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[シカゴから]最先端研究 責任は自身に

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 問題の多いSTAPスタップ細胞論文の事前チェックができていなかったことに対し、理化学研究所の監督責任を追及する声があがっていますが、これは間違っています。

 一般的に各研究室は研究に関してほぼ独立しており、研究成果の発表には個別に責任を負います。いわば、各研究室が「市町村」に、学部や理化学研究所の各センターなどが「都道府県」に、大学や研究機関は「国」に相当します。

 研究成果は各研究室の責任者がとりまとめて発表するので、今回の問題で理化学研究所に発表の責任を問うことは誤りです。最先端の研究室であればあるほど、自らが最高の研究者で、自ら責任を負うしか方法がないのです。

 しかも、性悪説に立って事前に調査することなど物理的にできるはずがありません。国が各市町村に一定の業務を性善説に立って委託しているのと同じで、各研究者を信頼して委ねています。とはいえ、市町村が国全体に影響するような悪行をした可能性が高い場合、国が放置するのは不適切です。

 今回のケースで大きな問題なのは、日本や日本人研究者の信頼が揺らぎかねないのに、理化学研究所や研究所所属のセンターが問題を軽視し過ぎて、適切な対応を取らなかったことです。国(文部科学大臣や官房長官)が対応を促してから記者会見をするのでは、誰が見ても遅過ぎ、ボヤを大火事にしてしまいました。ボヤの間に消火すれば、研究に関係のないひどい誹謗ひぼう中傷にまでは至っていなかったのではと思います。

 科学的な過ちは検証して批判すべきですが、溺れる犬に石を投げるような、日本人の美徳に反する一部報道には憤りを覚えます。(シカゴ大教授 中村祐輔)

STAP=stimulus-triggered acquisition of pluripotency


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