援室看護師 橋本久美子(はしもと・くみこ)さん
 佐賀医大医学部卒。国立病院東京医療センターなどでの臨床研修を経て、2002年に入省。医療安全、診療報酬改定、精神医療を担当。米ハーバード大公衆衛生大学院、同大ケネディ行政大学院を経て、UNAIDS(国連合同エイズ計画)に勤務。14年から現職。
エッセイスト 岸本葉子(きしもと・ようこ)さん
 東京大教養学部卒。会社勤務、中国北京外国語学院留学を経て、執筆活動に入る。2001年に虫垂がんの手術を受け、治療体験「がんから始まる」を執筆。厚生労働省医療情報基盤検討会委員、国立がん研究センター倫理審査委員などを経て、日本対がん協会評議員。

治療の今

渡辺昌彦さん

 町永 がん医療の最新の動きを教えてください。

 渡辺 外科医として、なるべく患者に負担を与えない手術を取り入れています。術後も食事や仕事に支障がなく、これまで通りの生活を送れるよう配慮します。

 町永 抗がん剤治療も進歩したのでしょうか。

 向山 がん専門の内科医を30年やってきました。色々な薬を利用できるようになりましたが、副作用や心身のつらさとのバランスをとらなければなりません。

 町永 岸本さんは2001年に虫垂がんを経験されました。

 岸本 治療を受けた時は、つきあいの長い病気とは思っていませんでした。退院直後は死や再発の不安でいっぱいでしたが、少したって、経済的、社会的不安を抱えるようになりました。

 町永 看護師の橋本さんは、患者の就労支援に取り組んでいます。

 橋本 治療をしながら働けるのに、働き続けるのは無理と思っている患者が多くいます。家族や職場の人も同様に思っています。患者が仕事を続けられるよう支援が必要です。

 町永 国の施策について厚生労働省の江副さんに聞きたいと思います。

 江副 がん対策推進基本計画の目標の一つが、がんになっても安心して暮らせる社会を作ることです。

 町永 2人に1人ががんになる時代になりました。

 渡辺 検査の能力が高まり、診断される人が増えたため、がんにかかる人の割合は高まりました。

 町永 検診率は低いです。

 江副 国は50%を目標にしていますが、どの種類のがんも20~30%程度です。

 町永 なぜ、がんになるのでしょうか。

 渡辺 色々な理由があります。人間の細胞は新陳代謝を繰り返すうちに、元と違う細胞ができます。老化やストレス、細菌などの影響で、細胞を元通りに修復できなくなり、この細胞が増殖や転移をするようになります。これががんで、正常な組織、臓器をむしばみ、患者は痛みを感じます。

 町永 がんの治療法はどのようなものでしょうか。

 渡辺 手術で取る、放射線で焼き殺す、抗がん剤で増殖を抑える、と大きく三つに分けられます。手術は、排せつや性生活の機能を残せるように考えています。放射線も患部だけに当てる技術が出て、抗がん剤の副作用の対策も進んでいます。がんが治る時代が来ています。

 町永 暮らしを支える医療として、渡辺さんは「腹腔鏡」と呼ばれる、患者のおなかに小さい穴を開ける手術を早期に取り入れました。大きく切らずに済むのですね。

 渡辺 初めて手術をした78歳の患者が、翌日に痛がらずに歩きました。手応えを感じました。傷が小さく腸が空気に触れないため、後遺症は激減し、患者は手術直後から普通に食事ができます。入院も短期です。

 橋本 やっとの思いで受けた手術の翌日、普通にいすに座れた患者は笑顔になります。家族も安心します。

 岸本 社会復帰して長く付き合う観点で、どの治療法が自分にいいのかも患者は考えてほしいです。

 
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