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祖母 厳しい中にも愛情

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 子どもの頃は、おばあちゃん子でした。実家の隣に母方の祖父母が住んでいて、もう2人とも亡くなったんですが、よく行き来をしていました。

 祖母は厳しい人でした。食事時も「米粒一つ残すな」と言われました。でっかい人という印象があって、手も大きかった。甘やかされた記憶はありません。

 高校を卒業して俳優の道に進みましたが、仕事はいつも応援してくれましたね。出演作も全部見てくれました。直接、感想を聞くことはなかったけれど、自分の出ていたテレビを見て、祖母が泣いていたと、祖父から聞きました。小さい頃は「うるせえなあ」と思ったりもしたけど、仕事を始めてから、祖母の愛情がわかるようになった。「ばあちゃんのために頑張ろう」と思ったものです。

 その祖母が亡くなる前に認知症になったことは、本当にショックでした。叔父と一緒に病院に見舞いに行ったら、叔父に向かって「あんた誰」と。その瞬間から下を向いて、気づかれないようにしました。自分のことをわからないと言われたら……と怖かった。あの時の気持ちは今も鮮明に覚えています。

 公開中の映画で、認知症の父親を福井県の故郷の町に連れて行く会社員を演じました。祖母の故郷も福井で、台本を読んだ時、不思議な縁を感じました。祖母の認知症の経験がなかったら難しい役でしたが、祖母に助けられたと感じてます。(聞き手・樋口郁子、写真・佐々木紀明)

 緒形直人(おがた なおと)さん 俳優。1967年、横浜市生まれ。88年、映画「優駿」でデビュー。日本アカデミー賞新人俳優賞など受賞。公開中の映画「サクラサク」(配給・東映)に主演。

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