宋美玄のママライフ実況中継
医療・健康・介護のコラム
ベビーシッター事件、責められるべきは母親か?

先週は高熱でぼんやりしたままでした。その後、一家で全快し、娘は早速パワー全開となっています。週末に仕事で
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さて、先日、22歳のシングルマザーの女性が、インターネットのマッチングサイトを使って見つけたベビーシッターに2歳と8か月の2人の息子を泊まりがけで預けたところ、シッターの男性と連絡がつかなくなり、2歳の男児が遺体で見つかるという大変痛ましい事件が起こりました。この件については、すでに多数の有識者たちが解説や考えを述べられていますが、託児・保育サービスを利用しながら働く母親として私の考えを述べたいと思います。
シッターに頼らざるを得ない状況も
幼い命が失われてしまった今回の事件はとても悲しく、どうにかしてこのような結果にならずにすむ方法はなかったのかと考えるのは当然だと思います。しかし、事件の後にインターネットサイトで見ず知らずの人に預ける危険性が訴えられているのをよく見ますが、単にそこを甘く見たために起こった事件とは思えないので、本質的な解決や再発予防にはつながらないと思います。親に時間とお金、そして人的資産に余裕があれば、家族や友人などの知人とか、事前に面接をしたり、信頼の出来る会社を通したりするなどして預け先を確保するでしょう。しかし、急に泊まりで預けなくてはいけない、そして生活に余裕もない、となれば、そういったサイトで個人のシッターを探さざるを得ない状況になるということは私には容易に想像出来ます。
待機児童問題など、子どもを預ける受け皿が不足していることが叫ばれて久しいですが、公的な保育施設は主に平日の昼間に親が働くことを前提としており、早朝や夜間、土日祝日に勤務する親はさらに困った状況にあると思います。私自身、産科当直で休日や夜間に勤務したり、テレビ出演などで早朝や夜間に勤務したりする状況が定期的にあるため、夫や実母にカバーしてもらっていますが、2人とも都合が悪い時はベビーシッターさんにお願いすることもあります。ベビーシッターは、保育園に比べてどうしてもコストが割高になってしまいますが、一対一で子どもをみてくれるためだけではなく、公的補助がほとんどないというのも原因のようです。
私がこの事件で一番衝撃的だったのは、悲しみにくれている母親が会見の場で「世間を騒がせて申し訳ありませんでした」と謝罪したことです。その言葉から、母親が、「なぜそんなところに子どもを預けたのだ」「なぜ泊まりで子どもから離れたのだ」といった自分の不手際を追及する世論を感じ取っていたのではないかと想像し、子どもを亡くして一番悲しい時に世間様に謝罪をしないといけない状況に胸がつぶれる思いがしました。
報道をみる限り、今回の事件で母親に決定的な落ち度があったとは思えず、むしろ出来る限りの努力はしているように感じました。もちろん、色々とほじくり返せばこの世に完全無欠の親などいないでしょう。しかし、この件で母親に責任を求めるのは、例えが適切ではないかも知れませんが、「レイプされる方にも落ち度がある」と言っているのと同じくらい、上から目線で他人事で想像力に欠けていると思います。
働くシングルマザーに支援策を
今回の被害者の母親はシングルマザーでしたが、今の日本ではひとり親に対して、子どもを預けて働かなくて済むほどの公的扶助はありません。つまり働かなくてはいけないということです。ひとり親でなくても、働かざるを得ない親は大勢います。私自身働いていますが、趣味や自己実現のためではありません。今日明日の生活のためであり、これから先も長い間社会に必要とされ働く機会を与えられ続けるためで、それが両親のどちらかに何があっても子どもを守ることとなり、ひいては子どものためにもなると考えています。今の日本では、自分や家族の身を守るために子どもを預けて働くことは、余程恵まれた境遇にない限り普通のことなのです。
今回の事件を受けて、ベビーシッターのマッチングサイトを規制したり、シッターを資格化して管理したりしても、子どもを急に安く土日や夜間に預けたいという需要がある限り、アンダーグラウンド化してしまうだけで根本的な解決にはならないでしょう。いつまでも「伝統的な家族観」という神話にこだわってそちらに誘導しようとするのではなく、現状を直視し、生殖世代が子育てをするにあたって、どういうサポートの需要があるのかという視点で検討し、そこに国の予算をつけていただきたいです。そうしなければ、同じような悲しい事件の再発を防止出来ないでしょう。
最終的に守られるべき存在は子どもです。そのためにするべきことは、さまざまな状況にある世の親たちを「あるべき姿」に沿わせようとするのではなく、それぞれの親の事情に合ったサポートを提供することではないでしょうか。
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痛ましい事件です。
玲子
政府が何か対策をやってくれたからといって本人の危機管理能力がなければ意味がないと思います。詐欺のことがありましたがどんなに銀行が「騙されています...
