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国立国会図書館関西館…知識の宝庫 感動の閲覧

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 国内最大の図書館として知られる国立国会図書館の一機関が京都府精華町にある。同図書館関西館で、膨大な図書に加え、ノーベル賞受賞者の論文など様々な貴重な学術資料も所蔵する。一般の人も利用できるが、敷居が高いと感じている人は多い。シニアの男性2人が館内ツアーに参加して、利用方法を学んだ。

向井さん(左)の案内で書庫を見学する森川さん(中央)と三宅さん(京都府精華町で)=永尾泰史撮影

 初めて来たという三宅敦夫さん(69)(奈良市)と、閲覧室の利用経験がある森川民雄さん(66)(同)で、同館総務課の向井紀子さんらが案内してくれた。

 2人は、まず国立国会図書館の概要を聞いた。東京本館(千代田区)、国際子ども図書館(台東区)、関西館の3館の蔵書数は4000万点で、国会のための調査、閲覧サービス、公立図書館支援を行っていることなどの説明を受けた。

 約600万点の収蔵能力がある地下2~4階の書庫を最初に見学した。利用者の求めに応じ、資料を自動的に探し出す自動書庫などを見て回った。この後、約12万点の図書、資料が閲覧できる地下1階の閲覧室へ。アジア関係の資料も豊富で、北朝鮮の日刊紙までそろっていることに感心していた。

 関西館の特色の一つが、関東大震災(1923年)以降の研究者ら58万人分の博士論文の所蔵だ。文献提供課の武田和也さんの説明で、医師でもあった漫画家の手塚治虫さん(1928~89年)の論文を検索。手塚さんが1961年、奈良県立医科大学から博士号を授与された「異型精子細胞における膜構造の電子顕微鏡的研究」という題の論文が見つかった。

 続いてノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士(1907~81年)、益川敏英博士の論文も検索し、閲覧した。タイプ打ちや自筆の論文を手にとって見ることができ、「歴史に名を残した人物の貴重な資料まで公開されているのですね」と2人は驚いていた。

 向井さんは「来館していただければ検索、閲覧のお手伝いをします。電話でも所蔵の有無が確認でき、東京本館から取り寄せできる本もあります」と話していた。(森川明義)

 三宅さん「自分の生まれた日の新聞も簡単に検索できた。記事もさることながら広告に時代性を感じて興味深かった。利用カードを作って、また来てみたい」

 森川さん「手塚治虫さんの博士論文の現物を見られたのがよかった。興味のある分野の資料を時間をかけて探してみたい」

デジタル100万点外部公開

 関西館は、東京本館の収蔵能力を補うため、2002年に開館した。延べ面積5万9000平方メートル。原則18歳以上ならだれでも利用できる。利用には登録が必要で、運転免許証、住民票の写しなど本人が確認できる書類が必要。

 蔵書は、インターネットからも利用できる検索システムで調べられる。資料のデジタル化も進んでおり公開資料も多い。1月からは非公開で本館や関西館でしか読むことのできなかった絶版書籍や雑誌など約100万点のデジタル資料を、承認を受けた一部の公共図書館から見ることができるようになった。

 関西館では、図書館に親しんでもらうためのイベントも開いており、29日まで、近代日本の酒造産業の資料を集めた「ニッポンの酒造り」を開催している。問い合わせは同館総務課(0774・98・1224)。

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