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石井苗子の健康術

yomiDr.記事アーカイブ

働くママが輝くには…「待機児童ゼロ」への課題

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(「女性が輝く日本へ」の「女性」とは誰を指しているのでしょう)

 安倍首相が掲げた64年ぶりの「保育」大改革は、「待機児童ゼロ」です。

 ところがスローガンは「女性が輝く日本へ」になっています。「待機児童」の話なのに、「働く女性が輝く日本」とは書いていないのです。

 母親になってもフルタイムで働き、残業もし、家では妻もやりながら「輝け!」は心身ともに疲れるからでしょうか。

 この20年間に、結婚せずに働き続ける女性が多くなりました。その一方で、経済的に余裕のある専業主婦になりたい女性も多くなりました。20年前に流行はやった言葉に「自分探しのやりがいのある仕事を選ぶキャリアウーマン」なんてのがありましたけど、最近はこんな甘いムードではありません。

 先日、私の知り合いで35歳の裕福なイケメン男性が真剣に結婚を考え、お見合いの要望を知人たちに出したところ20件以上の申し込みが入ってきたそうで、10件お見合いを実行したといっていました。恵まれているといえばそうなのでしょうが、できることなら余裕をもって子育てをしたいのは、働く女性の本音なのでしょう。

 それにしても、私にはなにか非常に偏っているように思えます。保育所で働いている女性たちだって働く女性なのです。保育士という資格が必要で、中には母親である人も当然いらっしゃいますが、働く女性を応援するために働いている女性たちなのです。

 雑誌「WEDGE」3月号によりますと、「待機児童ゼロ」といいながら、保育士という職業の人気はあまりないそうです。待遇の問題、重労働、長時間勤務、賃金面で恵まれないことや、中には学生の時から保育士になることを親に反対されているという理由もあり、保育士の資格を取って卒業しても、最初はまず普通の企業で働き、結婚して子どもの手が離れたらパートで保育士として働いてもいいという人が多いとか。それでは人数は足りなくなる一方です(JPホールディングス調査)。

 男性の保育士が少ないのは、賃金が低く生活が成り立たないことや、周囲が女性ばかりという環境が敬遠されがちだからだそうですが、厚生労働省の「潜在保育士についての全国調査」を見ると、パートで働きたいという保育士が60%以上とのことでした。「煩わしいことはしたくない、雑務や責任を回避したい思考の人が驚くほど多い」という理由で、フルタイムの働き手が少ないとありました。

 「担い手不足のワケ」(厚生労働省出典)には、「賃金が希望と合わない」が1位で、他職種への興味、責任の重さ、事故への不安、自身の健康、体力への不安、休暇が少ない、就業時間が希望と合わない、ブランクがあることへの不安、業務への社会的評価が低い 保護者との関係が難しい、子育てとの両立が難しいという順に並べられていました。

 保育士に求められている現実は、朝夕の送り迎えだったり、残業で遅くなる母親への夜間サービスとされていますが、どこも人手不足です。保健師・看護師・高齢者施設で働く医療従事者にも同じことがいえるのですが、できる人はいるのでしょうが、やりたい人がいないのです。肉体労働が多いことに併せて、感謝の言葉よりも苦情が多い職業の上に、人間関係に神経も使うところから、「ついていけません」とか、途中復帰した人も、「もう年齢的に無理です」と言われることも多いとか。

 少子化なのに保育士が足りないのを不思議に思われる方もいらっしゃるでしょうが、担い手が少ないのに仕事を続けながら母親になろうとする女性が増えたと考えれば理解できることです。

 子どもを預けても安心していられ、できれば住まいの近所にあって、経済的な料金で、なおかつ長時間預かってもらえる保育園が少なくなるのも不思議ではありません。

 昔、託児所と呼ばれる施設がありました。夜になっても独りでご飯を食べている子どもを「カギっ子」などと揶揄やゆしていた時代がありました。今の時代は、子どもを預ける理由も多様化してきています。祖父母が子どもを見ているという家庭も少なくなりましたし、兄や姉が親の代わりに下のきょうだいの面倒を見るという習慣も少なくなりました。なにもかも昔が良かったわけではありませんが、家族で助け合うは少なくなったことは事実です。

 もし本気で日本の子どもの数を増やそうとするならば、これだけ高齢者が増えてきている日本社会で、何を優先するか、国をあげての重大課題だと思うのです。

 私からの提案は、まずは企業が雇う保育士を増やしていくのはどうでしょうか。母親か父親と一緒に時間差通勤をするのです。昼休みは、一緒に昼食を食べる、笑われるかもしれませんが、将来はそんな社会になっているかもしれません。

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石井苗子さん顔87

石井苗子(いしい・みつこ)

誕生日: 1954年2月25日

出身地: 東京都

職業:女優・ヘルスケアカウンセラー

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7件 のコメント

保育士の労働時間

ぶぶりん

働きながら2人の子供を育てています。保育園を利用したのは5年以上前になります。手のかかる子供たちを早い時間から7時過ぎまで保育していただき、先生...

