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幼児の言い間違い 無理に直さず成長見守る
幼児は言葉を言い間違いやすい。無理に言い直させたり、とがめたりすると、話すことが苦手になりかねない。正しく発音できるまでの試行錯誤とおおらかに受け止め、話す意欲を育みたい。
大阪府の30代主婦は、長女(3)がきんぴらゴボウを食べるたび、「ぴんきら、おいしい」と言うのが気になる。「き、ん、ぴ、ら、でしょ」と何度注意しても直らないという。
「子どもの発音とことばのハンドブック」(芽ばえ社)の著者で言語聴覚士の山崎祥子さんは、「子どもの年齢によって音の聞き分けや発音が難しい場合があることを理解してほしい」と話す。
典型的な例では、発音の順番が入れ替わる(「マヨネーズ」→「マネヨーズ」)、子音の脱落(「コップ」→「オップ」)、前後にある音との同化(「アンパンマン」→「アンマンマン」)、他の音との置換(「サカナ」→「タカナ」)などがあるという。
原因は、音を聞き分けたり、音の順番を覚えたりする力が弱いことに加え、舌や唇、下あごなど発音にかかわる器官が未熟で、音を作り分ける力が弱い点が大きい。唇を閉じて作るマ行、バ行などがうまく言えるのは2歳頃、舌先を使うサ行やザ行、ラ行は4、5歳くらいからという。
「言い間違いの多くは成長とともに解消する。無理に正そうとしなくていい」と山崎さん。言い方ばかりを注意すると子どもがストレスを感じることもある。不明瞭な発音や間違いは、親が前後の状況などから内容をくみ取る。「きんぴら」を「ぴんきら」と言うような場合は、「きんぴら、おいしいね」とさりげなく言い直すといいだろう。
4、5歳から楽しむしりとり遊びや、短い単語を反対から読む「逆さ言葉」(「イカ」→「カイ」)も、言葉や音節に対する意識を高められ、言い間違いを減らすのに有効という。正確さや早さはあまり気にせず、親子で楽しみたい。
正しい発音や言葉の発達を促すために、「毎日の語りかけが言葉の素地を作る。また、体全体を使う体験も大切」と話すのは、日本小児科医会常任理事の内海裕美さん。よくかんで食べる、うがいをする、泥や冷たい氷の感触に歓声をあげるなど、日頃の遊びや生活に伴う様々な口の動きが正しい発音につながるという。
子どもへの語りかけとして内海さんが勧めるのは、日常場面の実況中継だ。「風が気持ちいいね」「今からご飯つくるね」と目の前の状況や動作、気持ちを口にする。夫婦や家族の会話も「お茶」「電気」といった単語だけで済ませず、「お茶を入れたよ」「電気を消してね」と整った話し言葉を心がけるといい。
気をつけたいのは、スマートフォンやテレビなどの影響だ。「黙ったまま画面にくぎ付けになりやすく、五感を刺激する生活体験の時間が奪われかねない」と内海さん。メディアの接触時間は家庭内でルールを決めておきたい。
ただ、言葉の発達は個人差が大きい。幼児期に間違いやすいサ行やザ行、ラ行以外も多く誤ったり、子ども自身が発音を気にしたりするなら、小児科医や耳鼻科医などに相談する。日本言語聴覚士協会(ファクス=03・6280・7629)のホームページ(https://www.jaslht.or.jp/)では、言語聴覚士がいる全国の施設を検索できる。
■正しい発音や言葉の発達を促す主なポイント
・発音の誤りや言葉のつっかかりはおおらかに受け止め、コミュニケーションそのものを大切にする
・しりとり遊びや、短い単語を反対から読む遊びを取り入れ、楽しんで話したり聞いたりする時間を持つ
・語りかけはゆっくりと。単語だけでの会話や難しい言い回しは控える
・テレビなどメディアに接触する時間は一定のルールを設ける
(山崎さん、内海さんへの取材を基に作成)





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