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ボランティア…楽しく続けて人生豊かに

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 新年度のスタートは何かを始める絶好の時期。中でもボランティア活動はシニアの人生を豊かにしてくれる。今回は、実際にグループのリーダーを務める人たちが、多くの参加者を募り、活動の幅を広げるための方法などを大阪ボランティア協会常務理事の早瀬昇さん(59)に聞いた。

ホワイトボードで説明する早瀬さんのアドバイスを聞く(右から)古本さん、中谷さん、西村さん(大阪市中央区で)=長沖真未撮影

 大阪市中央区谷町の協会事務所に、大阪府吹田市の西村征雄さん(70)、中谷恵子さん(60)、古本慎一さん(64)の3人が集まった。西村さんは腹話術など演芸の会を主宰し、中谷さんは点訳グループの会長で、古本さんは役員。中谷さんは吹田市ボランティア連絡会の会長も務める。

 早瀬さんはこれまで様々なボランティア活動や団体を支援。この日のためにシニアの参加に関する資料を用意してくれていた。

 特に聞きたい質問は、無償が原則のボランティアに有償も取り入れるべきか▽後継者をどう確保するか▽団塊世代の男性の参加をどう促すか――の3項目。

 まず、有償か無償かの議論について、早瀬さんは「完全な手弁当ではなく、交通費などを負担してもらう実費弁償も許されていいと思う。さらに、活動中の弁当やユニホームをもらうのもOK。しかし、活動の対価として報酬を受け取るのはボランティアとは言えない」ときっぱり。

 そのうえで「有償には大きな落とし穴があります」と切り出した。対等であるべき関係がいつの間にか相手先が強くなり、「報酬を払っているのだから、これくらいは当たり前」という雇用、被雇用の関係になってしまうと強調した。

 次に後継者問題では「ちょっと問題発言と取られるかもしれませんが」と断った後、「ボランティア活動では後を継ぐことを求めると無理が生じやすいと思っています」と明言。3人に困惑の表情が浮かんだ。

 「ボランティアは一代限りのグループが多い。気のあった仲良し同士で楽しく活動するから続くのであって、新しい人がそれをそのまま受け継ぐのは難しい。後に続く人は先輩たちを参考にしながら新たなスタイルを生み出すことでこそ意欲が出る」と説明した。

 団塊世代の男性については「頼まれれば嫌と言えない世代。おだてて2階に上げてハシゴを外せばいい」などと珍説も披露。早瀬さんのユーモアあふれる回答に3人は爆笑しながらも、納得した様子だった。(浅野博行)


「共感で動く」印象的

 西村さん「ボランティアは自分が好きでやっているのが基本で、有償か無償かはその先の議論だと思っていた。早瀬さんと話し、再確認できた」

 中谷さん「早瀬さんから、後継者はいらないような発言を聞いて驚きましたが、むしろそのくらいの気持ちでいいんだと気が楽になりました」

 古本さん「市民活動は指揮命令でなく、共感で動くという早瀬さんの言葉が印象的。ゆとりを持って支え合うのが続けるコツだと思った」

社会の担い手

 大阪ボランティア協会は1965年、「ボランティア協会大阪ビューロー」として発足(69年に現在名に改称)。日本最初のボランティア協会で「奉仕活動」という言葉が一般的な時代にあえてボランティアを使い、主体的、自主的に社会に関わる市民自治の考えを広めた。

 早瀬さんは78年、協会に職員として就職。91年から2010年まで事務局長を務めた。ボランティア活動の支援事業のほか、ボランティアそのもののPRに力を尽くしてきた。

 早瀬さんは「市民活動は行政や企業とは別の大きな社会の担い手となっている。経験豊富なシニアの人たちにぜひ参加してほしい」と呼びかけている。

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