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浦上克哉・鳥取大医学部教授講演「認知症予防の最新情報」

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講演(2)どこも悪くないのに…気付かないアルツハイマー

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6つのチェック項目、ピンときたら…

 認知症発見のためのチェック項目をまとめてみました。

1)時間や月日が分からなくなってしまう
 日にちを間違えますと会議や催し物に参加できなくなってしまいますから、日常生活に支障をきたすことになります。


2)身近な家族の名前が分からなくなってしまう
 テレビに出ている俳優だとか、久しぶりに会った知人だとかなら、名前を忘れても、それほど心配する必要はありません。しかし、自分が名前を付けた息子の名前まで忘れるような場合は深刻です。


3)大事なもの(財布、通帳など)が分からなくなる
 財布、通帳、保険証などの大事なものが次々と行方不明になるものですから、心配になって、さらに丁寧に片付けるのですが、今度は、その片付けた場所を忘れてしまいます。認知症は、自分がしたことをすっかり忘れてしまうので、片付けた結果、行方不明にしてしまったということも忘れてしまうわけです。

 ただ、「何でなくなったんだ? これは誰かが盗んだのに違いない」という発想になります。こうした「モノられ妄想」と呼ばれる症状が、しばしば見られます。


4)大事な約束を忘れてしまう
 例えば、何かの会合に「出席します」と返事をしておきながら、当日になったらすっかり忘れてしまって、会合の責任者の方から「何で来なかったんだ」とお叱りを受けてしまう。


5)料理のレパートリーが少なくなる
 料理を作っておられる方にだけ該当する話ですが、以前だと手の込んだ料理をかなりの種類作っていたのが、最近は、毎日同じような料理ばかりになってしまったり、スーパーなどで出来合いのものを買ってきたりだとか……。料理の手抜きをするのとは、また違う話ですが。


6)会合、買い物などの外出が少なくなる
 認知症の方や認知症予備軍の方にしばしば該当するのが、「出無精になる」ということです。何だかんだと理由をつけて、外に出るのを嫌がるようになるのは危険な兆候です。


かかりつけ医でも見逃す異変

 認知症というのは一つの病気を言い表しているのではなくて、認知症の中にいろいろな病気があるのです。その中でアルツハイマー型認知症が最も多くて、認知症全体の約7割を占めると言われています。

 アルツハイマー型認知症の患者さんは、病院に来られた時に「物忘れはどうですか?」と聞いても、「私は大丈夫です。物忘れしません」と答えるし、自分から医師に相談することも極めてまれなので、医師が見逃すケースが非常に多いのです。

 患者さんの周囲の人たちが「物忘れが多い」「おかしい」と気付いていても、かかりつけの医師が気付かないということもよく起こるのです。

 ですから、ご家族や周囲の方が「おかしい」と気付かれたら、医師に相談してみてください。

 あるいは、医師に相談しづらいようでしたら、保健師など、認知症のことで相談にのってくれるスタッフがいますので、各区市町村の地域包括支援センターなどに相談してください。


運動障害も無く、何も変わっていないようだが…

 それでは、アルツハイマー型認知症の特徴をまとめてみます。

 アルツハイマー型認知症は、物忘れという形で発症し、発症時期が明確でないというのが特徴です。いつ発症したのかが分からないから、発症に気付きません。例えば、2~3年前から物忘れが激しくなってきて、ゆっくり悪くなるのが特徴で、運動障害が無いのも特徴です。運動障害が無いのは、ご本人にとって、甚だいいことですが、はた目から見ると、どこも悪くない、以前と何も変わっていないように見えてしまうのです。

 認知症の中でアルツハイマー型の次に多い認知症が血管性認知症ですが、これは、脳血管性障害にかかった後に発症する認知症です。

 血管性認知症ならば、元々、脳梗塞や脳出血にかかった前歴がありますので、軽い手足の麻痺まひがあったり、呂律ろれつが回らなかったりなどの、何らかの神経症状があって、周りから見ても、「ちょっとおかしいよ」ということに気が付きやすいのです。


浦上克哉(うらかみ・かつや)さん

 鳥取大学医学部教授、認知症予防学。1956年生まれ。鳥取大学医学部卒。同大学医学部脳神経内科などを経て、同大学大学院医学系研究科保健学専攻・病態解析学分野教授。アルツハイマー型認知症および関連疾患を専門とし、診断マーカーの開発研究、外来での診察と治療、ケアなど総合的に認知症と取り組んでいる。著書に「認知症 よい対応・わるい対応―正しい理解と効果的な予防」(日本評論社)、「認知症は怖くない18のワケ」(JAF MATE社)など多数。


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