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いい湯で健康 温泉と自然療法

yomiDr.記事アーカイブ

熊や鹿が傷をいやした…温泉発見のエピソード

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 温泉発見のエピソードは日本中にあり、みなさんお住まいのところにも伝承があると思います。温泉の発見は動物に関係している事が多く、私の住んでいる北海道は温泉天国ですが、「熊の湯」という温泉が数か所あります。また、温泉の名前に「熊」はついていませんが、地名に「熊」が含まれている、道南の八雲町熊石にある見市けんいち温泉は、江戸時代の慶応年間、傷ついた熊が川岸のお湯まりに浸かっているのを見られたのが、開湯のきっかけのようです。

 温泉の発見に関係している動物は猿・馬・いのししおおかみきつねたぬきなどの四足動物から、 白鷺しらさぎ・鶴・ たかうぐいすはとかりなどの鳥類、また蛇・亀などの爬虫はちゅう類までもが、温泉の在りかを教えてくれています。そして何と猫が教えてくれた猫啼ねこなき温泉が福島県にあります。

 このようにたくさんの逸話や本当の話がありますが、一番多いのは、鹿に教えてもらうパターンでしょう。鹿の湯という温泉地が北海道をはじめとして全国各地にあります。札幌市南区にある定山渓温泉や道南の鹿部温泉も、湯浴みや傷を癒やしている鹿の姿を見かけて発見されたと言われています。このブログの7回目に紹介した長野県の脳卒中の湯として有名な鹿教湯かけゆ温泉も、文字通り鹿が教えてくれた温泉ですが、菩薩ぼさつが鹿に化身して温泉の場所を教えてくれたそうです。

鹿を追った猟犬が落ちてやけど…チェコの温泉発見エピソード


 ところでこういった伝説は日本独自のものではないことを、チェコの温泉地カルロビ・バリ(Karlovy Vary)に国際温泉気候医学会(ISMH)参加のために訪問した時に知りました。この町はゲーテ、シラー、ベートーベン、ゴーゴリ、ショパンなどの文豪や音楽家が長期滞在していた所で、温泉の発見は14世紀にさかのぼります。当時の皇帝カレル4世が鹿狩りをしていました。鹿は飛び石をうまく利用して川を跳び越えていきます。それを追っていた猟犬は鹿のようにはいかず、誤って川に落ちてしまいました。かわいそうな犬は、熱い温泉水が流れていたため、やけどを負ってしまったそうです。このようにカルロビ・バリ温泉は、犬がやけどをしたことで発見されたのです。これが日本なら、やけどを負った犬が湯に浸かってやけどが治ったことで温泉が発見された、となるのでしょう。ヨーロッパとの文化の差におかしさを感じます。この鹿(犬ではありません)の像は、町を見下ろす岩山の上に立っていました。

 カルロビ・バリでは飲泉療法が盛んです。飲泉コップを持って数時間かけて散歩しながら少しずつ飲んでいました。写真は、岩山の上に立つ鹿の像と、その絵が描かれている飲泉コップです。底の方とつながっている吸い口から飲むようにできています。今年の9月にこの地を訪問する予定です。この鹿と再会してきます。

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いい湯で健康 温泉と自然療法_大塚吉則_顔120px

大塚吉則(おおつか よしのり)

北海道大大学院教育学研究院教授

 

1955年、北海道生まれ。79年、北海道大医学部卒、第1内科に入局。89年から米ニューヨーク市のコーネル医科大に留学。北海道大病院登別分院・医学部附属温泉治療研究施設(温研)勤務などを経て2007年から現職。国際温泉気候医学会(ISMH)アジア・オセアニア地区代表、日本温泉気候物理医学会理事長、日本生気象学会幹事、NPO健康保養ネットワーク理事長。主な著書に「新版温泉療法 温泉と自然が生み出す健康づくり」(Crews)、「そもそも、すべてが『体質』のせいなのか? 自然治癒力を引き出し幸せになる方法」(Medical Tribune)など。

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2件 のコメント

熊から猿?

ぷかぷか

久しぶりに拝読させていただいておりますそうですね!全国 動物にまつわる温泉が多いですね私ども地にも熊が傷を治したとされることに由来した温泉があり...

久しぶりに拝読させていただいております

そうですね!
全国 動物にまつわる温泉が多いですね
私ども地にも熊が傷を治したとされることに由来した温泉があります

温泉は昔から「薬」とされ、私ども地では「薬師如来様」をお祀りしております
そんな薬とされてきた温泉も、今ではアトピーや皮膚疾患などの子供さんが増え、豊富な温泉があるにもかかわらず、皆自宅の水道水を沸かしたお風呂に入っていられるとか・・・
もったいないかぎりです

もったいないといえば、もうひとつ 昔は皆が入浴する温泉は社会勉強の場でした
家族は勿論のこと、一緒に入浴されていた大人たちは他人の子供でもしっかり教え、また言葉ではなくとも、子供たちはまわりの大人を見て入浴マナーを学んできたものです
小さな子供さんを連れたお母さんには、他のおばさんが子供さんを預かり、お母さんにはゆっくり入浴させてあげる風景がありました
その他にも社会で役に立つコミニュケーションを沢山教えて頂いた場でもありました

そこへいくと、現在は自宅のお風呂感覚か?
洗髪の泡を平気で湯船に流す人 まわりの人にかかるのを承知で立って水を被る人 仲間同士大声で騒ぐ人・・
やさしく注意してもすぐに「キレる」人たちが多いとのこと
今は凶暴なおサルさんたちと入浴している気分です

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奥多摩にもある動物の湯

めざめたじいさん

 多摩川には「鶴の湯」、秋川には「蛇の湯」がある。 蛇の湯は二重兜作りの家屋があって有名。 蛇の湯には・むかし傷ついた大蛇が河原に沸く湯で傷を治...

 多摩川には「鶴の湯」、秋川には「蛇の湯」がある。
 蛇の湯は二重兜作りの家屋があって有名。

 蛇の湯には・むかし傷ついた大蛇が河原に沸く湯で傷を治したという。
 
 高校生の頃、山遊びに夢中になり三頭山の帰りによった湯だ。
 まだひなびた温泉で、宿の主から話を聞くことができた。

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