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論文撤回?…STAP細胞めぐる疑惑解明は道半ば

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 酸の刺激によって万能細胞に生まれ変わるという「STAP細胞」について、理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーらは、科学誌「ネイチャー」に発表した論文を取り下げる意向を明らかにしました。

 この論文をめぐっては、発表後まもなくして、様々な疑問が指摘されるようになりました。多能性を獲得したという画像が、小保方氏の博士論文に掲載されている骨髄幹細胞の画像と同じだという、論文の根幹にかかわる疑問もあります。理研は疑惑が発覚してから初めての記者会見を14日にようやく開いて謝罪しましたが、中間報告ということで不正があったかどうかについては断言せず、小保方氏も姿を見せませんでした。

 共著者の米ハーバード大教授は取り下げに同意していないと伝えられていますが、撤回されるかどうかは最終的にはネイチャー誌側の判断になると思われます。

 論文が撤回されれば、そこに書かれていた内容は「なかったこと」になります。ただし、論文がいったん掲載されて、掲載後に撤回されたという事実は将来にわたって残ります。

 掲載誌のオンライン版では、論文そのものが削除されるのではなく、該当論文にRETRACTION(撤回、取り下げ)と、撤回されたことが示されます。ウェブを検索すると「RETRACTION WATCH」という撤回論文を集めたページもありました。今回のようにすぐに大騒動になれば別ですが、時間がたってから撤回された場合、すでにその論文は様々な論文で引用されてしまっている可能性があります。引用論文を後にたどっても、元になった撤回の撤回がわかるというわけです。

 論文撤回といえば、高血圧治療薬「ディオバン」をめぐる京都府立医大の論文が、欧州循環器学会誌から2012年12月に撤回されたことが、記憶に新しいです。その後、慈恵医大のランセットの論文も同様に撤回されました。ディオバンをめぐる疑惑発覚は、あの論文撤回が始まりでした。

 STAP論文をめぐる疑惑の解明ははじまったばかり。今後どのように展開していくのでしょうか。(田村良彦)


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