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浦上克哉・鳥取大医学部教授講演「認知症予防の最新情報」

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講演(5)トリゴネコーヒー、アロマも…予防法あれこれ

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短歌や俳句…知的活動で神経細胞活性化

 最後に、自分でできる認知症予防についてお話ししたいと思います。

 認知症になった患者さんを調べてみますと、毎日、テレビを見ながらうたた寝をするような、刺激のない生活を送っている人が多いことがわかりました。これが直接の原因かどうかはわかりませんが、「悪い生活習慣」であることは間違いなさそうだと考えました。

 これに対し、私がお薦めする「いい生活習慣」は、できるだけ毎日、創造的なことをしていくということです。創造的なこととは、新しいことにチャレンジするということです。ある程度年を取られた方は、「新しいことをやりませんか」と言われたら、「もういい年だから、新しいことはできません」と言って、やろうとしない人が多いのです。

 ところが、新しいモノを作り出すことが、最も神経細胞を活性化するということがわかっています。

 具体的に例を挙げますと、短歌や俳句、日記などの知的な活動です。

 ただ、くれぐれも盗作はしないでくださいね。新しいモノを作ることにはなりませんから。

 さらに、運動や笑うことも、認知症予防に効果的であることがわかっています。


インスタントコーヒーは効果なし

 より手軽な予防法として私がお薦めしているのが、トリゴネコーヒーです。

 トリゴネリンという成分が多く含まれたコーヒーを飲んでいただくと、神経突起の伸長を著しく促進することで、認知症の予防効果があることがわかってきました。ただ、インスタントコーヒーは、製造過程のなかでトリゴネリンがほとんど失われているので効果が期待できません。

 トリゴネリンは、コーヒーの煎り方によって随分と濃度が変わってきます。そこで、お湯に漬けるだけで簡単に作れるコーヒーバッグがあります。ただ、どこの商品かということをこの場で言ってしまいますと宣伝になってしまいますので、割愛させていただきます。インターネットなどで検索するなどして調べてください。


昼用と夜用…使い分けるアロマ

 アルツハイマー型認知症は、物忘れから始まってくると申しましたが、最近になって、物忘れよりも前ににおいがわからなくなることがわかってきました。

 実は、アルツハイマー型認知症は嗅神経が先にやられて、その後に海馬がやられます。海馬の神経がやられて物忘れが起きますので、例えば、においがわからないという段階で何らかの対応策を打てれば究極の予防策ができる可能性があるわけです。嗅神経というのは、幸いなことに、再生能力が極めて高いのです。ただ、嗅神経といえどもガタガタになったら、もはや再生しませんから、早い段階で嗅神経を効果的に刺激する必要があり、そういう方法が見つかればいいなとずっと考えていましたが、これもやはり10年ほど前に、香りで嗅神経を刺激したらいいのではないかと考え、アロマセラピーを使うことを思いつきました。

 嗅神経が先にやられるアルツハイマー型認知症に有効であることがわかりました。ただ、どんなアロマでもいいわけではなくて、いろんな香りを試した結果、もっとも認知機能改善に効果があるのは、昼はローズマリー・カンファーとレモンを配合したもので、夜は癒やし効果がある真正ラベンダーとスイートオレンジの組み合わせがいいようだということがわかりました。

 昼用のアロマはペンダントに入れて首からぶら下げていただいて、夜用は置き型タイプのものを寝室に置いていただければよろしいかと思います。


においがわからない人にも…

 においがわからない人でもアロマの効果はあります。それがなぜかといいますと、においを自分が感じていないだけであって、香りは神経細胞に届いていますから。

 効果のあった人の中には、認知機能の改善とともに、においがわかるようになったと言われる方もおられます。これは恐らく、嗅神経が回復したためだと思います。

 アロマオイルは、植物から抽出した本物のオイルを使ってください。化学合成して似たような香りを出しているものがいっぱいありますが、化学合成して作った香りは、あまり嗅ぎすぎると、健康を害する危険性がありますから、注意をしていただきたいと思います。

 また、ローズマリーにも3種類があり、その中のローズマリー・カンファーでないと効果は保証できません。ただ、ローズマリー・カンファーは交感神経を少し刺激する働きがあるので、交感神経が過緊張気味で高血圧になっている方は注意が必要なので、主治医に必ず相談してください。

 
浦上克哉(うらかみ・かつや)さん

 鳥取大学医学部教授、認知症予防学。1956年生まれ。鳥取大学医学部卒。同大学医学部脳神経内科などを経て、同大学大学院医学系研究科保健学専攻・病態解析学分野教授。アルツハイマー型認知症および関連疾患を専門とし、診断マーカーの開発研究、外来での診察と治療、ケアなど総合的に認知症と取り組んでいる。著書に「認知症 よい対応・わるい対応―正しい理解と効果的な予防」(日本評論社)、「認知症は怖くない18のワケ」(JAF MATE社)など多数。


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