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介護福祉士の資格取得見直し

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作図 デザイン課・沢田彩月

 介護福祉士の資格を取るには国家試験に合格することが必須になるようですが、どうしてですか?

要件追加に異論 施行延期

 介護福祉士は、高齢者や障害者の食事や排せつ、入浴の介助などの介護を行う専門職だ。1987年制定の「社会福祉士及び介護福祉士法」により創設された国家資格で、全国に約118万人の登録者がいる。特別養護老人ホームなどの施設職員や訪問介護員などとして活躍している。

 資格を取得するには、主に二つの方法がある。

 最も多いのが、実務経験を経るルート。介護施設などで3年以上の職務を経験してから国家試験を受験する道で、2012年度の資格取得者約9万8000人のうち約8万3000人がこのルートだった。二つ目は、養成校で学ぶルートだ。専門学校や大学など国指定の養成校を卒業すれば、国家試験を受けずに資格が与えられる。12年度は約1万1000人がこのルートで取得した。

 こうした取得の方法が、07年の法改正で、要件を厳しくする方向で見直された。新たに資格を取りたい場合、一定の教育課程を終え、国家試験に合格することが義務付けられた。実務経験ルートでの取得には6か月以上の「実務者研修(450時間)」の受講が必要となり、養成校ルートでは国家試験が課された。

 見直しの背景には、「きつい仕事なのに待遇は悪い」と見られて、慢性的な人手不足に悩む介護現場の現状を打破しようという狙いがあった。高い離職率や低賃金を改善するには、介護福祉士の資格のハードルを上げて社会的評価を高め、処遇や仕事の魅力をアップすることが必要と考えられたからだ。

 ところが、介護施設の事業者などからは「ハードルを上げれば志す人が減り、人材難が悪化する」「資格取得を目指す職員が研修で長期に休むのは困る」といった声が上がり、当初予定された12年度からの施行は3年延期された。

 今年に入り、さらに1年先送りする方針を国は示した。再度の延期に対し、社会的評価の向上を目指す日本介護福祉士会は、「かえって信用を失う」と反発している。

 国は今後1年かけて、資格取得の見直し内容に問題がないかなどを再検討する。人材確保とサービスの質的向上の両方を実現させるため、試行錯誤が続く。(小林直貴)

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