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百寿者こぼれ話

からだコラム

[百寿者こぼれ話]一緒に食事 人間関係円滑に

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 食べることは、単に栄養をとるだけでなく、人間関係に影響をすると思います。

 10年ほど前に、沖縄の108歳の女性を調査しました。病院に入院しており、脳卒中の後遺症でのみ込みが悪く、誤嚥ごえん性肺炎を繰り返すため、一時禁食(口から食事をとるのを禁止すること)となっていました。

 娘さんによると、とてもかわいがってくれた母で、自分が伝統芸能を職業にしたのをとても喜び、精神的にも経済的にも助けてくれた。以前は好きな物を料理して病院に持っていくと、食べて喜んでくれたし、自分もそれを見てうれしくなったそうです。「でも今は食べさせることが出来ないのでとても悲しいです」としみじみ話をしておられました。私も病院で嚥下困難の方で誤嚥を繰り返す方には一時的な禁食を指示しましたので、耳の痛い話でした。

 2年前に奄美大島に行きました。106歳の女性で退院したばかり。健康状態が気になっていたのですが、お元気でニコニコとよくお話しになりました。家族の方もたくさんお見えになりました。調査終了後、お昼を一緒に頂戴しました。よもぎ餅は、東京のとは違って味が濃く、とてもおいしかった。川ガニ、鶏飯も出していただいて、これらもすごくおいしかったので何度もお代わりをしました。

 その後しばらくして、亡くなったという知らせがあり、東京にお住まいのお孫さんがごあいさつに来られました。あまりたくさん食べたので意地汚いと思われているのでは、と心配でしたので、おわびしたところ、家族の皆様がとても喜んでいたというご返事でした。皆様もご承知だと思いますが、食事を一緒に頂くということは、人間関係を円滑にする上でとても大切だと改めて思いました。(広瀬信義・慶応大特別招聘しょうへい教授)

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karada_117

 
 

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