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幸せの法則 四つの要因

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やってみよう/ありがとう/なんとかなる/あなたらしく

長年の夢だった庭づくりをしている紫竹昭葉さん(北海道帯広市で)=原中直樹撮影

 幸せには法則がある。幸せを願うのに、誰もが幸せになれるとは限らないのは、多くの人が見当違いの努力をしているからなのかもしれない。その法則、幸せの「四つ葉のクローバー」(四つの要因)とは――。

競争ではない多様な夢

 畑や牧草地がどこまでも広がる北海道帯広市の郊外。約6ヘクタールの「紫竹ガーデン」には、2500種類の花が咲き誇る。紫竹昭葉しちくあきよさん(87)は、年間10万人を超す観光客を、花柄の洋服と帽子姿で明るく出迎える。海外のお客さんは、その国の歌で歓迎する。

 紫竹さんが、ガーデンを作ったのは24年前の63歳の時。夫を亡くし、毎日泣いて暮らしていたが、「子供の頃に遊んだ花いっぱいの野原を復活させたい」という夢を思い出した。

 造園の知識も経験も、資金もなかった。手伝ってくれる人も。でも、「大丈夫。何とかなる」と、自分を励ました。猛反対していた家族もやがて、「夢は止められない」と応援。「楽しければ苦労も苦労じゃない」。紫竹さんは振り返る。

 「まるで幸せの見本」。工学的な手法で幸せを研究する慶応大教授の前野隆司さん(52)は、紫竹さんをこう評価する。

 前野さんは、15~79歳の1500人にアンケート調査をして、人生の満足度や幸福感にどんな心的な要因が影響するか調べた。楽観性やユーモア、親切さなど幸せに関連しそうな87個の質問をして分析すると、現代の日本人の幸せに影響する要因は、四つに集約された。

 〈1〉やってみよう(自己実現と成長)〈2〉ありがとう(つながりと感謝)〈3〉なんとかなる(前向きと楽観)〈4〉あなたらしく(独立とマイペース)――で、前野さんは「幸せの四つ葉のクローバー」と名付けた。

 1500人は、四つ全部を満たす「幸せ」(20%)、〈1〉〈2〉が強く〈3〉〈4〉が弱い「やや幸せ」(17%)、「幸せでも不幸せでもない」(45%)、〈1〉〈2〉が弱い「やや不幸せ」(7%)、四つとも弱い「不幸せ」(11%)の5グループに分かれた。

 「幸せは、一見、無関係の行動をした結果として、突然、ご褒美のようにやってくる。努力しても幸せになれないのは、目標が間違っているせいかもしれない。四つを意識してバランス良く行動するのが大切。自己実現は、競争ではなく、みんなが多様な夢の実現を目指すこと」と、前野さんは強調する。

 〈4〉の、あなたらしくは、日本人の苦手分野かもしれない。前野さんは「弱点こそ伸びしろ。苦手を克服すれば、その分、幸せになる」と指摘する。

 自分にとって何が幸せか、案外知らないものだ。

 前野さんが実践するのは「カレンダー○×法」。一日の最後に振り返り、幸せだったら○、不幸せだったら×をつけ、簡単な理由を添える。前野さんは、仕事よりも、面白い人との出会いなどの方がずっと幸せに影響することに気づいた。

 システムデザインが専門の前野さんは、四つ葉のクローバーは社会の幸せづくりにも応用できると考える。

 今年から教育関連企業と幸福力育成プログラムを開発しており、〈1〉夢と感謝していることを書いて口にする〈2〉困っていること、気になることを書いて「何とかなる」「気にしない」と言う〈3〉ペアを組んで互いに良かった点を言い合う――ことで幸せ度が大幅に上昇することがわかってきた。(杉森純)

 

 メモ 幸せの四つ葉のクローバーの詳細は、前野さんのホームページ(http://lab.sdm.keio.ac.jp/maenolab/wellbeing.htm)や著書「幸せのメカニズム」(講談社現代新書)で。前野さんは病院のシステムを、患者や働く人の幸せの観点から作り変える共同研究も始めている。

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