働きながら2人の子供を育てています。保育園を利用したのは5年以上前になります。手のかかる子供たちを早い時間から7時過ぎまで保育していただき、先生方には頭が下がりました。でも、その先生方(20代-50代の女性)は、労働時間から考えて、夜8時過ぎまでご自身のご家族の元には戻れません。早番・遅番があるとは言え、家族を持つ人間の労働環境としていかがなものかと思います。
日本は正規雇用の労働者の労働時間が長すぎます。保育園卒業後も、共働きの人(特に女性)は仕事と家庭の両立に苦しみます。それは、家庭を顧みずに働く仕事だけしていれば良い男性の勤務状態を評価基準としているからです。子供と共有する時間を削りながら仕事をしていると、本当にこれで良いのか?と自問することもしばしばです。家事手伝いや民間ベビーシッターの利用にかかる費用も持ち出しで税制上の控除もありません。問題は保育所や保育士のことだけではなく、もっと根深いと思います。

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母親の鼓動を聞いて泣き止む子

めざめたじいさん

ゆきみさんの仰るとおり。子どもにとって母親の肌の温もり、10ヶ月間いつも聞いていた母親の鼓動が子どもに安心感を与えます。赤子が泣き止まないとき、...

ゆきみさんの仰るとおり。
子どもにとって母親の肌の温もり、10ヶ月間いつも聞いていた母親の鼓動が子どもに安心感を与えます。赤子が泣き止まないとき、母親の鼓動を聞かせると泣き止むと言われたいます。

私は寺に生まれました。母は住職の父が勤めていたので、寺を守るためいつも家にいました。
ある日、学校から帰って「お母さん、ただいま」と、いつもは「お帰り、楽しかったかい」とにこやかに迎えてくれる母がいませんでした。私は、「おかあさ~ん」と大声で呼びながら広い境内を探し回りました。どこにもいないと分かったとき、4枚の障子を全部破ったのです。なぜ破ったのかは覚えていませんが、むしゃくしゃしていたのでしょう。

小学3年生ぐらいだったように記憶していますが、それでも母親は側にいて欲しかったのです。自分で言うのも何ですが、私は母をとても大切にしました。病弱だった母が、薪割りをしていると、遊びたい気持ちより手伝わなければいけないと思いました。

結婚してからも、母を思う気持ちは家内にも伝わり、家内も母を実の母親以上に大切にしてくれました。

子どもを他人に預けてまで母親が働かなければならないのでしょうか。経済的に大変かも知れませんが、生活費を切り詰めても母親は子どもを自分のもとにおいて欲しいと願っているものです。

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一概には言えないような……(2)

匿名希望

(字数制限により分割して投稿します)保育士不足の件ですが、私は預ける側なので、現在のサービスに不満を持っており、あまり同情はできないです。保育士...

(字数制限により分割して投稿します)

保育士不足の件ですが、私は預ける側なので、現在のサービスに不満を持っており、あまり同情はできないです。保育士が「こどものため」という言葉を使うのを、「結局大人の都合じゃん。ごまかすなよ」と感じることも多々ありますし。親・保育士ともに、本当にこどものために何がよいのか、どうすべきなのかを純粋に考えられる人はとても少ないです。
また、現在の園ではクラス割を設けず、お姉ちゃんお兄ちゃんも赤ちゃんも一緒に保育を受けているのですが、こういった形態なら、多少保育士の手が少なくてすむということもあると思います。集団をどう導いていくかという別のスキルは必要になりますが……。それから、ある程度長い期間その園に通い続け、赤ちゃんとしてお兄ちゃんお姉ちゃんに可愛がられていた子が大きくなり、今度は新しく入ってきた赤ちゃんを可愛がれるというような状態を作れることが前提となります。

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