政府が何か対策をやってくれたからといって
本人の危機管理能力がなければ意味がないと思います。
詐欺のことがありましたが
どんなに銀行が「騙されていますよ」と言ってくれても
本人が「騙されていない」の一点張りなら意味がありません。
未然に防いだある被害をテレビでやっていたのですが
窓口の銀行員が言っても駄目だった。
次に担当者がその人の家に行って説得し何とか未然に防いだそうです
「これも今まで培ってきた本人と銀行の信頼があったから」とナレーションでありました。
急な用事で子どもを預けなければいけなくても
それなりに信用できるところに預けたいと思うのではないでしょうか。
銀行などはいろいろと対応していますが
【振り込め詐欺の被害が過去最高】とニュースでやっていました。
なのでどんなに政府が対策をしてくれても
親本人の危機管理能力が欠けていたら意味がないと思います。
犯人は危機管理がない人を狙いますから。
【露出して夜道を歩くのが悪い】
上記のコメントがありましたが
夜道を歩くのも本人が避けようと努力はすると思います。
この事件の母親も避けていたようですが
「そこまでがんばっていたのになんで?」と考えてしまいます。
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どちらも正しいと思います。
梅
いろいろな意見があって私はどちらも正しいと思います。あくまでも私個人の意見ですが日本国中が「母親がした行動はおかしくない」となればある意味「怖い...
いろいろな意見があって
私はどちらも正しいと思います。
あくまでも私個人の意見ですが
日本国中が「母親がした行動はおかしくない」となれば
ある意味「怖い」です。
「初めて会う人に預けないよ」これは普通の感情だと思います。
みなさんもそうだと思います。
「母親のような行動はしないけど、母親を責めるのはおかしい」と言いたいのだと思います。
話は変わりますが
別のサイトでもこの内容を読んでいてちょっと疑問に思ったことは
「政治が悪い」と言う方も「政治ばかりの責任ではない」と言う方も
「このような事件が起こらないためにもどうしたらいいのか?」がないな、と感じていました。
「一時間166円ではやっていけない」のコメントがありましたが
今回の母親や低所得者にとって
安いのが一番のネックだと思うのです。
料金を安くするためにはどうしたらいいのでしょうか。
あくまでも私個人の意見ですが
一番手っ取り早いのが「増税」だと思います。
他の方法としては「女性が働ける場所を増やす」ですかね。
ただ働ける場所は男性でさえ就職が難しい時代。
私も経験していますが「小さい子供がいる」というだけで不採用になったこともあります。
「今回の母親のような方々を早く助けたい」となれば
一番手っ取り早いのは今のところ「増税」ですかね。
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誰も母親を責めていない。
モモンガ
すみません、追加です。上の方が「一人時間300円」とありましたが今回の場合、一人一日4000円。単純計算で一時間166円ぐらいです。あくまでもネ...
すみません、追加です。
上の方が「一人時間300円」とありましたが
今回の場合、一人一日4000円。
単純計算で一時間166円ぐらいです。
あくまでもネットでの情報ですが
横浜市に24時間営業の保育園があって
そこは一時間400円からだそうです。
この母親がその施設を知っていたか知らなかったかは定かではありませんが
どんなに施設が充実していても
一時間300円・400円でもこの母親のような人は利用できないんです。
でも、一時間166円ってあり得ない安さですよね。
「この安さで預かるのが怖くて」と断ったシッターもいたようです。
筆者も「母親を責めている人は考えられない」と言っている方々も
一時間166円で施設はやっていけると思いますか?
シッターでもやっていけませんよ。
一時間400円も利用できないなんて。
もちろん、生活保護をもらわなくても働けるのが一番いいのですが
贅沢はできなくても、生活保護があれば払える値段だと思うのですが。
この母親が【安心】よりも【安さ】を選んだのは
議論されても仕方ないと思います。
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