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そろそろ「自分史」 人生振り返る1冊
講座・キット人気
定年退職、子の結婚など人生の転機を経験し、人はふと自らの軌跡を振り返る。生きた証しを「自分史」として記録する人も増えている。
執筆方法を教えてくれる講座やキット、パソコンソフトなども登場している。自分が主役の1冊に挑戦してはいかが。
「ええ具合に書けてるよ」、「もう少しパソコンを使いこなせるといいね」。出版社社長で自分史執筆の指導を手がける福山琢磨さん(80)が月1回、よみうり天満橋文化センター(大阪市)で受け持つ講座(受講料半年分1万2960円税込み)には、60~80歳代の男女が集う。
生徒は前もって原稿を提出し、講座では自ら朗読。それに福山さんが、講評を加え、添削していく。奈良県生駒市の男性(80)は、「仕事をリタイアした頃から、思い出すのもつらかった戦時中の経験を客観視できるようになった。これを書かないと、いつまでも胸が晴れないと思った」と話す。書きためた原稿用紙は1500枚。いつかは1冊にまとめたいと言う。
「自分史を書く人の裾野は広がってきている。60歳代は、戦争体験などを書く世代と違い、夢中になった趣味や仕事を中心に書く人も多い」と福山さん。パソコンの普及で執筆が楽になったことも、背中を押しているという。
聞き書きサービスも 執筆を手助けする商品も登場した。日本法令の「自分史作成キット」(税抜き1900円)には、写真を貼り、絵を描ける思い出記録用紙や年表用紙が入っていて、和表紙にとじて冊子にできる。
パソコンで書きたい人向けのソフトもある。デネットの「日記・自分史 電子書籍作成」(税込み6048円)は、画面上で執筆し、写真も取り込める。電子書籍として読めるほか、A4・B5用紙に印刷して保存もできる。
タブレット端末でも自分史は書ける。CAIメディアのアプリ「
「自分で書くのは無理」という人には、聞き書きしてくれるサービスも現れた。「マイ・ヒストリー」(東京)には、本人にインタビューして原稿をまとめるプランがあり、モノクロ28ページの本を5冊作る費用は約30万円。「両親や祖父母のことをもっと知りたい」という中高年や若者からの相談もあるという。
福山さんは「自分史を書くことと、多くの部数を作る自費出版は別。一般的には5冊くらい作って身近な人に読んでもらえば十分」と話す。
1万の人生 収集
自分史作品を、全国から集めている市がある。
愛知県春日井市は15年前、市の文化施設内に「日本自分史センター」を設けた。公募や口コミによって、これまでに約1万500冊の自分史が寄贈された。閲覧、貸し出しのほか、自分史に関する相談や講座、有料の添削指導も手がける。
また、毎年夏には短い「
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