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「睡眠指針」11年ぶり改定…世代ごとに違う「眠り」

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 睡眠を健康的にとるために厚生労働省が策定した指針が先月、11年ぶりに見直された。世代ごとの注意点を盛り込んだほか、睡眠不足や不眠が生活習慣病のリスクを高めるなど、国内外で近年集まった科学的な根拠に基づいているのが特徴だ。


 「レタスを食べればぐっすり眠れる」「90分の倍数で眠れば短い時間でもOK」。イラストで示したクイズに登場する「快眠法」は、どこかで一度は聞いたことがあるかもしれない。

 答えは、五つとも「×」。科学的な根拠のないうわさに過ぎない。

 その理由を見ていこう。


〈1〉

必要な睡眠時間には個人差があるが、おおむね6時間以上8時間未満。加齢によって短くなるし、8時間とは言い切れない。

〈2〉

寝酒は確かに寝付きは良くなるが、夜中や早朝に目が覚めやすくなるなど、睡眠の質を落とすマイナス面の方が大きい。

〈3〉

レタス類の植物には睡眠に影響する物質が若干含まれているものもあるが、通常のレタスをいくら食べても眠りには影響しない。

〈4〉

睡眠は、主に脳を休める「ノンレム睡眠」と、主に体を休める「レム睡眠」が、90~120分の周期で繰り返される。レム睡眠は浅い眠りで目覚めやすい側面はあるが、周期の1回目と2回目では間隔が異なり逆算は難しい。

〈5〉

一人ひとりに適した睡眠時間があり、意思や訓練で短くすることはできない。睡眠時間が短ければ心身に不調をきたす。



 こうした誤ったうわさに惑わされず、正しい睡眠の知識を得てほしい――。それが厚労省が睡眠指針を改定した狙いだ。

 注目したい指針の一つが「良い睡眠は生活習慣病予防につながる」。根拠になったデータの一つに、米エール大が2006年に発表した追跡調査がある。

 同大は、マサチューセッツ州に住む40代から60代の男性1139人について、睡眠時間と糖尿病になる人の関係を16年間継続して調べる研究を1987年に始めた。

 その結果、糖尿病の発症率が最も低かったのは7時間睡眠の人で、5・2%だった。この発症率を「1」とすると、5時間以下だと2・6倍、8時間以上だと3・6倍にも増えた。

 睡眠指針に関する検討会の座長を務めた日大医学部教授の内山真さん(精神医学)は、こう分析する。

 「睡眠が不足すると、食欲が増す一方、体を動かすのがおっくうになって運動不足になる。また、エネルギーの代謝に関わるホルモンの影響で血糖値が上がることが考えられる」

 睡眠時間が長い人も糖尿病発症率が高いことについては「睡眠時間が長過ぎるのは、すでに体の中で何らかの不調が起きている可能性もある」と指摘する。

 一方、指針では、世代ごとに必要となる睡眠時間の目安を示した。特に注意したいのが高齢者。10代の頃と同じように8時間眠ろうとして寝付けず、不眠を訴える人が多いという。

 内山さんは「寝床で過ごす時間が必要以上に長くなると、かえって睡眠が浅くなり熟睡感が得られない。8時間睡眠に固執せず、年齢に合った睡眠時間を心がけてほしい」と話している。

 指針は、検索サイトで「健康づくりのための睡眠指針2014」と入力すれば見ることができる。(加納昭彦)


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