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[シカゴから]遺体収容にあたった人のケア

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 2001年9月11日と2011年3月11日は、人的災害と天災という違いこそあれ、日米両国にとって忘れられない大災害の起こった日です。

 2月に米国で開かれた会議で、9・11で活動し、大量の粉じんを浴びた消防士1万人以上の健康被害調査の講演を聞く機会がありました。その講演を聞きながら、阪神淡路大震災や東日本大震災で遺体の収容に当たった自衛隊員、警察官、消防士、また、大量のがれき処理に当たった方々の心のケアや健康調査がどうなっているのだろうかと気がかりになりました。

 私が3年前、内閣官房の職務を併任していた時に3・11が起こりました。私の部署は復興に直接関与する部署ではありませんでしたが、国難に際して何かできることはないかと考えていました。福島県南相馬市を訪れて被災者の方々や病院の過酷な状況を見てからは、思いがさらに募りました。

 いくつかの提案を試みましたが、そのうちの一つが、遺体収容に当たった方々の心のケアです。私も法医学の実習で検視に立ち会ったり、解剖を見学したりした経験がありますが、損傷のひどい多数の遺体を目にすることは非常にストレスがかかります。9・11の消防士の例では15~20%がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を起こしているとのことでした。

 日本ではこのような調査が行われているのでしょうか? 被災者でさえ健康や心のケアが十分に行き届いていない現状では、心もとない限りです。今後起こるかもしれない災害に備えるためには、起こった災害に対する調査をしっかりと行い、次に起こるかもしれない災害後の二次的被害を最小限に抑えることが不可欠です。南相馬を思い起こすたびに、何も貢献できなかった自分に心が痛みます。(シカゴ大教授 中村祐輔)


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