文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

こころ元気塾

医療・健康・介護のニュース・解説

四十路の女の生き方伝授・湯山玲子さん(1)早く自立しろ、自覚せよ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 記者は40歳。体力や容姿の衰えを感じ、仕事も家庭も「このままでいいのか」と漠然とした焦りが募る。「四十路よそじ越え!」の著書があり、楽しそうに先を行く作家の湯山玲子さん(53)に、女の折り返し地点の歩き方を伝授してもらった。(岩永直子)

湯山玲子(ゆやま・れいこ)さん

 1960年、東京都出身。作家、ディレクター。日大芸術学部非常勤講師。「四十路越え!」「四十路越え! 戦術篇」(角川文庫)、「女装する女」(新潮新書)、「文化系女子という生き方~『ポスト恋愛時代宣言』!」(大和書房)など著書多数。



 ――40歳って女性の方がこたえる気がします。

 「出産、結婚の限界に直面するからでしょう。子どもを産まないことになりそうな自分の人生を覚悟する人もいるし、自然に生きていたら結婚できると思っていたのに、したい相手が現実には壊滅状態だし、出産したらしたで、その間はキャリアを棚上げしているので仕事でも焦りを感じる。というシビアな現実が、具体的に自分の人生に現れてきますからね」

 「男の場合は、『男の人生』なんてものはなくて、実は所属する組織の会社人生だけなんですよ。女の場合は、そこまで会社にアイデンティティーを帰属させられない。まあ、そういうタイプだったとしても、一回子育てで会社から距離が出来ると、色々な選択肢があることにも気づいて、自分の生き方について考え始めますからね。日本では自分の生き方について、『みんなと同じように振る舞ったり、判断したりしていれば大丈夫』と棚上げしているところがあるし、悩みから簡単に逃避できるエンターテインメントもいっぱいありますから。それが女の場合は、子持ちでもそうでなくても、色んな覚悟を突きつけられて、冷水を浴びせられたようになるのが40代なのでは」


 ――容姿も変わるし、周囲の扱いも変わってきます。

 「若い女に向けられるちやほやがなくなって、ああっ、やっぱり自分は十人並みだったのだ、と正気に戻るんじゃないですかね(笑)。それなのに若い頃と同じことをして『私という花を手折ってくださいな』という不遜な欲望が見えると、『イタい』女の仲間入りです」

 「四十路越えのテーマの一つは、早く自立しろ、自覚せよなんですね。日本の精神風土だと思うのですが、男も女も面倒くさいことを考えずに、自然のままでいい、がつがつやるのではなくあるがままの自然のままでいれば皆も持ち上げてくれるし、世間がいいようにくんでくれるということが一昔前ならあったのかもしれない。今はそんなことはないので、自分が何の努力もしなければ愛されない、ということに早く気づいた方がいいです」


  ――逆に、40歳は人生の仕切り直しのチャンス、人生の第2エンジンを吹かす最後のチャンスともおっしゃっています。

 「女の人ってほとんどの場合、『楽で得が好き』で、判断基準がそれなんですよ。そこらへんが現実的と言われるゆえんです。若い頃は親に、大人になったら男や世間に依存して楽や得を与えてもらう。だけどそれは、男や世間にリーダーシップを預けること。そんな生き方から脱して、人並みな自分ではなく、他人と違う私という輪郭を持つことが、その後の人生を豊かに生きられるかの分かれ道だと思います。逆に、その楽で得がなかった人はわりと早く自立せざるを得なくて、結果、自立のための筋力が強靱きょうじんになって、自分の人生が生きられますよね。楽で得でうらやましがられるものがずっとある人っていうのは、逆に自立のきっかけを失うと思います」

 「男も依存体質は強いですよ。男は早く思考停止して、会社に依存する。女性はまだ、出産とか生理とか肉体の自然によって引き戻されるから、個人の人生を考えるきっかけがあるのですが、男は外部の組織や考え方に完全に自分を明け渡して、個人の人生を考えないで過ごしていますよね。滅私してしまう可能性が高い」

 「私が非常勤講師を務めている日大芸術学部で職員の人たちと交流する機会があったのですが、60歳代の女性2人が『私、子育ても終わっているし、ここから一旗あげようと思うんですよ』と話しかけてきたんです。だから四十路に限らず、案外女の人は60になってもそんなことを考えているのよ。きれいだし、私に話しかけてくるぐらいだからコミュニケーション能力もある。そういう、仕切り直しと働きかけが男にできるかといったら、聞いたことがない。コンサバ(コンサバティブ、保守的)に生きている女も、よく話してみると本人の中に眠っている何かを抱えている人って多いんですよね。基本的に女の人は不利な扱いを受け続けてきて、社会を信用していないから、外部の環境が変わったり、何かショックを受けたりしたときに、前の自分を捨てて明日から変わるという総取っ換えの力は、女の方がすごいものですよ」(続く


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

こころ元気塾の一覧を見る

最新記事