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原記者の「医療・福祉のツボ」

医療・健康・介護のコラム

医療のかかり方(6)医療情報ネットを活用しよう

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 マイドクターを選ぶのに役立つ情報は、どこにあるでしょうか。

 地域や患者間の口コミは、医療機関の雰囲気や混み具合、医師の人柄などについて、表向きの文字にはなりにくい率直な印象を伝えてくれます。とはいえ、個人の体験や感想にすぎないので、内容が不正確なことがしばしばあり、診療の技量もよくわかりません。

 ネットの口コミ情報は、もっとあてになりません。民間ネット業者が作っている口コミサイトは、どの医療機関もほめるばかりのものが目立ちます。一般のネット掲示板は、主観的で一方的な悪口が多すぎます。


公的な医療機関データベース

 知っている範囲の医療機関だけでなく、広く情報を集めたい。そんなときに役に立つインターネット上の公式の情報源があります。

 「医療機能情報提供制度」(略称・医療情報ネット)というシステムで、2007年度から医療法に基づき、導入されています。下記のページから、各都道府県の医療情報ネット(都道府県ごとに名称は異なる)にリンクしています。

・厚生労働省「医療機能情報提供制度
・福祉医療機構「サービス提供サービス提供機関の情報」(医療機能情報)

 いちど自分の地域について、検索してみてください。診療科目、市区町村、病院か診療所か、といった条件をいろいろ組み合わせて検索できます。

 検索結果から個々の医療機関の詳細ページを表示させれば、院長の氏名、診療科目、診療時間帯、対応可能な疾患・医療内容、スタッフの人数、医療機器の有無、外来・入院の患者数などが表示されます。専門医資格の有無もわかります。一部の医療機関では治療実績も表示されます。

 医療機関の詳細ページをいくつか見ていけば、違いがだんだん浮かび上がってくるはずです。都道府県への報告をもとにしているので、内容はいちおう信用できます。

 医師の経歴などの情報は足りませんが、どこにどういう分野を診療できる医療機関があるのか、とりわけ診療所について基本的な情報を得るのに、このシステムは役立ちます。詳細ページに実質的な情報が乏しい場合は、安心できる医療機関ではないでしょう。

 ついでながら、この検索システムには、外国語対応に関する項目もあります。「言葉に不自由することなく診療が可能」「日常会話程度」という医療機関もありますが、英語についても「会話の自信はないが図示や単語の羅列で対応が可能」というレベルがかなり多いことがわかります。埼玉県、千葉県、大阪府などは「片言」というわかりやすい区分です。医学部を出ていても、ふだん使わないと英語をしゃべるのはやっぱり難しいものなんですね。


ホームページを見るポイント

 それぞれの医療機関が開設しているホームページも、大切な情報源です。

 病院(入院ベッド20床以上の施設)なのに、独自のホームページがなければ、患者への情報提供に消極的であり、ろくな病院ではないと考えてよいでしょう。

 診療所(入院ベッドなしまたは19床以下)の場合は、まだそこまでの状況ではありません。ウェブデザイン業者への依頼に費用がかかることもあり、実力派のドクターでも自前のホームページを作っていないことがあります。とはいえ、ホームページでなるべく詳しい情報提供に努めている診療所のほうが、信頼できますよね。

 内容は、どこを見たらいいでしょうか。

 診療の理念や基本方針は、どこでも立派なことを書いてあり、あまり参考になりません。

 ポイントは、医師の氏名、略歴、所属学会、専門医資格、得意分野といった個人別の具体的な情報があるかどうか。次に診療の具体的な方針や実績です。それらを載せているなら、情報提供に積極的で、一定の自信も持っているわけで、良い医療機関の可能性があります。

 一方、ホームページがあまりにも美しい医療機関や、保険外の治療技術を前面に出してPRしている医療機関は、金もうけ重視のことがあり、気をつけたほうがよいかもしれません。

 このほか、専門医資格を検索できる学会のサイトや患者団体も、マイドクター探しの情報源として有用ですが、それらの説明は追っての機会に。

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原昌平20140903_300

原昌平(はら・しょうへい)

読売新聞大阪本社編集委員。
1982年、京都大学理学部卒、読売新聞大阪本社に入社。京都支局、社会部、 科学部デスクを経て2010年から編集委員。1996年以降、医療と社会保障を中心に取材。精神保健福祉士。社会福祉学修士。大阪府立大学大学院客員研究員。大阪に生まれ、ずっと関西に住んでいる。好きなものは山歩き、温泉、料理、SFなど。編集した本に「大事典 これでわかる!医療のしくみ」(中公新書ラクレ)など。

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